2022年03月18日

米住宅着工・許可件数(22年2月)-建設コスト増加や労働力不足などの逆風にもかかわらず着工件数は06年6月以来の水準に増加

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:着工件数は前月比増加、許可件数は前月比減少も、両方市場予想は上回る

3月17日、米国センサス局は2月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は176.9万件(前月改定値:165.7万件)と163.8万件から上修正された前月、市場予想の170.0万件(Bloomberg集計の中央値)を上回り、06年6月(180.2万件)以来の水準となった(図表1、図表3)。

許可件数(季節調整済、年率)は185.9万件(前月改定値:189.5万件)と189.9万件から小幅下方修正された前月を下回ったものの、市場予想の185.0万件は上回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:建設業界を取り巻く逆風にもかかわらず、着工件数は大幅に増加

住宅着工件数の伸びは前月比+6.8%(前月:▲5.5%)と前月からプラスに転じた(図表3)。内訳をみると、戸建てが+5.7%(前月:▲4.4%)、集合住宅も+9.3%(前月:▲8.0%)といずれもプラスに転じた(図表4)。

前年同月比では+22.3%(前月:+2.0%)と12ヵ月連続のプラスとなったほか、前月から伸びが大幅に加速した。戸建てが+13.7%(前月:+0.6%)、集合住宅が+46.6%(前月:+5.2%)といずれも2桁の伸びとなった。

地域別寄与度(前月比)は、西部が▲3.1%ポイント(前月:+3.2%ポイント)と前月からマイナスに転じた。一方、南部が+6.3%ポイント(前月:+0.7%ポイント)と2ヵ月連続でプラスを維持したほか、北東部が+1.8%ポイント(前月:▲2.2%ポイント)、中西部が+1.8%ポイント(前月:▲7.3%ポイント)とプラスに転じた。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比▲1.9%(前月:+0.5%)と5ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表5)。集合住宅が▲4.4%(前月:▲9.9%)と2ヵ月連続でマイナスとなったほか、戸建てが▲0.5%(前月:+7.5%)と5ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表6)。

前年同月比は+7.7%(前月:+0.6%)と5ヵ月連続のプラスとなった。集合住宅が+12.2%(前月:+10.9%)と2桁の伸びを維持したほか、戸建てが+5.4%(前月:▲4.3%)と7ヵ月ぶりにプラスに転じた。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅市場指数(項目別) 一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、3月が前月比▲2ポイントの79(前月:81)となった(図表7)。これでセンチメントの悪化は3ヵ月連続である。

内訳は客足が67(前月:65)と前月から改善した一方、販売現況が86(前月:89)、販売見込みが70(前月:80)と前月から悪化した。とくに販売見込みは1986年の統計開始以来3番目の落ち込み幅となった。

NAHBは、「建設コストの増加と金融引き締めに関連した金利上昇によって、住宅購入希望者が市場から締め出されるという懸念が建設業者から高まっている」としており、建設業界を取り巻く環境が厳しくなっていることに言及している。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2022年03月18日「経済・金融フラッシュ」)

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