2022年02月25日

近づく米「雇用の最大化」目標達成-雇用の回復は持続。労働需給の逼迫継続から、賃金上昇圧力は当面高止まりへ

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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■要旨
 
  1. 米国の雇用者数は新型コロナの影響で20年春先に大幅な落ち込みを示した後、20年5月以降は回復基調が持続している。また、失業率は新型コロナ流行前の水準まで僅か0.5%ポイントと回復が顕著となっている。
     
  2. 22年入り後のオミクロン株感染拡大に伴う労働市場への影響が懸念されたものの、足元では限定的に留まっている。
     
  3. 一方、求人数が統計以来最高水準で推移するなど、労働需要は堅調を維持する一方、25-54歳のプライムエイジの労働参加率の回復が緩やかに留まるなど、労働供給の回復は遅れており、雇用者数が新型コロナ流行前の水準を下回る中でも労働需給は逼迫している。
     
  4. この結果、名目賃金の上昇は加速している。もっとも、賃金の伸びはインフレ高進に追い付いておらず、実質ベースではマイナスの伸びに留まっている。このため、労働需給の逼迫を背景に当面賃金上昇圧力は高止まりしよう。
     
  5. 22年1月のFOMC議事要旨では、一部で異論は示されているものの、多くの参加者が労働市場について既に「雇用の最大化」に到達したか、非常に近いと評価しており、3月FOMC会合での利上げが確実となっている。

 
(図表1)業種別雇用増減
■目次

1.はじめに
2.労働市場の回復状況
  (雇用者数、失業率)雇用の回復基調が持続、失業率は新型コロナ流行前の水準が視野に
  (オミクロン株の影響)コロナ原因の非就業者数は大幅に増加も雇用者数への影響は限定的
  (労働需要)求人数、企業の採用意欲ともに堅調が持続
  (労働供給)足元で回復加速の兆しも回復は緩やか
  (時間当たり賃金)労働需給の逼迫から名目賃金は大幅上昇も、実質ベースではマイナス
  (FOMC参加者による労働市場の評価)多くの参加者は既に「雇用の最大化」目標達成と判断
3.今後の見通し
  ・労働供給は緩やかに回復も、労働需給の逼迫から当面賃金は高止まりへ

(2022年02月25日「Weekly エコノミスト・レター」)

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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