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- コロナ禍における人間関係の疎遠化と孤立・孤独
2022年03月09日
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3――コロナ禍における孤独・孤立
1|年代別と性別でみた孤独・孤立への不安
ここからは、孤独と孤立についてみていきたい。コロナ禍において「コミュニケーション機会の減少による孤独や孤立」への不安を感じているかを尋ねると、全体平均では「非常に不安」が5.9%、「不安」が18.2%、「どちらともいえない」が35.9%、「あまり不安ではない」が22.1%、「全く不安ではない」が13.2%、「該当しない」が4.8%だった(図表7)。「非常に不安」と「不安」を合わせると24.1%となり、4人に1人が、孤独や孤立に不安を感じていた。
年代別にみると、若い年代の方が割合が不安の割合が大きく、20歳代では「非常に不安」が全体より6ポイント高い11.8%に上った。「非常に不安」と「不安」を合わせると、20歳代の3割に上った。
一方、70歳代は「あまり不安ではない」が29.5%、「不安ではない」が19.6%で、いずれも全体平均より6~7ポイント高かった。2で見たように、70歳代は、コロナ禍によって家族や友人との対面コミュニケーションの減少層が6割超と突出して多かったが、孤独や孤立への不安は相対的に小さかった。
ここからは、孤独と孤立についてみていきたい。コロナ禍において「コミュニケーション機会の減少による孤独や孤立」への不安を感じているかを尋ねると、全体平均では「非常に不安」が5.9%、「不安」が18.2%、「どちらともいえない」が35.9%、「あまり不安ではない」が22.1%、「全く不安ではない」が13.2%、「該当しない」が4.8%だった(図表7)。「非常に不安」と「不安」を合わせると24.1%となり、4人に1人が、孤独や孤立に不安を感じていた。
年代別にみると、若い年代の方が割合が不安の割合が大きく、20歳代では「非常に不安」が全体より6ポイント高い11.8%に上った。「非常に不安」と「不安」を合わせると、20歳代の3割に上った。
一方、70歳代は「あまり不安ではない」が29.5%、「不安ではない」が19.6%で、いずれも全体平均より6~7ポイント高かった。2で見たように、70歳代は、コロナ禍によって家族や友人との対面コミュニケーションの減少層が6割超と突出して多かったが、孤独や孤立への不安は相対的に小さかった。
2|孤独・孤立と、うつ病や認知機能低下への不安
最後に、コミュニケーション機会の減少によって孤立や孤独に不安を感じている人が、うつ病や認知機能低下など、メンタル不調による病気や、脳機能低下について、どう感じているかをクロスしたものが図表9である。なお、ここでは「非常に不安」と「不安」の回答者を「不安層」、「あまり不安ではない」と「不安ではない」の回答者を「非不安層」とまとめて分析した。
孤独や孤立に対する不安層は、「コミュニケーション機会減少による、うつなどの心の病気になる」ことについても不安を感じている人が65%に上った。「どちらとも言えない」は21.3%、「非不安層」は12.6%、「該当しない」は1.1%だった。孤独・孤立の不安層は、非不安層に比べて、うつ病に対しても不安を抱えている人の割合は、約6倍高かった。
次に、孤独や孤立に対する不安層は、「コミュニケーション機会減少による認知機能の低下」についても不安を抱えている割合が61.9%に上った。「どちらとも言えない」は23.6%、「非不安層」は12.9%、「該当しない」は1.6%だった。孤独・孤立の不安層は、非不安層に比べて、認知機能低下に対しても不安を抱えている人の割合が、約5倍高い。
以上のことから、コミュニケーション機会減少による孤独や孤立と、うつ病、認知機能低下への不安との間には強い関連があると見られる。孤独や孤立を防ぐための対策を講じることが、うつ病や認知機能低下予防のためにも重要であることを示唆している。
最後に、コミュニケーション機会の減少によって孤立や孤独に不安を感じている人が、うつ病や認知機能低下など、メンタル不調による病気や、脳機能低下について、どう感じているかをクロスしたものが図表9である。なお、ここでは「非常に不安」と「不安」の回答者を「不安層」、「あまり不安ではない」と「不安ではない」の回答者を「非不安層」とまとめて分析した。
孤独や孤立に対する不安層は、「コミュニケーション機会減少による、うつなどの心の病気になる」ことについても不安を感じている人が65%に上った。「どちらとも言えない」は21.3%、「非不安層」は12.6%、「該当しない」は1.1%だった。孤独・孤立の不安層は、非不安層に比べて、うつ病に対しても不安を抱えている人の割合は、約6倍高かった。
次に、孤独や孤立に対する不安層は、「コミュニケーション機会減少による認知機能の低下」についても不安を抱えている割合が61.9%に上った。「どちらとも言えない」は23.6%、「非不安層」は12.9%、「該当しない」は1.6%だった。孤独・孤立の不安層は、非不安層に比べて、認知機能低下に対しても不安を抱えている人の割合が、約5倍高い。
以上のことから、コミュニケーション機会減少による孤独や孤立と、うつ病、認知機能低下への不安との間には強い関連があると見られる。孤独や孤立を防ぐための対策を講じることが、うつ病や認知機能低下予防のためにも重要であることを示唆している。
4――終わりに
これまでみて来たように、コロナ禍によって、家族や友人と会って話す機会が減った人が4割、1人で過ごす時間が増加した人が3割に上るなど、人との関わりが疎遠化していることが分かった。もちろん、「1人で過ごす時間が増えた」という人の中には、好んでそうしている人もいるであろうし、それ自体が悪い訳ではない。しかし、実際に、コミュニケーション機会の減少によって、孤独や孤立の不安を感じている人が4人に1人に上ったという事実は重大である。特に、不安層の割合が大きかった20歳代には、手厚い対応を講じる必要があるだろう。20歳代は、LINE等の非対面コミュニケーションが増えた割合が他の年代に比べて大きかったが、それによって家族や友人との交際・交流を補完できている訳ではなく、寧ろ、孤独や孤立の不安を穴埋めするために、それらのツールに頼っている人もいると考えられる。
また、孤立や孤独を感じている人は、うつ病や認知機能低下への不安を感じる傾向が非常に強いことが分かった。それらが連鎖して起きれば、個人の生活の質に大きなダメージとなる。
国内で新型コロナウイルスが感染拡大を始めてから2年が経過したが、いまだに収束は見通せず、人間関係の疎遠化は今後も続く可能性がある。孤立・孤独が深刻化し、事態が悪化することがないように、対策が急務である。
また、孤立や孤独を感じている人は、うつ病や認知機能低下への不安を感じる傾向が非常に強いことが分かった。それらが連鎖して起きれば、個人の生活の質に大きなダメージとなる。
国内で新型コロナウイルスが感染拡大を始めてから2年が経過したが、いまだに収束は見通せず、人間関係の疎遠化は今後も続く可能性がある。孤立・孤独が深刻化し、事態が悪化することがないように、対策が急務である。
(2022年03月09日「基礎研レポート」)

03-3512-1821
経歴
- 【職歴】
2002年 読売新聞大阪本社入社
2017年 ニッセイ基礎研究所入社
【委員活動】
2023年度~ 「次世代自動車産業研究会」幹事
2023年度 日本民間放送連盟賞近畿地区審査会審査員
坊 美生子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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