2022年02月02日

ユーロ圏失業率(2021年12月)-統計データ公表以来の最低値を記録

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:失業率は7.0%まで低下

2月1日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏19か国失業率(2021年12月、季節調整値)】
失業率は7.0%、市場予想1(7.1%)を下回り、前月(7.1%)から改善した(図表1)
失業者は1148.1万人となり、前月(1166.6万人)から18.5万人減少した

(図表1)失業率と国別失業者数/(図表2)若年失業率と国別若年失業者数
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:失業率は8か月連続で低下、統計データ公表以来の最低値を記録

ユーロ圏の21年12月の失業率は7.0%と前月の7.1%から低下した。また、前月の改定値が改善方向に修正(改定前7.2→改定後7.1%)され、加えてコロナ禍前の最低値が悪化方向に修正された(20年3月で改定前7.1→改定後7.2%)ため、21年11月からコロナ禍前の最低値(20年3月の7.2%)を下回っていたことになる(図表1・3)。また、21年12月の7.0%はユーロ圏19か国のデータが公表されている98年4月以降の最低値でもある。

失業者数は12月の前月差で18.5万人減(11月改定値:▲28.7万人)となり、4月以降の減少数(5-12月累計)は182.8万人となった。改定後の数値では、失業者の水準もコロナ前の最低値(20年3月の1170.1万人)を21年11月から下回っていたことになる(図表1・4)。

若年失業率は、12月は14.9%となり前月(15.4%)から大きく改善した。また、若年失業者数は12月で222.0万人だった。若年失業率の11月までの改定値もおおむね改善方向に修正されており、失業率はコロナ禍前の最低値(20年2月の15.8%)を21年10月から下回り、失業者数は最低値(20年3月の229.0万人)を21年12月に下回ったことになる(図表2)。
(図表3)ユーロ圏(19か国)の失業率/(図表4)ユーロ圏(19か国)の累積失業者数変化
国別の12月のデータを見ると、失業率も若年失業率も19か国中、悪化した国が3か国、改善が11か国、横ばいが5か国となり(図表5・6)、低下する国が多かった。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアもポルトガルも12月は失業者が減少、非労働力人口は増加したものの失業者数の減少幅に比べて増加幅は小幅であり、その結果、就業者が増加している(図表7・8)。欧州では昨年末から新型コロナの感染者数が急拡大しているが、12月時点では雇用環境への悪影響は限定的だったと見られる。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率 
(月次) 
(注)季節調整値 
(資料)ポルトガル統計局
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2002年 東京工業大学入学(理学部)
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2022年02月02日「経済・金融フラッシュ」)

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