2022年01月21日

割安感、高まる日本株式

金融研究部 主任研究員 前山 裕亮

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1――米金融政策の動向によって急落

日本株式は2022年に入って大発会こそ上昇したものの、その後は米金融政策の動向やそれに伴う米国株式の下落が嫌気され、大きく下落している。TOPIXだと1,900ポイント割れ目前、日経平均株価だと2万7,000円割れ目前と、2020年8月中旬の水準まで下げている【図表1】。2020年の秋以降、企業業績の回復の一巡がみられるなど1、元々、積極的に日本株式に投資する要因が少ないところに、外部環境の悪化が襲ったため、下落幅が大きくなったと思われる。
【図表1】TOPIXと日経平均株価の推移
 
1 詳しくは「上値が重ーい日本株式」参照。

2――割安感に注目した買いに期待

2――割安感に注目した買いに期待

その一方でこうした日本株式の下落に伴って割安感が高まっている。TOPIXベースの予想PER(青線)は13倍割れ目前まで低下している【図表2】。

ここで、過去の予想PERが13倍を下回った局面(薄い赤のハイライト部分)をみると、長期に亘り13倍を下回った局面では予想EPS(赤線)が低下していることが分かる。一方で予想EPSが上昇している、つまり企業の業績が堅調である場合は、13倍を下回ることがあっても一時的であった。

今後も日本株式は米金融政策などの外部環境の変化に左右される展開が続くと考えられる。ただ、企業業績が引き続き堅調であるならば、TOPIXが予想PER13倍となる1,900ポイント、日経平均株価だと2万7,000円もしくはそれを下回る水準では、日本株式の割安感による買いが株価を下支えしてくれることが期待できると思われる。
【図表2】 TOPIXの予想PERと予想EPSの推移

3――最大のリスクは企業業績の悪化

3――最大のリスクは企業業績の悪化

しかしながら、もし企業業績が崩れるようなことがあるならば、日本株式は低迷が長期化することも考えられる。現時点では可能性は低いと思われるが、資源高や新型コロナウイルスの感染拡大に伴うサプライチェーンの混乱などが、企業業績にどの程度悪影響を与えるか分かりかねる部分もある。外部環境と合わせて、企業業績の動向を留意する必要があるといえよう。
 
 

(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資 信託の勧誘するものではありません。
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金融研究部   主任研究員

前山 裕亮 (まえやま ゆうすけ)

研究・専門分野
株式市場・投資信託・資産運用全般

経歴
  • 【職歴】
    2008年 大和総研入社
    2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
    2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
    2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
    2022年7月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)

(2022年01月21日「基礎研レター」)

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