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- 2022年欧州の焦点-メルケル後のドイツ、フランス大統領選、ドラギ効果の持続力
2021年12月08日
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■要旨
- 2022年は米中日で政治が注目を集める年となるが、欧州の政治も変化の年となる。
- 最大の変化は16年にわたりEUの中心に存在したドイツのメルケル首相の不在だ。
- 12月8日に発足したショルツ新政権の課題は、(1)グリーン化、デジタル化の加速、(2)EUの課題解決へのリーダーシップの発揮、(3)中国への過度の依存を是正し、競争条件の公平化の実現である。
- 中道左派の社会民主党(SPD)、環境政党の緑の党、経済自由主義の自由民主党(FDP)連立協定では、(1)に意欲的に取り組む方針が確認でき、G7の議長国として脱炭素化で率先する国々の取り組みを推進する意向だが、財源確保に曖昧さが残る。(2)は3党は親EUの方向で一致しており、メルケル政権がブレーキを欠けていた預金保険などの領域での前進も期待される。(3)では、域内外の潮流の変化もあり、メルケル政権よりも人権問題などにより厳しい立場をとると見込まれる。
- 4月のフランス大統領選挙では、現時点では、低支持率のマクロン大統領が消去法的な再選が見込まれている。フランスの世論は保守化・右傾化しており、マクロン大統領の再選を阻むとすれば、共和党が中道右派やルペン氏やゼムール氏を支持する右派の票を広く取り込むことに成功する場合となるだろう。共和党の統一候補としてのペクレス氏の選出は予想外の結果だが、最新の世論調査は、ペクレス氏選出に前向きに反応しており、同氏の決選投票進出と勝利を示唆する。しかし、事態は流動的だ。6月の国民議会選挙の結果も重要であり、共和党の勝利は、政治の安定に資する面もある。
- 1月中のイタリアの大統領選挙も「ドラギ効果」の持続力の判断材料として注目したい。
(2021年12月08日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2015~2024年度 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017~2024年度 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022~2024年度 Discuss Japan編集委員
・ 2022年5月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
・ 2024年10月~ 雑誌『外交』編集委員
・ 2025年5月~ 経団連総合政策研究所特任研究主幹
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