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2021年12月01日
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1.結果の概要:統計データ公表以来の高い伸び率
                                                                        11月30日、欧州委員会統計局(Eurostat)は11月のユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。
 
            【総合指数】
・前年同月比は+4.9%、市場予想1(+4.5%)を上回り、前月(+4.1%)から加速(図表1)
・前月比は+0.5%、予想(+0.1%)を上回り、前月(+0.8%)からは減速
【総合指数からエネルギーと飲食料を除いた指数2】
・前年同月比は+2.6%、予想(+2.3%)を上回り、前月(+2.0%)から加速(図表2)
・前月比は+0.1%、前月(+0.3%)から減速
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。
2.結果の詳細:エネルギーやVATの影響を除いても2%程度の伸び率に達する見込み
                                                                        11月のHICP上昇率(前年同月比)は全体で+4.9%となり、統計データが公表されている1997年以降で最も高い伸び率を記録した。また、「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」の2.6%も歴史的な伸び率だった3。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分の「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」は9月2.1%→10月2.0%→11月2.4%となり、10月はほぼ横ばいだったが11月は加速した。また「サービス」(エネルギーを除く)は9月1.7%→10月2.1%→11月2.7%と2%台後半の伸び率に達した。コロナ禍の影響を受けた業種の代表である外食・宿泊の伸び率が8月2.1%→9月2.6%→10月2.9%(11月は速報時点では未公表)と高めの伸び率が続いている。
コア以外の部分では「エネルギー」が11月は前年同月比27.4%と、10月(23.7%)からさらに伸び率が拡大した。コロナ禍の影響を除いた2年前比でも9月5.9%→10月10.0%→11月13.2%となり、2桁増が続いている。ただし、前月比で見ると2.9%となり、1か月の伸びとしては高いものの前月(5.6%)からは縮小した。なお、前年同期比寄与度では2.53%ポイント程度となり、総合指数の伸び率の過半がエネルギー価格の伸びという状況が続いている(前掲図表1・2)。
「飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で+2.2%(10月+1.9%)となった(図表3)。飲食料のうち加工食品の伸び率は+2.3%(10月+2.1%)、未加工食品は+1.9%(10月+1.4%)だった。
            以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分の「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」は9月2.1%→10月2.0%→11月2.4%となり、10月はほぼ横ばいだったが11月は加速した。また「サービス」(エネルギーを除く)は9月1.7%→10月2.1%→11月2.7%と2%台後半の伸び率に達した。コロナ禍の影響を受けた業種の代表である外食・宿泊の伸び率が8月2.1%→9月2.6%→10月2.9%(11月は速報時点では未公表)と高めの伸び率が続いている。
コア以外の部分では「エネルギー」が11月は前年同月比27.4%と、10月(23.7%)からさらに伸び率が拡大した。コロナ禍の影響を除いた2年前比でも9月5.9%→10月10.0%→11月13.2%となり、2桁増が続いている。ただし、前月比で見ると2.9%となり、1か月の伸びとしては高いものの前月(5.6%)からは縮小した。なお、前年同期比寄与度では2.53%ポイント程度となり、総合指数の伸び率の過半がエネルギー価格の伸びという状況が続いている(前掲図表1・2)。
「飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で+2.2%(10月+1.9%)となった(図表3)。飲食料のうち加工食品の伸び率は+2.3%(10月+2.1%)、未加工食品は+1.9%(10月+1.4%)だった。
                                            国別のHICP上昇率では、11月は前年同月比伸び率で見て19か国中すべての国が10月から加速、前月比でも18か国がプラスの伸び率を記録した(図表5・6)。
 
3 コア指数はユーロ圏(当時の加盟国ベース)のコア指数としてデータが公表されている2001年12月以降で最も高い伸び率。現在の19か国ベースでは、2002年3月(2.6%)以来の伸び率となる。
                                    
            3 コア指数はユーロ圏(当時の加盟国ベース)のコア指数としてデータが公表されている2001年12月以降で最も高い伸び率。現在の19か国ベースでは、2002年3月(2.6%)以来の伸び率となる。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年12月01日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
                            - 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員 
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