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長期化するインフレ懸念

経済研究部 主任研究員 高山 武士
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- 主要先進国では、ワクチン普及などによりコロナ禍によって講じていた経済活動の制限措置を緩和、経済活動再開が進められている。
- 一方で、コロナ禍での巣ごもり需要や、経済活動の再開でのペントアップ需要を受けて多くの国でインフレ懸念が台頭、足もとでも持続・悪化している国が多い。
- そこで本稿では、日米欧を中心に主要国のインフレ状況を概観・整理するとともに、今後の見通しについて考察した。
・価格上昇圧力は需給のひっ迫感から生じるが、足もとでは「モノ」「ヒト」「エネルギー」に不足感が生じていると見られる。
・需要側の要因としては、「モノ」の需要がコロナ禍による巣ごもり消費で高まり、その結果、生産要素でもある「ヒト」(製造業、流通・保管業など)や「エネルギー」(電力など)の需要も増えたことが挙げられる。コロナ禍からの回復過程では接客業への需要が回復することで、「ヒト」の需要が増えている。
・供給側の要因としては、「ヒト」の供給が、感染者や濃厚接触者の隔離、経済回復過程における接客業への求職意向の低下、高齢裕福層の労働意欲低下、などにより減少したことが挙げられる。「エネルギー」の供給には、世界的な潮流としての気候変動問題に対応による化石燃料の使用削減が絡んでいる。
・国によってこれらの需給要因の大きさは異なり、今後のインフレ圧力や持続性も国により異なると見られる。
・先進国では、足もとのインフレ率の急上昇に比べて、インフレ期待の上昇幅は限定的である。
・総じて、インフレ率の上昇は企業収益の悪化や消費者の購買力低下を通じて成長率をやや鈍化させるが、コロナ禍からの回復を腰折れさせてしまうほどのインパクトはなく、来年には弱まっていくと見られる。
・ただし、インフレ圧力は一時的な要因のほか、コロナ禍を契機に加速する構造要因、政治的な思惑、賃金と物価上昇のサイクルが続くか、といったことにも絡み、今後の不確実性も大きい。
■目次
1――要旨
2――インフレの概況
3――インフレの要因整理
【需要側の要因】
【供給側の要因】
4――インフレの今後
・「モノ」
・「ヒト」
・「エネルギー」
5――まとめ
(2021年11月15日「基礎研レター」)

03-3512-1818
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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