2021年04月08日

欧米でも日本化が進むのか?-日米欧の経済成長を雇用・所得の面から捉える

経済研究部 准主任研究員   高山 武士

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■要旨
 
  • 日本は90年代に不動産バブルが崩壊して以降、低成長・低インフレが長期化した。
     
  • コロナショックでは、世界経済でも低成長や低インフレが長期化すること、つまり日本化が進むリスクに言及されることがある。
     
  • そこで本稿では、雇用・所得といった労働環境に焦点をあてる形で、バブル期以降の日本経済や2000年代後半の世界金融危機前後の米国・ユーロ圏経済について確認・比較した。
 

・日本は90年代後半から2000年代にかけて実質成長率が鈍化し、賃金(時給)上昇や物価上昇が見られない時期が続いた。特に物価上昇率(本稿ではGDPデフレータの伸び率)はマイナスであった。

・日本では2010年代に入って1%を超える賃金(時給)上昇が見られるようになったが、労働時間が減少したため、1人あたりの賃金の伸びは時給の伸びに比べれば抑制されてきた。物価も下落(デフレ)基調からは脱却したが、安定した上昇は見られなかった。

・米国やユーロ圏の状況を見ると、世界金融危機を経て成長率や物価、賃金(時給)の伸び率が減速したが、日本で経験したほどの低成長・低インフレではなかった。例えば賃金では年平均2%以上の上昇率を維持できている。

・今回のコロナショックからの正常化においても、ウイルスの脅威が後退するに伴い再び需要が顕在化すれば、賃金や物価上昇を伴う成長軌道に回帰する可能性が十分に考えられる。

・一方、コロナ禍により特定産業において長期的・恒久的に需要が減少し、そうした産業構造の変化に対応できなければ、欧米も日本の状況に近づく可能性はある。今後の動向に引き続き注目していきたい



■目次

1――概要
2――成長率の分解、名目雇用者報酬との関係
3――日本の状況
4――米国・ユーロ圏の状況と日本との比較
5――危機時の特徴
6――おわりに
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経済研究部   准主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

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