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世界各国の金融政策・市場動向(2021年10月)-新興国で金融引き締めの動きが強まる
経済研究部 主任研究員 高山 武士
1.概要:金融政策正常化、利上げの動きが継続
1 本稿では金融政策はG20について確認する。また、株価・為替についてはMSCI ACWIの指数を構成する50か国・地域について確認する。中国と記載した場合は中国本土を指し香港は除く。また、香港等の地域も含めて「国」と記載する。
2.金融政策:コロナ禍後の正常化の動きが継続、新興国では金融引き締めを強める
10月は日本・ユーロ圏で決定会合が開催された。いずれも金融政策の変更はされなかったが、ユーロ圏ではインフレ率が上昇していることへの警戒感を強めている。また、先進国では、カナダで量的緩和策を終了している。カナダ銀行は昨年から量的緩和策における資産購入額を段階的に縮小してきたが、今後は新規での国債購入を終了する。
新興国ではロシア、ブラジル、ハンガリー、ポーランドで政策金利が引き上げられた。ブラジルとロシアは6会合連続の利上げ、ハンガリーは5会合連続の利上げとなり、いずれも高インフレ率が継続していることから、引き続き金融引き締めを強めている。また、ポーランドは12年5月以来となる利上げを実施、これまでのハト派姿勢から引き締め姿勢に転じている。
一方、トルコでは2会合連続となる政策金利の引き下げが実施された。今年3月に就任したカブジュオール総裁が、前回9月の会合で、利下げを求めるエルドアン大統領の意向に沿った利下げを決定、今回の利下げは2会合連続となる2。利下げ幅も前回の1%ポイントを超え、その結果、政策金利(16%)はインフレ率(9月19.58%)やコアインフレ率3(9月16.98%)を下回る水準に設定された。この決定を受けてトルコリラの売り圧力はさらに強まっている。
2 会合が開催される前の10月13日にはトルコ中銀の副総裁2名を含む金融政策委員会の3人の解任が発表されている。
3 エネルギー、飲食料(アルコール・タバコを含む)、金を除く価格
3.金融市場:株価は反発、為替はドル安に転じる
9月は中国不動産バブルの崩壊懸念、米国の金融緩和からの正常化や債務問題から米金利上昇・株価が下落する国が多かったが、10月は反発している。米国では債務上限問題は先送りされ、決算結果を受けた個別銘柄の上昇も目立った。一方、中国では不動産バブルの崩壊懸念はくすぶっており、大手の恒大集団については利払いの継続が報じられているものの、小康状態となっている。
なお、日本株は岸田新政権の誕生とその後の衆院選挙を控えて、9月以降の値動きが大きくなっている。9月下旬以降の下落局面後、10月は反発したものの単月で見ると前月比マイナスだった。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年11月01日「経済・金融フラッシュ」)
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- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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