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- 英国GDP(2021年7-9月期)-サービス業を中心に回復が進む
2021年11月12日
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1.結果の概要:前期比1.3%と減速したが、回復が継続
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想も同様。
2.結果の詳細:サービス部門が着実に回復する一方、他部門の足取りは重い
英国の21年7-9月期の実質成長率は前期比1.3%(年率換算5.1%)となり、4-6月期に続き2四半期連続のプラス成長となり、実質GDPはコロナ禍前(19年10-12月)比で▲2.1%の水準まで回復した。ユーロ圏と比較すると、スペインやポルトガルといった一部の国よりは回復が進んだものの、ユーロ圏全体と比較するとやや遅れているという状況にある(図表2)。
部門ごとの月次GDPの水準は、コロナ禍前と比較して、農林水産部門が▲12.4%、生産部門(鉱工業)が▲1.5%、建設部門が▲1.7%、サービス部門が▲0.2%であり、農林水産部門を除いて、コロナ禍前の水準にかなり近づいている。ただし、経済活動の再開により順調に回復が進んだサービス部門に対して、他部門の回復の足取りは重い。7-9月の建設部門は4-6月と比べて活動水準が低下し、生産部門の回復も鈍い。特に、生産部門は自動車生産の低迷から直近の9月の成長率がマイナスとなった。
図表4ではより細かい産業分類の月次GDP(2019年12月比)を、コロナ禍後の昨年ピーク(20年10月)、直近ボトム(21年1月)、最新値(9月)の3種類で示している。9月は行動制限の影響を大きく受けていた住居・飲食業が大きく回復し、コロナ禍前との比較でプラス圏(4.5%)に到達、芸術・娯楽業(▲4.1%)もコロナ禍前の水準に近づき、これらがサービス部門全体の回復に寄与している。一方、サービス部門のなかでは、その他サービス業(▲19.8%)の回復が遅れている。
図表4ではより細かい産業分類の月次GDP(2019年12月比)を、コロナ禍後の昨年ピーク(20年10月)、直近ボトム(21年1月)、最新値(9月)の3種類で示している。9月は行動制限の影響を大きく受けていた住居・飲食業が大きく回復し、コロナ禍前との比較でプラス圏(4.5%)に到達、芸術・娯楽業(▲4.1%)もコロナ禍前の水準に近づき、これらがサービス部門全体の回復に寄与している。一方、サービス部門のなかでは、その他サービス業(▲19.8%)の回復が遅れている。
成長率を需要項目別に確認すると、7-9月期では、個人消費が前期比2.0%(4-6月期7.1%)、政府消費が同0.9%(8.1%)、投資が同0.8%(0.8%)、輸出が同▲1.9%(6.2%)、輸入が同2.5%(2.4%)となった。純輸出の前期比寄与度は▲1.13%ポイント(0.95%ポイント)、コロナ禍前比では、個人消費が▲5.0%、政府消費が8.8%、投資が▲3.8%、輸出が▲22.2%、輸入が▲11.4%だった。個人消費を中心に回復が進む一方、EU離脱後の貿易量は引き続き少ない。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年11月12日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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