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ASEANの貿易統計(11月号)~9月も国際商品市況の上昇により資源輸出が好調
経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠
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ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、9月は東アジア向け(同21.5%増)と北米向け(同9.4%増)が堅調に拡大した。一方、EU向け(同3.4%増)は生産活動の再開に伴う需要が一巡して伸び悩みつつある。また東南アジア向け(同22.1%増)は前年の落ち込みの大きいことから高い伸び率となったが、域内各国が実施した感染防止策により足元の増勢は鈍化している。
輸出を品目別に見ると、輸出全体の約2割を占める電話・部品が前年同月比9.3%増(前月:同4.0%増)、電気製品・同部品が同6.8%増(前月:同0.9%増)となり、それぞれ小幅に増加した(図表4)。またアパレル関連では、織物・衣類が同21.1%減(前月:同10.8%減)、履物が同49.5%減(前月:同39.5%減)と一段と減少した。農林水産物を見ると、水産物(同23.9%減)や野菜(同2.4%減)が減少したものの、コメ(同50.1%増)やコーヒー(同11.7%増)、カシューナッツ(同11.2%増)、天然ゴム(同12.9%増)などが好調だった。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同1.1%増(前月:同3.3%増)と鈍化すると共に、地場企業が同4.8%減(前月:同13.3%減)と減少が続いた。
輸出を品目別に見ると、全体の約7割を占める工業製品が同18.1%増(前月:同21.2%増)と7カ月連続の二桁増となった(図表6)。製造品の内訳を見ると、在宅時間が増加した影響で電子機器(同20.9%増)や家電製品(同7.7%増)が増加しており、また機械・装置(同16.4%増)や石油化学製品(同31.4%増)、自動車・部品(同8.1%増)などの主要輸出品も堅調に拡大した。また鉱業・燃料は同99.5%増(前月:同116.5%増)となり、石油製品(同109.5%増)を中心に大幅な増加が続いた。このほか、農産物・同加工品は同13.0%増(前月:同22.6%増)と11ヵ月連続で増加した。果物(同26.0%減)が減少したものの、天然ゴム(同83.6%増)やコメ(同33.8%増)、ゴム製品(同0.3%増)の増加が続いたほか、加工食品(同1.0%減)がプラスに転じるなど、総じて増加した品目が多かった。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同6.0%増(前月:同6.7%増)となり、主力の電気・電子製品(同5.1%増)を中心に3カ月連続で増加した(図表8)。また鉱物性燃料は同93.9%増(前月:同52.4%増)と一段と上昇した。石油製品(同179.7%増)と天然ガス(同72.2%増)の大幅な増加が続き、原油(同8.5%増)もプラスに転じた。このほか、化学製品(同47.2%増)、動植物性油脂(同55.7%増)が二桁増となる一方、ゴム手袋(同18.4%減)は減少に転じた。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同48.0%増(前月:同63.5%増)、石油ガス輸出が同39.8%増(前月:同77.9%増)となり、それぞれ好調を維持した(図表10)。品目別にみると、鉱産物(同129.0%増)や鉄・鉄鋼(同88.8%増)、動植物性油脂(同64.7%増)、電気機械(同24.5%増)、機械類(同20.8%増)、自動車・同部品(同16.5%増)、ゴム製品(同9.5%増)などが増加した一方、天然又は養殖真珠、貴石、半貴石(同47.2%減)は引き続き低迷した。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約2割を占める電子製品は同16.0%増(前月:同17.9%増)と好調を維持して10カ月連続の二桁増となった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、主力のIC(同8.4%増)やPC(同47.3%増)、ダイオード・トランジスタ(同24.7%増)の堅調な拡大が続いたほか、ディスクメディア(同7.5%減)が3カ月ぶりの増加に転じた。また全体の約3割を占める化学品は同34.0%増(前月:同18.3%増)となり伸びが加速した。化学品の内訳を見ると、石油化学製品(同54.8%増)が大きく増加し、医薬品(同29.0%増)がプラスに転じた。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の6割弱を占める電子製品が同5.4%増(前月:同16.5%増)と鈍化したが、増加傾向を保った(図表14)。電子製品の内訳を見ると、主力の半導体デバイス(同2.7%増)に加え、電子データ処理機(同13.6%増)や消費者向け電子製品(同11.3%増)がそれぞれ増加した。その他9品目については、化学品(同55.4%増)や金(同44.3%増)、製錬銅(同39.8%増)、ココナッツオイル(同21.1%増)、その他鉱物製品(同17.0%増)、その他製造品(同7.1%増)、電子機器・部品(同5.4%増)がそれぞれ増加した一方、機械・輸送用機器(同27.0%減)と金属部品(同22.8%減)、イグニッションワイヤーセット(同1.7%減)が減少した。
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(2021年11月05日「経済・金融フラッシュ」)
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