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- タイの生命保険市場(2020年版)
2021年10月25日
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■要旨
2020年のタイ生命保険市場の正味収入保険料(返戻金控除前)は前年比1.8%減の5,981億バーツ(約2.0兆円)となり、前年の同1.1%減から更に減少した。収入保険料の減少は2年連続となる。新型コロナウイルスの世界的流行によりタイ経済が混乱して所得・雇用環境が悪化したほか、3月26日の緊急事態宣言の発令に伴う商業施設の閉鎖や夜間の外出禁止等の活動制限、ソーシャルディスタンスの確保などが対面の保険営業や消費者マインドに影響して販売不振に陥った。
タイでは2021年にも感染再拡大が生じて政府が7月に首都バンコクなどで都市封鎖を実施したため、8月単月の新契約保険料は前年同月比11.8%減と急減した。現在は国内の感染状況が改善するにつれて段階的な制限緩和が進められており、経済回復に伴って保険販売が上向くものと予想される。タイのワクチン接種は欧米諸国に比べて遅れており、経済の立ち直りが遅くなると予想されるため、当面は保険販売に悪影響が及びそうだ。
経済活動がコロナ前の水準を取り戻すには相当の時間を要するであろうが、タイ生命保険市場が再び増加傾向を辿ることは可能であろう。タイは高齢化と医療費の高額化が進む一方、公的保障は不十分であるため、老後の生活に不安を抱く国民は多い。従って、退職準備関連商品や健康関連商品の需要はこれまで以上に増していくものと予想される。また低所得者を対象とした少額で加入できるマイクロ保険や死亡保障を準備しながら積極的な資産形成ができるユニット・リンク保険の提供など顧客の選択の幅を広げることも求められる。このほか、低金利の運用難への対応として不動産やインフラストラクチャー、プライベートエクイティといった代替資産への投資拡大、販売チャネルの多様化、デジタル技術を駆使したサービス展開など、顧客ニーズに対応した取組みによる市場の成長余地は依然として大きい。
■目次
1―市場概況
2―保険種類別の販売動向
3―商品別の販売動向
4―販売チャネル別の販売動向
5―会社別の販売動向
6―資産運用状況
7―収支動向
8―おわりに
2020年のタイ生命保険市場の正味収入保険料(返戻金控除前)は前年比1.8%減の5,981億バーツ(約2.0兆円)となり、前年の同1.1%減から更に減少した。収入保険料の減少は2年連続となる。新型コロナウイルスの世界的流行によりタイ経済が混乱して所得・雇用環境が悪化したほか、3月26日の緊急事態宣言の発令に伴う商業施設の閉鎖や夜間の外出禁止等の活動制限、ソーシャルディスタンスの確保などが対面の保険営業や消費者マインドに影響して販売不振に陥った。
タイでは2021年にも感染再拡大が生じて政府が7月に首都バンコクなどで都市封鎖を実施したため、8月単月の新契約保険料は前年同月比11.8%減と急減した。現在は国内の感染状況が改善するにつれて段階的な制限緩和が進められており、経済回復に伴って保険販売が上向くものと予想される。タイのワクチン接種は欧米諸国に比べて遅れており、経済の立ち直りが遅くなると予想されるため、当面は保険販売に悪影響が及びそうだ。
経済活動がコロナ前の水準を取り戻すには相当の時間を要するであろうが、タイ生命保険市場が再び増加傾向を辿ることは可能であろう。タイは高齢化と医療費の高額化が進む一方、公的保障は不十分であるため、老後の生活に不安を抱く国民は多い。従って、退職準備関連商品や健康関連商品の需要はこれまで以上に増していくものと予想される。また低所得者を対象とした少額で加入できるマイクロ保険や死亡保障を準備しながら積極的な資産形成ができるユニット・リンク保険の提供など顧客の選択の幅を広げることも求められる。このほか、低金利の運用難への対応として不動産やインフラストラクチャー、プライベートエクイティといった代替資産への投資拡大、販売チャネルの多様化、デジタル技術を駆使したサービス展開など、顧客ニーズに対応した取組みによる市場の成長余地は依然として大きい。
■目次
1―市場概況
2―保険種類別の販売動向
3―商品別の販売動向
4―販売チャネル別の販売動向
5―会社別の販売動向
6―資産運用状況
7―収支動向
8―おわりに
(2021年10月25日「保険・年金フォーカス」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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