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- タイの生命保険市場(2019年版)
2020年09月15日
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■要旨
2019年のタイ生命保険市場の正味収入保険料(返戻金控除前)は前年比4.3%増の6,170億バーツ(約2.2兆円)と、前年の同5.5%増を下回った。収入保険料の伸びは2015年から鈍化傾向にあったが、2019年は更に拍車がかかり1998年以来のマイナスとなった。この主因としては低金利環境の長期化や先行きの経済見通しの悪化、そして規制変更に備えて各社が消費者ニーズに応える商品を出せなかったことが挙げられる。
2020年上半期の収入保険料は前年比3.3%減となった。新型コロナウイルスの世界的流行による景気後退を背景に所得・雇用環境が減少したほか、3月26日の緊急事態宣言の発令に伴う商業施設の閉鎖や夜間の外出禁止等の活動制限(現在はほぼ撤廃)、ソーシャルディスタンスの確保の徹底が営業活動や消費者マインドに影響して販売不振に陥った。現在、経済の最悪期は脱しているが、輸出や観光といった主要セクターの回復は期待できず、年後半の景気の持ち直しは緩やかなものに止まるだろう。2年連続で収入保険料が減少する確度は高いといえる。
今後、経済活動がコロナ前の水準を取り戻すには相当の時間を要するが、タイ生保市場が再び増加傾向を辿ることは可能であろう。タイでは、老後の生活に不安を抱く国民は多く、退職準備関連商品や健康関連商品の需要はこれまで以上に増していくものと予想される。またマイクロ保険やユニット・リンク保険の提供など顧客の選択の幅を広げることも求められる。このほか、低金利の運用難への対応としての代替資産への投資拡大、販売チャネルの多様化、デジタル技術を駆使したサービス展開など顧客ニーズに対応した取組みによる市場の成長余地は依然として大きい。
■目次
1―市場概況
・国際比較
2―保険種類別の販売動向
3―商品別の販売動向
4―販売チャネル別の販売動向
5―会社別の販売動向
6―資産運用状況
7―収支動向
8―おわりに
2019年のタイ生命保険市場の正味収入保険料(返戻金控除前)は前年比4.3%増の6,170億バーツ(約2.2兆円)と、前年の同5.5%増を下回った。収入保険料の伸びは2015年から鈍化傾向にあったが、2019年は更に拍車がかかり1998年以来のマイナスとなった。この主因としては低金利環境の長期化や先行きの経済見通しの悪化、そして規制変更に備えて各社が消費者ニーズに応える商品を出せなかったことが挙げられる。
2020年上半期の収入保険料は前年比3.3%減となった。新型コロナウイルスの世界的流行による景気後退を背景に所得・雇用環境が減少したほか、3月26日の緊急事態宣言の発令に伴う商業施設の閉鎖や夜間の外出禁止等の活動制限(現在はほぼ撤廃)、ソーシャルディスタンスの確保の徹底が営業活動や消費者マインドに影響して販売不振に陥った。現在、経済の最悪期は脱しているが、輸出や観光といった主要セクターの回復は期待できず、年後半の景気の持ち直しは緩やかなものに止まるだろう。2年連続で収入保険料が減少する確度は高いといえる。
今後、経済活動がコロナ前の水準を取り戻すには相当の時間を要するが、タイ生保市場が再び増加傾向を辿ることは可能であろう。タイでは、老後の生活に不安を抱く国民は多く、退職準備関連商品や健康関連商品の需要はこれまで以上に増していくものと予想される。またマイクロ保険やユニット・リンク保険の提供など顧客の選択の幅を広げることも求められる。このほか、低金利の運用難への対応としての代替資産への投資拡大、販売チャネルの多様化、デジタル技術を駆使したサービス展開など顧客ニーズに対応した取組みによる市場の成長余地は依然として大きい。
■目次
1―市場概況
・国際比較
2―保険種類別の販売動向
3―商品別の販売動向
4―販売チャネル別の販売動向
5―会社別の販売動向
6―資産運用状況
7―収支動向
8―おわりに
(2020年09月15日「保険・年金フォーカス」)
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03-3512-1780
経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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