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米個人所得・消費支出(21年9月)-個人所得は新型コロナに絡む経済対策の剥落から前月比で大幅に減少
経済研究部 主任研究員 窪谷 浩
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1.結果の概要:個人所得は市場予想を下回る一方、個人消費は市場予想に一致
価格指数は、総合指数が前月比+0.3%(前月改定値:+0.3%)と+0.4%から下方修正された前月、市場予想(+0.3%)に一致した。変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は前月比+0.2%(前月:+0.3%)とこちらは前月を下回った一方、市場予想(+0.2%)に一致した(図表6)。前年同月比は総合指数が+4.4%(前月改定値:+4.2%)と+4.3%から下方修正された前月を上回った一方、市場予想(+4.4%)に一致した。コア指数は+3.6%(前月:+3.6%)と前月に一致、市場予想(+3.7%)は下回った(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
2.結果の評価:経済対策効果の剥落で個人所得が大幅に減少

個人所得は9月に新型コロナで拡充された失業保険給付の期限切れに伴う移転所得の落ち込みで前月から大幅なマイナスに転じた。この結果、貯蓄率は7.5%と前月から大幅に低下しており、所得対比でみた消費余力は減少した。
一方、FRBが物価指標としているPCE価格指数(前年同月比)は、総合指数の上昇基調が持続しており、FRBの物価目標(2%)を7ヵ月連続で上回ったほか、91年1月(+4.5%)以来の水準となった。物価の基調を示すコア指数は6ヵ月連続で物価目標を上回ったほか、依然として91年5月(+3.7%)以来の水準を維持しているものの、6月以降は横這いとなっており、上昇は一服している。
3.所得動向:新型コロナ対策としての失業保険給付の期限切れに伴い、移転所得は大幅減少
個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、9月の名目が▲1.3%(前月:+0.1%)と前月から大幅なマイナスに転じたほか、価格変動の影響を除いた実質ベースも▲1.6%(前月:▲0.2%)とマイナス幅が拡大した。(図表3)。
4.消費動向:財消費は広範な分野で伸びが鈍化
財消費では、耐久財が▲0.2%(前月:+0.4%)と前月からマイナスに転じたほか、非耐久財は+0.9%(前月:+2.3%)と伸びが大幅に鈍化した。
耐久財では、半導体不足で生産が減少した影響で新車販売が▲4.5%(前月:▲10.4%)とマイナスが続いていることもあって自動車・自動車部品が▲1.9%(前月:▲4.6%)と、マイナス幅は縮小したものの、5ヵ月連続でマイナスとなった。一方、家具・家電が+0.7%(前月:+3.1%)、娯楽財・スポーツカーが+0.5%(前月:+2.7%)と前月から伸びが鈍化した。
非耐久財では、ガソリン・エネルギーが+2.0%(前月:+2.5%)、食料・飲料が+0.9%(前月:+2.3%)、衣料・靴も+0.8%(前月:+2.0%)と、いずれも前月から伸びが鈍化した。
サービス消費は、医療サービスが+0.7%(前月:+0.7%)と前月並みの伸びを維持した一方、輸送が▲0.8%(前月:+0.5%)と前月からマイナスに転じたほか、住宅・公共料金が+0.2%(前月+0.8%)と伸びが鈍化した。一方、金融サービスが+0.7%(前月:+0.4%)と前月から伸びが加速したほか、娯楽が+1.7%(前月:▲0.8%)、外食・宿泊が+1.3%(前月:▲0.5%)と大幅なプラスに転じた。とくに、娯楽や外食・宿泊の消費回復は、9月に入って新型コロナの新規感染者数が減少した影響とみられる。
5.価格指数:前年同月比でエネルギーの大幅な物価押上げが持続
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(2021年11月01日「経済・金融フラッシュ」)
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