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私的年金制度の普及に向けて-金融教育の実効性を高めることが重要

金融研究部 企業年金調査室長 年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・サステナビリティ投資推進室兼任 梅内 俊樹
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昨年、DC制度への加入・拠出に係わる規定の見直しが相次いで決定された。一連の改正を通じて、DC制度への実質的な加入範囲が広がるとともに、企業型DC加入者やDB加入者の多くで、DC制度の拠出限度額は拡大することになる。勤務先の退職給付の導入状況によって享受できる税制優遇が異なるといった不公平性も緩和される。
しかしながら、不公平性や拠出限度額の分かりやすさという面では課題が残るとともに、特に、企業年金の恩恵を受けられず、老後の生活費の確保に対する不安が相対的に大きいと考えられる企業年金の非加入者に対しては、何らかの形で資産形成をサポートすることが求められる。そのサポートの一つとなるのが、金融教育の提供だろう
金融教育に関しては、金融危機以降、世界的に関心が高まっており、日本でも様々な取り組みが進められている。2022年度からは、高校家庭科の授業で株式や債券、投資信託等といった基本的な金融商品の特徴や資産形成の視点にも触れられるようになるなど、学校における金融教育には一定の進展が見られる。
老後への備えは若年層からスタートし、長期にわたって継続することが重要であることを踏まえると、高校卒業後も大学や職場など様々な場で学び、投資経験を通じて金融リテラシーを深めていくことが重要である。企業年金の非加入者を中心とする個人に主体的な資産形成を促すことを念頭に置きつつ、誰しもが生涯にわたって自然に金融教育を受けられる機会や、年代やライフステージごとに異なる多様なニーズに応える金融関連情報にアクセスしやすい環境を創出が欠かせない。
■目次
1――DC制度の加入範囲・拠出限度額の拡大
2――企業年金制度の見直しで参考にされる海外事例
1|非課税拠出枠
2|低所得者層へのインセンティブ付与
3|職域年金の自動加入制度
3――重要性が高まる金融教育
1|海外の金融教育
2|日本の金融教育
3|私的年金制度の普及に向けて
(2021年09月29日「基礎研レポート」)

03-3512-1849
- 【職歴】
1988年 日本生命保険相互会社入社
1995年 ニッセイアセットマネジメント(旧ニッセイ投信)出向
2005年 一橋大学国際企業戦略研究科修了
2009年 ニッセイ基礎研究所
2011年 年金総合リサーチセンター 兼務
2013年7月より現職
2018年 ジェロントロジー推進室 兼務
2021年 ESG推進室 兼務
梅内 俊樹のレポート
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