- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 年金 >
- 企業年金 >
- DC拠出限度額の見直しで重要性が高まる企業の取り組み
2020年12月25日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■要旨
確定給付企業年金などの給付建ての年金制度(以下、DB)を実施する場合の企業型DCの拠出限度額は、企業型DCのみを実施する場合の拠出限度額の一律半額とされている。DBに加入する者と加入していない者との間で非課税水準に不公平が生じないよう、DBの掛金相当額を一律に半額としているためである。しかし、DBの掛金相当額を一律に評価する取扱いは、足元のDBの実態から乖離しており、公平性の観点で課題とされてきた。
そこで、DBを併せて実施する場合の企業型DCの拠出限度額は、「DBごとの掛金相当額を月額5.5万円から控除した額」とし、DBの掛金相当額を一律評価する取扱いが改められる方向となった。併せて、DB加入者のiDeCoの拠出限度額についても、公平が図られることとなった。これによって、DBを実施する多くの企業で、企業型DCやiDeCoの拠出限度額が拡大することになる。
2020年5月に成立した年金制度改正法により、企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和が2022年10月に施行されるのに加え、DB加入者の企業型DCやiDeCoの拠出限度額が拡大することは、企業や個人による自助努力に対するサポートの拡充という点で意義がある。しかし、DC制度が広く有効活用されなければ、一人ひとりの老後資金の蓄積は進まない。その意味では、企業の取り組みの重要性は、拠出限度額の見直しにより、一段と高まると言える。iDeCoを福利厚生の対象外とせずに、iDeCoの有効活用も含めた資産形成を後押しする取り組みが企業には求められる。
■目次
1――DC制度の拠出限度額見直しの趣旨
2――DB加入者のDC拠出限度額の見直し
1|企業型DCの拠出限度額の見直し
2|iDeCoの拠出限度額の見直し
3――重要性が高まる企業の取り組み
確定給付企業年金などの給付建ての年金制度(以下、DB)を実施する場合の企業型DCの拠出限度額は、企業型DCのみを実施する場合の拠出限度額の一律半額とされている。DBに加入する者と加入していない者との間で非課税水準に不公平が生じないよう、DBの掛金相当額を一律に半額としているためである。しかし、DBの掛金相当額を一律に評価する取扱いは、足元のDBの実態から乖離しており、公平性の観点で課題とされてきた。
そこで、DBを併せて実施する場合の企業型DCの拠出限度額は、「DBごとの掛金相当額を月額5.5万円から控除した額」とし、DBの掛金相当額を一律評価する取扱いが改められる方向となった。併せて、DB加入者のiDeCoの拠出限度額についても、公平が図られることとなった。これによって、DBを実施する多くの企業で、企業型DCやiDeCoの拠出限度額が拡大することになる。
2020年5月に成立した年金制度改正法により、企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和が2022年10月に施行されるのに加え、DB加入者の企業型DCやiDeCoの拠出限度額が拡大することは、企業や個人による自助努力に対するサポートの拡充という点で意義がある。しかし、DC制度が広く有効活用されなければ、一人ひとりの老後資金の蓄積は進まない。その意味では、企業の取り組みの重要性は、拠出限度額の見直しにより、一段と高まると言える。iDeCoを福利厚生の対象外とせずに、iDeCoの有効活用も含めた資産形成を後押しする取り組みが企業には求められる。
■目次
1――DC制度の拠出限度額見直しの趣旨
2――DB加入者のDC拠出限度額の見直し
1|企業型DCの拠出限度額の見直し
2|iDeCoの拠出限度額の見直し
3――重要性が高まる企業の取り組み
(2020年12月25日「基礎研レター」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1849
経歴
- 【職歴】
1988年 日本生命保険相互会社入社
1995年 ニッセイアセットマネジメント(旧ニッセイ投信)出向
2005年 一橋大学国際企業戦略研究科修了
2009年 ニッセイ基礎研究所
2011年 年金総合リサーチセンター 兼務
2013年7月より現職
2018年 ジェロントロジー推進室 兼務
2021年 ESG推進室 兼務
梅内 俊樹のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/02/28 | 日本版サステナビリティ開示基準を巡る議論について-開示基準開発の経過と有価証券報告書への適用の方向性 | 梅内 俊樹 | 基礎研レター |
2024/09/06 | 持続的な発展に向けて-SDGsの先を見据えた継続的な取組が必要か? | 梅内 俊樹 | 基礎研マンスリー |
2024/09/05 | 持続的な発展に向けて-SDGsの先を見据えた継続的な取組が必要か? | 梅内 俊樹 | 研究員の眼 |
2024/04/03 | 私的年金の拠出枠組みについての更なる検討が必要 | 梅内 俊樹 | ニッセイ年金ストラテジー |
新着記事
-
2025年03月21日
東南アジア経済の見通し~景気は堅調維持、米通商政策が下振れリスクに -
2025年03月21日
勤務間インターバル制度は日本に定着するのか?~労働時間の適正化と「働きたい人が働ける環境」のバランスを考える~ -
2025年03月21日
医療DXの現状 -
2025年03月21日
英国雇用関連統計(25年2月)-給与(中央値)伸び率は5.0%まで低下 -
2025年03月21日
宇宙天気現象に関するリスク-太陽フレアなどのピークに入っている今日この頃
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【DC拠出限度額の見直しで重要性が高まる企業の取り組み】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
DC拠出限度額の見直しで重要性が高まる企業の取り組みのレポート Topへ