2020年10月07日

iDeCoの加入対象はどう変わるの?

金融研究部 企業年金調査室長 年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任   梅内 俊樹

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Q1.法改正(2020年5月)によってiDeCoの加入可能年齢が変わると聞きました。何歳まで加入できるようになるのですか?

iDeCoの加入可能年齢が拡大(2022/5施行)
iDeCoは個人型確定拠出年金の愛称ですが、確定拠出年金には個人型のほかに企業型があります。iDeCoが任意で個人が加入できる制度であるのに対して、企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)は、主に退職金制度の一部として企業が従業員のために導入する制度です。いずれも確定拠出年金であることから基本的な仕組みは共通ですが、加入対象には違いがあります。以下では、まず企業型DCの加入対象を確認し、その後にiDeCoの加入対象が法改正でどう変わるのかを確認します。

企業型DCに加入できるのは、現行(2020年9月時点)では、厚生年金被保険者のうち65歳未満の方となっています。ただし、60歳以上の場合には60歳までと同じ事業所に継続して使用される方に限られています。しかし法改正により、65歳未満とする年齢要件や60歳以上の同一事業所要件が削除されることで、2022年5月からは厚生年金被保険者(70歳未満)であれば加入が認められるようになります(図表1)。この結果、転職などにより60歳までとは異なる事業所で働く場合や65歳以降に働く場合であっても、厚生年金に加入していれば、企業によっては最長70歳未満まで企業型DCに加入できるようになります。

iDeCoの加入対象は、現行(2020年9月時点)では、国民年金の第1~3号被保険者のうち60歳未満の方となっています。このため、企業型DCとは異なり、60歳以上の方はiDeCoに加入することはできません。しかし法改正により、60歳未満とする年齢要件が撤廃されるため、2022年5月からは国民年金被保険者(65歳未満)であればiDeCoに加入できるようになる予定です(図表1)。

法改正を通じてiDeCoの加入対象が拡がることで、再雇用や定年延長などにより60歳以降も厚生年金に加入して働き続け、第2号国民年金被保険者の資格を保持する場合には、iDeCoへの加入を継続したり、新規に加入できるようになります。しかし、自営業者などの第1号被保険者や民間会社員・公務員の被扶養配偶者などの第3号被保険者は、そもそも60歳以降に国民年金被保険者の資格を喪失するため、改正法が施行された後も60歳以降にiDeCoに加入することはできません。ただし、老齢基礎年金の受給資格を満たしていない、あるいは、老齢基礎年金を満額受給できないなどの理由により、国民年金に任意加入していれば、65歳未満までiDeCoに加入できるようになります。また、これまではiDeCoに加入できなかった海外居住者にも、国民年金に任意加入していることを条件に、iDeCo加入の道が開かれることになります。

加入可能年齢が拡大されるということは、それだけ長く掛金を積み立てられるようになるということです。掛金は所得控除の対象ですから、所得が一定以上の場合には税制上の優遇措置も受けられます。法改正の対象者は限られますが、意義の大きな改正と言えます。

ちなみに、確定拠出年金の受給開始時期も見直されます。受給開始時期は企業型DCとiDeCoとの間で違いはなく、現行(2020年9月時点)では原則として60歳から70歳までの間で選択できるようになっています。改正法が施行される2022年4月以降は、上限年齢が75歳に引上げられ、受給開始時期の選択肢が拡大される予定です。公的年金の繰下げ受給のように、受給開始を遅らせたからといって積立金が自動的に増えることはありません。しかし、長く運用を継続し、運用収益を増やしたい方にとってはメリットのある改正です。
図表1 iDeCoの加入可能範囲の拡大

Q2.企業型DC加入者でも iDeCoに加入できるようになるってホントですか?

企業型DCとiDeCoの併用が可能に(2022年10月施行)
iDeCoは、誰でも利用できるようにというコンセプトに基づいて加入可能範囲が拡げられた2017年に、認知度向上の一環で付けられた愛称です。しかしながら、企業型DC加入者のうちiDeCoに加入できるのは、一部に限られており、大半の企業型DC加入者はiDeCo に加入できないのが実態です。現行(2020年9月時点)では、「iDeCoへの加入を認める規約の定めと事業主掛金の上限引下げ」がある企業型DCの加入者に、iDeCoへの加入が限られているためです。改正法ではこうした要件が撤廃され、「iDeCoへの加入を認める規約の定めや事業主掛金の上限引下げ」がない企業型DCの加入者であっても、事業主掛金が拠出限度額に満たない加入者は、iDeCoに加入して掛金を拠出できるようになります。

現行(2020年9月時点)の掛金限度額に基づくと、企業型DCのみに加入するケースであれば、事業主掛金が月額5.5万円の拠出限度額に満たない加入者は、「2万円以内、かつ、事業主掛金とiDeCoに拠出する掛金の合計が拠出限度額(月額5.5万円)を超えない範囲」でiDeCoに掛金を拠出ができるようになります(図表2)。DBなど企業型DC以外にも加入するケースでは、事業主掛金が月額2.75万円の拠出限度額に満たない加入者は、「1.2万円以内、かつ、事業主掛金とiDeCoに拠出する掛金の合計が拠出限度額(月額2.75万円)を超えない範囲」でiDeCoに掛金を拠出ができるようになります。

ただし、企業型DCで加入者が掛金を拠出するマッチング拠出とiDeCo加入の併用はできないことになっています。このため、マッチング拠出が可能な企業型DCの加入者は、マッチング拠出とiDeCo加入のいずれかを選択する必要があります。

こうした不都合は残りますが、法改正によって、事業主掛金が拠出限度額に満たない方の割合が多いと考えられる若い世代を中心に、資産形成の可能性が広がることになります。将来的に掛金限度額が見直される可能性がある点には注意が必要ですが、積極的な活用が期待されます。
図表2 企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和
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金融研究部   企業年金調査室長 年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

梅内 俊樹 (うめうち としき)

研究・専門分野
リスク管理、年金運用

(2020年10月07日「ジェロントロジーレポート」)

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