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家計の保守的な投資行動の転換には投資教育の拡充が必要
金融研究部 企業年金調査室長 年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 梅内 俊樹
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このように、日本の家計によるリスク性資産への投資は主要な先進国と比較して積極的とは言えない状況だが、その要因として様々な指摘がなされている。例えば、リスク性資産に十分なリターンを期待できないことや、リスク性資産に投資できるだけの余裕がない可能性である。米国ではITバブルの崩壊や世界的な金融危機を乗り越え、中長期的に株価は上昇トレンドを維持している。しかし、日本では資産バブル崩壊以降、長期にわたり株価は低迷を続けるなど、預貯金への偏重等の背景にある安全志向の転換を促すほど、良好な市場環境が継続しているわけではない。将来的にも、少子高齢化や人口減少がリスクを取る意欲を阻害している面がある。
また一般的には、保有する資産残高が多い家計ほど、リスク性資産に投資できる余裕があると考えられるが、日本では持家志向が強く、持家の取得に向けて貯蓄を行い、持家取得後は住宅ローンの返済に追われる家計は多い。こうした中で、リスク性資産に投資できる経済的な余裕が制約されるとともに、心理的にもリスクを積極的に取る意欲が抑制される傾向があるのではないかとの指摘である。
この他、十分な金融知識に欠けることが、リスク性資産への投資態度に影響している可能性も指摘されている。金融広報中央委員会が2016年に実施した金融リテラシー調査によれば、家計管理や生活設計、金融知識に関する正誤問題で、リスク性資産(株式・投資信託・外貨預金等)に投資しない人の正答率は、投資している人に比べ低い。また、金融知識を問う共通の正誤問題(複利、インフレ、住宅ローン、分散効果、債券価格)の正答率を米国と比較すると、日本は米国よりも10%下回り、ドイツと共通の正誤問題(金利、複利、インフレ、リスクリターン、分散投資)の正答率の比較では、ドイツを9%下回るとの調査結果もある。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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(2019年05月31日「研究員の眼」)
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