- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 年金 >
- 個人年金 >
- iDeCoで株式投資
コラム
2017年07月31日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大

しかし、株式投資には配当収入が期待できる。2000年度から2016年度までのTOPIXベースの配当リターンは28%に上る。最近では、企業の間でも株主還元が意識され、積極的に配当する姿勢も見られるようになっている。株価が長期的に値上がりしないとしても、現状並みの株価水準が長期的に維持されるのであれば、配当収入の分だけ、プラスのリターンを期待することができることになる。そもそも、長期的にはTOPIXが過去十数年の天井を上抜ける可能性も十分にあろう。国内企業の海外売上高比率は上昇傾向を辿っており、低成長が懸念される日本よりも高い海外の経済成長の恩恵を受ける形で、国内企業の業績が拡大することが期待されるためだ。
今年から20歳以上60歳未満のすべての国民が原則として加入できるようになったiDeCoは、税制メリットに関心が寄せられがちだが、定期定額投資を自動的に実現できるメリットも大きい。定期定額投資は特定の資産を価格水準に関わらず買い続ける積立法であり、資産価格が大きく下落した局面でも投資を継続することで、平均購入単価を抑制できるメリットが見込める。ITバブル時の高値からTOPIXへの定期定額投資を開始したとすると、TOPIX自体はITバブル時の高値を下回る状況にあるが、配当除きで22%、配当を加味すると35%の運用収益を元本に対して確保できた計算になる。
株式投資はリスクが高いのは事実であるが、TOPIXが将来的に2000年以降に推移したレンジを上抜けないにしても、iDeCoを通じた資産形成を考える際には、定期的な投資を通じて運用収益を積み上げられる可能性が十分にあることを認識しておくべきだろう。
※ iDeCoとは・・・
- iDeCoは、高齢期の生活に備えるために、個人が任意で加入できる個人型確定拠出年金の愛称。
- 加入申込み先の金融機関が提示する運用商品の中から、自らに合った運用商品を選び、毎月一定の掛金で買い増していきながら、長期的に資産形成を図る自助努力型の年金制度。
- 掛金拠出時、運用時、給付受給時の各段階で税制優遇が受けられるメリットがある。
- 平成29年1月からiDeCoの加入対象が拡大され、専業主婦の方や公務員を含め、基本的に公的年金制度に加入している60歳未満の全ての方が加入できるようになった。
(2017年07月31日「研究員の眼」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1849
経歴
- 【職歴】
1988年 日本生命保険相互会社入社
1995年 ニッセイアセットマネジメント(旧ニッセイ投信)出向
2005年 一橋大学国際企業戦略研究科修了
2009年 ニッセイ基礎研究所
2011年 年金総合リサーチセンター 兼務
2013年7月より現職
2018年 ジェロントロジー推進室 兼務
2021年 ESG推進室 兼務
梅内 俊樹のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/02/28 | 日本版サステナビリティ開示基準を巡る議論について-開示基準開発の経過と有価証券報告書への適用の方向性 | 梅内 俊樹 | 基礎研レター |
2024/09/06 | 持続的な発展に向けて-SDGsの先を見据えた継続的な取組が必要か? | 梅内 俊樹 | 基礎研マンスリー |
2024/09/05 | 持続的な発展に向けて-SDGsの先を見据えた継続的な取組が必要か? | 梅内 俊樹 | 研究員の眼 |
2024/04/03 | 私的年金の拠出枠組みについての更なる検討が必要 | 梅内 俊樹 | ニッセイ年金ストラテジー |
新着記事
-
2025年03月14日
噴火による降灰への対策-雪とはまた違う対応 -
2025年03月14日
ロシアの物価状況(25年2月)-前年比で上昇が続き10%超に -
2025年03月14日
株式インデックス投資において割高・割安は気にするべきか-長期投資における判断基準について考える -
2025年03月13日
インド消費者物価(25年2月)~2月のCPI上昇率は半年ぶりの4%割れ -
2025年03月13日
行き先を探す“核の荷物”~高レベル放射性廃棄物の最終処分とエネルギー政策~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【iDeCoで株式投資】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
iDeCoで株式投資のレポート Topへ