2021年09月17日

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■要旨
 
  • 東京都心部Aクラスビルの空室率は、景気悪化やテレワークの普及など先行き不透明感が広がるなか、上昇が続いている。一方、成約賃料は、昨年の大幅下落を経て、概ね横這いで推移している。本稿では、東京都心部Aクラスビル市場の動向を概観した上で、2025年までの賃料と空室率の予測を行った。
     
  • 新型コロナウィルスの感染拡大後も、人手不足の状況が継続しており、東京都心部の「オフィスワーカー数」が大幅に減少する懸念は小さい。しかし、東京都の就業者数(総数)は増えておらず、「学術研究、専門・技術サービス業」や「金融業、保険業」等、オフィスワーカーの比率の高い産業で就業者が減少している。
     
  • また、東京では「在宅勤務」が定着しオフィス出社率が低下するなか、企業にとって「オフィス戦略の見直し」が、重要な経営課題となっている。一部の企業では、オフィス床面積を削減する方針を発表している。
     
  • 「サードプレイスオフィス」についても、企業の利用が増加するなか、需要の一躍を担っていたフリーランスはコロナ禍の影響を受けて厳しい経済環境に直面にしている。
     
  • 以上のことを鑑みると、オフィス需要は力強さを欠き、空室率は緩やかな上昇が続くと見込む。
     
  • 成約賃料は、空室率の上昇を受けて緩やかな下落基調で推移すると見込む。2020 年の賃料を100 とした場合、2021 年は「100」、2022年は「98」、2025 年は「92」への下落を予測する。


■目次

1. はじめに
2. 東京都心Aクラスオフィス市場の現況
  2-1. 空室率および賃料の動向
  2-2. オフィス市場の需給動向
  2-3. 「オフィスワーカー数」・「在宅勤務」・「サードプレイスオフィス」の動向から、
    今後のオフィス需要を考える
3. 東京都心部Aクラスビル市場の見通し
  3-1. Aクラスビルの新規供給見通し
  3-2. Aクラスビルの空室率および成約賃料の見通し
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金融研究部   主任研究員

吉田 資 (よしだ たすく)

研究・専門分野
不動産市場、投資分析

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