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ふるさと納税はなぜ3割か?-課税状況データを基に最適な返礼品の割合を考える

金融研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・ESG推進室兼任 高岡 和佳子
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5――返礼品の割合引き下げると不平等も解消
返礼品の割合を下げると、実質的に、利用者は高額納税者に限られるのだから、公平性が失われると考えるかもしれない。しかし、現状においても既に公平性はない。返礼品が一種の還付となっており、所得が多い人ほど受けるメリットが大きいのは周知の事実である。そして、ふるさと納税返礼品の割合の低下は、不公平性を現状よりは緩和する効果が期待できる(図表9)。
2017年に事務局によって集約された意見の中には、実質的に高額所得者への優遇制度となっていることに対する懸念も多く、『現行の住民税所得割額の2 割という上限設定(定率)に加え、控除可能な寄附額の上限金額(定額)を設定することも考えられる』4や『高額所得者に対する返礼については一定の規制をすべき』1といった意見もあがっている。控除可能な寄付額に定額上限を設定すれば、ふるさと納税総額が大幅に減少することは明らかで、現時点では定額上限は設定されていない。また、返礼品は一時所得として課税対象となるが、課税対象者は極一部に限定される。一時所得の特別控除が50万円なので、寄付額に換算して170万円相当、課税所得に換算すれば4,000万円相当の納税者に限られる6。このように「高額所得者の優遇」に関しては、抜本的な改善には至っていない。返礼品の割合を2割程度に引き下げるという案は、自治体に残る金額の減少を抑えつつ、「高額所得者の優遇」という課題も緩和できる妙案ではないだろうか。
6 一時所得がふるさと納税の返礼品のみの場合
6――まとめ
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年09月07日「基礎研レポート」)
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03-3512-1851
- 【職歴】
1999年 日本生命保険相互会社入社
2006年 ニッセイ基礎研究所へ
2017年4月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
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