2021年08月19日

米住宅着工・許可件数(21年7月)-着工件数は153.4万件と前月(165.0万件)、市場予想(160.0万件)を下回る

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:着工は前月、市場予想を下回る一方、許可件数は前月、市場予想を上回る

8月18日、米国センサス局は7月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は153.4万件(前月改定値:165.0万件)と164.3万件から小幅上方修正された前月を下回ったほか、市場予想の160.0万件(Bloomberg集計の中央値)も下回った(図表1、図表3)。

住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は163.5万件(前月改定値:159.4万件)と、159.8万件から小幅下方修正された前月、市場予想の161.0万件を上回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:戸建ての許可件数(前月比)は4ヵ月連続マイナスと回復に遅れ

住宅着工件数の伸びは前月比▲7.0%(前月:+3.5%)と3ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表3)。内訳をみると、戸建てが前月比▲4.5%(前月:+5.9%)と3ヵ月ぶりにマイナスに転じたほか、集合住宅が▲13.1%(前月:▲1.8%)と2ヵ月連続でマイナスとなった(図表4)。

前年同月比では+2.5%(前月:+29.6%)と5ヵ月連続のプラスとなったものの、プラス幅は大幅に縮小した。戸建てが+11.7%(前月:+28.8%)と2桁のプラスを維持した一方、集合住宅が▲15.7%(前月:+31.6%)とマイナスに転じて足を引っ張った。

地域別寄与度(前月比)は、南部が+1.1%ポイント(前月:+3.8%ポイント)と3ヵ月連続でプラスとなり、好調を維持した一方、北東部が▲4.3%ポイント(前月:+0.3%ポイント)、西部が▲3.0%ポイント(前月:+3.2%ポイント)と前月からマイナスに転じたほか、中西部が▲0.8%ポイント(前月:▲3.8%ポイント)と2ヵ月連続でマイナスとなった。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+2.6%(前月:▲5.3%)とこちらは4ヵ月ぶりにプラスに転じた(図表5)。戸建てが▲1.7%(前月:▲6.0%)と4ヵ月連続でマイナスとなった一方、集合住宅が+11.2%(前月:▲2.4%)と前月からプラスに転じて全体を押し上げた(図表6)。

前年同月比は+6.0%(前月:+23.0%)と14ヵ月連続のプラスとなったものの、プラス幅は大幅に縮小した。戸建てが+5.5%(前月:+25.4%)、集合住宅が+6.9%(前月:+18.4%)といずれも前月からプラス幅が大幅に縮小した。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅市場指数(項目別) 全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、8月が75(前月:80)と前月から▲5ポイント低下し、20年7月(72)以来13ヵ月ぶりの低水準となった(図表7)。

内訳は販売現況が81(前月:86)、客足が60(前月:64)とそれぞれ▲5ポイント低下した一方、販売見込みは81(前月:81)と横這いとなった。

NAHBは低下の要因として建設コストの上昇、供給不足、住宅価格の上昇を挙げている。足元で建材価格は下落に転じているものの、住宅価格は前年比で2桁の上昇が持続しており、住宅価格の上昇は今後も住宅市場回復の重石となろう。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2021年08月19日「経済・金融フラッシュ」)

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