コラム
2021年07月02日

食器の油汚れを拭き取る-私が心がけているSDGs

保険研究部 上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任 中嶋 邦夫

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在宅勤務も相まって、私が食器を洗う機会が増えている。私が食器を洗う時に気をつけているのが、油汚れの拭取りだ。100%行えているわけではないが、食器やフライパンなどについた油汚れを古新聞などで拭き取ってから洗うようにしている。
図表1 油汚れの拭取りに関するポスター 私が油汚れの拭取りを心がけるようになったきっかけは3つある。1つは、東京湾で実施された何かの国際大会で水質の悪さが問題になった、という数年前のニュースである。通常であれば、生活排水は下水処理場で浄化処理されてから河川や海へ放流される。しかし、東京都区部の下水道の大半は生活排水と雨水を一緒に流す「合流式」になっているため、大雨などで水量が下水処理の能力を超えると、処理されないままの下水が河川や海へ放流され、水質悪化の原因となるという。
図表2 油汚れで管が詰まった様子の例 きっかけの2つ目は、わが家で起こった排水管の詰まりである。何年前かは忘れてしまったが、ある時、台所の排水が流れなくなった。排水パイプを針金が付いたブラシなどでこすっても改善しなかったが、インターネットで調べてお湯を流したところ解決した。揚げ物の廃油を吸い取って捨てていても、その他の油汚れが配水管に付着して流れが悪くなることがあるという。
図表3 油脂による下水道管の詰まりの例 きっかけの3つ目は、子どもの学校公開で参観した東京都下水道局による「でまえ授業」である。同局の皆さんが、下水が流れる速さを問う3択クイズなどを交えながら、下水処理の仕組みと課題、そして家庭でもできる対策を紹介する内容だったと記憶している。恥ずかしながら、この授業を参観している最中に前述のニュースや自宅でのトラブルを思い出し、自宅での対処はまさに「喉元過ぎれば…」だったと反省して、油汚れの拭取りを始めた。

東京湾の水質汚染や東京都下水道局の「でまえ授業」は私の身の回りでの出来事だが、油脂による下水道管の詰まりは全国各地の自治体でも問題となっている(例:図表3)。さらに、河川や海の水質悪化は2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の「14 海の豊かさを守ろう」などにも関わる問題と言えるだろう。

SDGsやESGは企業の取り組み、という声も聞かれるが、私たちが普段の生活から心がけることで、企業の一員としてSDGsやESGを業務で実践する機会が増えるのではなかろうか。






 
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保険研究部   上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任

中嶋 邦夫 (なかしま くにお)

研究・専門分野
公的年金財政、年金制度全般、家計貯蓄行動

経歴
  • 【職歴】
     1995年 日本生命保険相互会社入社
     2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
     2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
    (2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)

    【社外委員等】
     ・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
     ・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
     ・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
     ・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
     ・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)

    【加入団体等】
     ・生活経済学会、日本財政学会、ほか
     ・博士(経済学)

(2021年07月02日「研究員の眼」)

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