コラム
2021年07月01日

東証REIT指数(配当込み)は最高値を更新。物件価格もプラスに転換~市場は堅調も、各種ファンダメンタルズの動向に留意~

金融研究部 不動産調査室長   岩佐 浩人

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今年に入り、Jリート(不動産投資信託)市場は上昇基調を強めている。6月末時点で東証REIT指数(配当除き)は8カ月連続で上昇し、年初からの上昇率は20.6%となった(図表1)。ワクチン接種の拡大に伴う経済活動の再開期待から、これまで株式市場と比べて出遅れていたJリート市場に資金が流入している。また、配当込み指数(赤線)は2020年2月の高値を上回り史上最高値を更新した1。これにより、コロナショック前の高値で投資した人も、その後の急落に耐えて継続保有することで収益がプラスとなり、投資成果の面ではコロナ禍を乗り切ったことになる。
図表1:東証REIT指数の動き(2020年12末=100)
こうしたなか、Jリート保有物件の評価額が上昇に転じたことも市場に安心感を与えている。Jリート各社が開示する鑑定評価額の変動率(前期比)を、「コロナ前:19年10月~20年3月」、「コロナ深刻期:20年4月~20年9月」、「直近:20年10月~21年3月」の半年毎に分けて集計すると、Jリート市場全体では、「1.2%上昇」→「▲0.2%下落」→「0.5%上昇」となりプラスに転換した。
図表2:Jリート保有物件の6カ月毎の価格変動率(セクター別、前期比)
アセットタイプにみると、「コロナ前」は全てのセクターがプラスで、なかでも賃料が上昇局面にあったオフィス(+1.6%)と住宅(+2.1%)の伸びが目立っていた。これに対して、20年4月以降の「コロナ深刻期」では、甚大な被害を被ったホテル(▲3.9%)と商業施設(▲0.5%)が下落し、オフィス(+0.2%)と住宅(+0.4%)、物流施設(+0.3%)も上昇率が鈍化したことで、全体でマイナスに転じた。
 
しかし、「直近」はホテル(▲0.6%)と商業(▲0.4%)は引き続き下落したが、不動産売買市場で投資家の引き合いが強い住宅(+1.3%)と物流施設(+2.0%)が全体を牽引し、再びプラスに転換している。昨年3月にJリート市場が急落した際には、前回のリーマンショック時と同様、不動産価格への連鎖が心配されたが、どうやら杞憂に終わりそうである。
 
もっとも、直近の不動産価格の上昇は期待利回りの低下による効果が大きい。米国においてインフレリスクが高まるなか、世界の投資利回り基準となる米国金利の動向には十分留意したい。また、景気に対して遅行して動く不動産賃貸市況の底打ち時期は依然不透明で、不動産収益の悪化に対する警戒感は強い。足もとのJリート市場は堅調に推移しているが、引き続き各種ファンダメンタルズの動向を注意深く確認する必要がありそうだ。
 
1 東証REIT指数(配当込み)は6月29日に4,756となり、コロナ禍前の最高値4,681(20/2/20)を1年4カ月ぶりに更新した。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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金融研究部   不動産調査室長

岩佐 浩人 (いわさ ひろと)

研究・専門分野
不動産市場・投資分析

(2021年07月01日「研究員の眼」)

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