コラム
2021年06月18日

さらに活用が進む、つみたてNISA~2021年は買付金額が1兆円超えか~

金融研究部 准主任研究員   前山 裕亮

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つみたてNISA口座からの買付金額が急増

2018年1月から始まった「つみたてNISA(少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度)」、3年目となった2020年の年末時点での口座数は302万口座と2019年末の189万口座から1.6倍になった。買付金額の増加は口座数増加より顕著で2020年の1年間で4,639億円と2019年の2,044億円から2.3倍になった。つみたてNISAの活用が、ますます進んだことがうかがえる。
 
四半期ごとに口座数(棒グラフ)と買付金額(線グラフ)の推移をみると、2020年10月-12月に買付金額が急増したことが分かる【図表1】。口座数は2020年に毎四半期ごとに概ね30万口座ずつ増加した。買付金額は2020年7月-9月までは口座数と同程度の増加幅であったが、10月-12月の買付金額が2,002億円と7月-9月の1,035億円から倍増した。
【図表1】 つみたてNISAの口座数と3カ月の買付額の推移

口座開設後に実際に買付を行う投資家が増えた

つみたてNISAに関する詳細データが開示されるのが年1回、12月末のみである。そのため、なぜ10月-12月に買付金額が急増したのか分かりかねる部分もあるが、それまで口座開設したものの買付を行っていなかった投資家が10月-12月に買付を開始することが多かったのかもしれない。
 
実際に2020年は買付が行われた口座数が全体の口座数以上に増加している【図表2:左】。2020年に買付が行われた口座数は206万口座と2019年の110万口座から1.9倍増加し、全体の口座数の1.6倍増加よりも大きかった。2018年、2019年は開設されている口座の6割弱からしか買付が行われていなかった。その割合が2020年は7割弱と1割ほど増加し、利用状況が改善した。
 
また、買付が行われた口座の中では、1年間に20万円超の買付を行った口座数が2020年に84万口座と2019年の35万口座から2.4倍と顕著に増えた。それに伴って買付を行った口座の中で20万円超の買付を行った口座の割合が2019年の3割強から2020年は4割にまで上昇している。1口座あたりの平均買付金額(買付がなかった口座を除外)も2020年は23万円と2019年の19万円から4万円ほど増加しており、2020年に買付を増やす投資家も多かったと考えられる。
 
年代別で買付が行われた口座数をみると、やはり2020年も現役世代である20歳代から50歳代で活用がさらに進んだことが分かる【図表2:右】。特に、30歳代の増加が顕著で、その結果、年代別にみて30歳代の買付ありの口座数が最も大きくなっている。2020年は2019年の「年金2,000万円不足」問題のような、つみたてNISAの活用が進むような明確なきっかけはなかったと思われる。ただ、「年金2,000万円不足」問題は意外と2020年に入っても意識されており、コロナ禍の中で在宅時間が増える中、資産形成について真剣に考え、調べ、実行に移す時間的余裕がある方も多かったと思われる。そしてなにより、4月以降の良好な株式市場環境も追い風になったはずである。そのようなことが投資家の背中を押し、つみたてNISAの活用がより進んだのかもしれない。
【図表2】 つみたてNISAの買付額別口座数(左)と 年代別の買付ありの口座数(右)

コロナ・ショックでも売却する投資家は少なく

実は、2020年12月末時点のつみたてNISAに関する詳細データの中で、公表前に特に注目していたデータがある。それは2020年中の売却額である。2020年は2月から3月にかけて金融市場が混乱、いわゆるコロナ・ショックで つみたてNISA対象投信でも基準価額が大きく下落するものも多かった。基準価額の急落を嫌気して、売却してしまった投資家もいるのではと考えていたためである。

公表された2020年中の売却額は519億円であり、2019年末の残高3,069億円の17%であった。2019年も18%(=2019年中売却額158億円/2018年末残高884億円)売却されており、2020年は2019年と同程度の売却で収まっていたといえるだろう。つまり、コロナ・ショックをきっかけに売却してしまった投資家は、ショック後の基準価額の戻りが早かったこともあってか、少なかったようである。
 
ただ、コロナ・ショックの影響は軽微であったかもしれないが、つみたてNISAから2年連続で2割弱の売却があり、2020年もそれなりに売却が出たといえる。2020年、特に年後半は2019年と同様に利益確定の売却をしたくなる株式市場環境であった。また、売却額は含み益を含むため、残高と比べてやや数値が大きくなりやすい面も確かにある。それを差し引いても、つみたてNISAの制度趣旨を踏まえると、1-2年程度の短期で売却してしまうのはもったいないと筆者は感じている。
 
つみたてNISAの活用が今後どのくらい進むのかと合わせて、投資家が実際にどのように つみたてNISAを活用していくのか、つみたてNISAによって積立投資と合わせて長期投資も根付いていくのかについても引き続き注目してみていきたい。

2021年は買付金額が1兆円超えか

2021年についてはこれから金融庁から公表されるデータをとりあえず待つ必要があるが、2021年は2020年よりも買付金額がさらに増加しているのではないかと推察している。

それは2021年に入ってから外国株式のインデックス投信など つみたてNISA対象投信の資金流入が明らかに増加しているためである。つみたてNISA投信の設定額1をみると、「それ以外の投信」(黄棒:主に外国株式のインデックス投信)を中心に設定額が2020年12月から増加し、2021年3月に一段と増加していることが分かる【図表3】。断言はできないが、2021年に入ってから つみたてNISAからの買付が一段と増えていると考えて問題ないといえる。
 
そのため、つみたてNISAからの買付金額が2021年は8,000億円(2020年10月-12月の買付金額の約4倍)を軽く超え、1兆2,000億円から1兆5,000億円になるのではと予想している。いずれにしても、つみたてNISAが始まって4年目になるが、4年目にして早くも、つみたてNISAからの買付が投信市場全体からみても無視できない存在になりつつあるのかもしれない。
【図表3】 つみたてNISA対象投信の設定額の推移
 
1 設定額のすべてが、つみたてNISAからの買付ではない点は留意する必要がある。特に、つみたてNISA対象の国内株式投信の場合、タイミング投資などの つみたてNISA以外からの買付が多いと思われるため、【図表3】では国内株式投信とその他の投信とで分けて集計を行った。
 
 

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前山 裕亮 (まえやま ゆうすけ)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

(2021年06月18日「研究員の眼」)

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