2021年06月16日

英国雇用関連統計(5月)-経済活動再開で雇用環境も改善の兆し

経済研究部 准主任研究員   高山 武士

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1.結果の概要:失業率は低下が続く

6月15日、英国国家統計局(ONS)は雇用関連統計を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【5月】
失業保険申請件数1前月(258.83万件)から9.26万件減の249.57万件となった(図表1)。
申請件数の雇用者数に対する割合は6.2%となり、前月(同6.4%)から下落した。

【4月(2-4月の3か月平均)】
失業率は4.7%で前月(4.8%)から下落、市場予想2(4.7%)と同じだった(図表1)。
就業者は3248.7万人で3か月前の3237.4万人から11.3万人の増加となった。
増減数は前月(8.4万人)から増加したが、市場予想(+13.5万人)は下回った。
週平均賃金は、前年同期比+5.6%で前月(+4.3%)から加速、市場予想(+5.3%)も上回った(図表2)。

(図表1)英国の失業保険申請件数、失業率/(図表2)賃金・労働時間の推移
 
1 求職者手当(JSA:Jobseekerʼs Allowance)、国民保険給付(National Insurance credits)を受けている者に加えて、主に失業理由でユニバーサルクレジット(UC)を受給している者の推計数の合算。なお、UCはJSAより幅広い求職手当てであり、失業者数を示す統計としては過大評価している可能性がある。このため、ONSは失業保険等申請件数について公式統計とはしておらず実験統計という位置付けで公表している。ただし、公表日の前月のデータを入手できるため、速報性の高さという利点がある。
2 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:4月は休業者や労働時間、5月は対面サービス業でも改善

まず、失業保険申請件数と同じく5月のデータとして公表されている求人数および給与所得者数を確認すると、求人数は21年3-5月の平均で75.8万件だった(図表3)。単月(未季節調整値)では5月で88.1万人となった。コロナ禍の影響がない2年前(19年5月、82.7万人)を超える水準まで急回復している。

給与所得者データ3を見ると、5月の給与所得者は2851.1万人で4月から19.7万人増えた。今回公表された数値では、20年12月以来6か月連続の増加で、特にこの2か月の増加幅は10万人を超えている(図表4)。また、5月は19.7万人中6.9万人がコロナ禍の影響が大きかった居住・飲食・芸術・娯楽業であり、経済活動再開(4月12日に屋外飲食が解禁、5月17日には店内飲食が解禁)の動きを反映して対面サービス業にも改善が見える。

月あたり給与額(中央値)については前年同月比+9.1%で4月(9.9%)からやや伸び率が鈍化したが、ベース効果を排除できる2年前比では+8.1%で年初以降8%台の伸び率を維持している。
(図表3)求人数の変化(要因分解)/(図表4)給与取得者データの推移
4月までのデータを確認すると、2-4月は失業者が減少、就業者が増加したため失業率は4.7%まで改善している(前掲図表1)。また、労働時間も30.0時間(前年同期差+1.0時間)、フルタイム労働者で34.5時間(同+0.7時間)と20年11月以来の改善となった(前掲図表2)。一方、労働参加率は63.4%でコロナ禍以降の64%割れの状況が続いている。賃金関係では、2-4月の平均賃金が、前年同期比+5.6%(実質は+4.4%)と加速した。ONSは職業構成の違いが賃金に与える影響(低所得の職の減少による)押し上げ効果を5月で2.5%ポイントと推計しており、前年のベース効果とあいまって高い伸び率を記録した(図表5)。
(図表5)英国の賃金伸び率と構成効果/(図表6)英国の雇用統計(週次データ)
最後に週次データを確認すると(図表6)、政府の雇用維持政策は続いているが4、4月には休業者の改善が見られ、300万人台まで減少している。コロナ禍前の250万人前後よりもやや高い水準ではあるものの経済活動は正常化に向かっており、さらなる改善にも期待ができる状況と言える。
 
3 歳入関税庁(HRMC)の源泉徴収情報を利用した実験統計。直近データは利用可能な情報の85%ほどを集計して算出。
4 CJRS(Coronavirus Job Retention Scheme)は21年9月末まで実施予定。6月までについては昨年8月と同じ水準での支給(月2500ポンドを上限に給与の80%まで支給、社会保障は雇用主負担)、その後7月以降は段階的な政府負担の引き下げを予定。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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経済研究部   准主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

(2021年06月16日「経済・金融フラッシュ」)

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