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- 英国GDP(2021年1-3月期)-輸出入にはEU離脱の影響も
2021年05月13日
1.結果の概要:前期比▲1.5%と再びマイナスに
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想も同様。
2.結果の詳細:昨年冬から一進一退の状況が続く、輸出入にはEU離脱の影響も
英国の21年1-3月期の実質成長率は前期比▲1.5%(年率換算▲5.9%)となり、20年4-6月期以来のマイナスとなった。前年同期比では▲6.1%、コロナ禍前の19年10-12月との比較では▲8.7%となった。コロナ禍からの回復状況としてはユーロ圏主要国と比較して相対的に低い状況にある(図表2)。
月次GDPの推移を部門ごとに追うと、まず生産部門(鉱工業)は相対的に回復が早くコロナ禍前の水準にかなり近づいてきた。建設部門は落ち込みが深く回復ペースも生産部門より遅かったが、年明け以降の回復の顕著で、3月にコロナ禍前の水準を超えている。一方、サービス部門の回復の足取りは遅い。
図表4ではより細かい産業分類における月次GDP(2019年12月比)を、直近ピーク(20年10月)、直近ボトム(21年1月)、最新値(3月)の3種類で示している。コロナ禍の影響を大きく受けているのは住居・飲食業であり、昨年10月のピーク時にはコロナ禍前と比較して35%程度低い水準まで回復していたが、今年は60%ほど低い水準まで低迷している。一方、サービス部門のうち卸・小売業や教育業では直近ボトムの1月と比較して足もとの3月にかけての回復幅が比較的大きかった。
図表4ではより細かい産業分類における月次GDP(2019年12月比)を、直近ピーク(20年10月)、直近ボトム(21年1月)、最新値(3月)の3種類で示している。コロナ禍の影響を大きく受けているのは住居・飲食業であり、昨年10月のピーク時にはコロナ禍前と比較して35%程度低い水準まで回復していたが、今年は60%ほど低い水準まで低迷している。一方、サービス部門のうち卸・小売業や教育業では直近ボトムの1月と比較して足もとの3月にかけての回復幅が比較的大きかった。
成長率を需要項目別に確認すると、10-12月期では、個人消費が前期比▲3.8%(前年同期比▲10.8%)、政府消費が同+2.6%(+4.8%)、投資が同▲2.3%(▲3.7%)、輸出が同▲7.5%(▲12.2%)、輸入が同▲13.9%(▲13.6%)となった。行動制限による落ち込みに加え、輸出入がともに大きく減少した背景として、21年初からEU離脱後の新しい通商関係がEUと開始されたことが影響していると見られる。
最後に名目GDPを確認すると、1-3月期は前期比▲0.1%(前年同期比▲1.5%)となり、実質GDPと比較して落ち込み幅は限定的となった。所得別に見ると主要項目である雇用者報酬や営業余剰の金額がコロナ禍前の水準を回復していることが分かる(図表5)。一方、税負担は依然、コロナ禍前と比べ低い水準にある。
最後に名目GDPを確認すると、1-3月期は前期比▲0.1%(前年同期比▲1.5%)となり、実質GDPと比較して落ち込み幅は限定的となった。所得別に見ると主要項目である雇用者報酬や営業余剰の金額がコロナ禍前の水準を回復していることが分かる(図表5)。一方、税負担は依然、コロナ禍前と比べ低い水準にある。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年05月13日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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