2021年05月13日

英国GDP(2021年1-3月期)-輸出入にはEU離脱の影響も

経済研究部 准主任研究員   高山 武士

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1.結果の概要:前期比▲1.5%と再びマイナスに

5月12日、英国国家統計局(ONS)はGDPの一次速報値(first quarterly estimate)および月次GDPを公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【2021年1-3月期実質GDP、季節調整値)】
前期比は▲1.5%、予想1(▲1.6%)より上振れ、前期(1.3%)から減少した(図表1)
前年同期比は▲6.1%、予想(▲6.1%)と同じで、前期(▲7.3%)から改善した

【月次実質GDP(1-3月)】
前月比は1月▲2.5%、2月+0.7%、3月+2.1%となり2-3月には改善の動きが見られた

(図表1)英国の実質GDP成長率(需要項目別寄与度)/ 
(図表2)英国・ユーロ圏主要国のGDP水準(コロナ禍前との比較)
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想も同様。

2.結果の詳細:昨年冬から一進一退の状況が続く、輸出入にはEU離脱の影響も

英国の21年1-3月期の実質成長率は前期比▲1.5%(年率換算▲5.9%)となり、20年4-6月期以来のマイナスとなった。前年同期比では▲6.1%、コロナ禍前の19年10-12月との比較では▲8.7%となった。コロナ禍からの回復状況としてはユーロ圏主要国と比較して相対的に低い状況にある(図表2)。
(図表3)英国の月次GDPの推移 月次GDPでコロナ禍後の動きを追うと(図表3)、昨年4月に大きく落ち込んだ後、10月にかけて回復がみられた。しかし、11月以降は一進一退の動きとなっている。この間、イングランドでは11月にロックダウン(2回目)、12月に一旦解除、1月には変異株の流行で再度ロックダウン(3回目)と断続的に厳しい行動制限を実施していた。3回目のロックダウンは3月下旬まで続いた(学校は3月上旬に対面形式を再開)が、月次GDPの動きでは2月・3月はやや改善が見られる。ただし、3月のGDP水準は2回目のロックダウン前である昨年秋(9-10月)には届いていない。
月次GDPの推移を部門ごとに追うと、まず生産部門(鉱工業)は相対的に回復が早くコロナ禍前の水準にかなり近づいてきた。建設部門は落ち込みが深く回復ペースも生産部門より遅かったが、年明け以降の回復の顕著で、3月にコロナ禍前の水準を超えている。一方、サービス部門の回復の足取りは遅い。

図表4ではより細かい産業分類における月次GDP(2019年12月比)を、直近ピーク(20年10月)、直近ボトム(21年1月)、最新値(3月)の3種類で示している。コロナ禍の影響を大きく受けているのは住居・飲食業であり、昨年10月のピーク時にはコロナ禍前と比較して35%程度低い水準まで回復していたが、今年は60%ほど低い水準まで低迷している。一方、サービス部門のうち卸・小売業や教育業では直近ボトムの1月と比較して足もとの3月にかけての回復幅が比較的大きかった。
(図表4)業種別のGDP伸び率(10-12月)
(図表5)英国の名目GDP(所得別) 成長率を需要項目別に確認すると、10-12月期では、個人消費が前期比▲3.8%(前年同期比▲10.8%)、政府消費が同+2.6%(+4.8%)、投資が同▲2.3%(▲3.7%)、輸出が同▲7.5%(▲12.2%)、輸入が同▲13.9%(▲13.6%)となった。行動制限による落ち込みに加え、輸出入がともに大きく減少した背景として、21年初からEU離脱後の新しい通商関係がEUと開始されたことが影響していると見られる。

最後に名目GDPを確認すると、1-3月期は前期比▲0.1%(前年同期比▲1.5%)となり、実質GDPと比較して落ち込み幅は限定的となった。所得別に見ると主要項目である雇用者報酬や営業余剰の金額がコロナ禍前の水準を回復していることが分かる(図表5)。一方、税負担は依然、コロナ禍前と比べ低い水準にある。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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経済研究部   准主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

(2021年05月13日「経済・金融フラッシュ」)

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