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- 英国雇用関連統計(3月)-休業者の増加は一服
1.結果の概要:失業率はほぼ横ばいでの推移
【3月】
・失業保険申請件数1は前月(266.35万件)から1.01万件増の267.37万件となった(図表1)。
・申請件数の雇用者数に対する割合は7.3%となり、前月(同7.3%)から横ばいだった。
【2月(20年12月-21年2月の3か月平均)】
・失業率は4.9%で前月(5.0%)から下落、市場予想2(5.0%)も下回った(図表1)。
・就業者は3243.0万人で3か月前の3250.3万人から7.3万人の減少となった。
増減数は前月(▲14.7万人)から増加(減少幅の縮小)、市場予想(▲14.5万人)は下回った。
・週平均賃金は、前年同期比+4.5%で前月(+4.8%)から減速、市場予想(+4.8%)も下回った(図表2)。
1 求職者手当(JSA:Jobseekerʼs Allowance)、国民保険給付(National Insurance credits)を受けている者に加えて、主に失業理由でユニバーサルクレジット(UC)を受給している者の推計数の合算。なお、UCはJSAより幅広い求職手当てであり、失業者数を示す統計としては過大評価している可能性がある。このため、ONSは失業保険等申請件数について公式統計とはしておらず実験統計という位置付けで公表している。ただし、公表日の前月のデータを入手できるため、速報性の高さという利点がある。
2 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2.結果の詳細:休業者の増加は一服したが、雇用環境は依然として厳しい
給与所得者データ3を見ると、3月の給与所得者は2819.9万人となり前月差では▲5.6万人だった。2月まで3か月連続で増加していたが、3月は再び減少に転じた(図表4)。業種別にはコロナ禍の影響が大きい居住・飲食・芸術・娯楽業で引き続き減少が続いていることに加えて、3月は卸・小売業や輸送業、金融業といった業種でも減少に転じ、幅広い産業で給与所得者の減少傾向がみられた(図表4)。流出(退職など)と流入(就職など)のフローの傾向で見ると、3月(速報値)はあるが流出の増加が目立つ。
一方、月あたり給与額(中央値)については前年同月比+5.4%で前月の+4.3%から大きく加速している。前年同月の給与額(中央値)がコロナ禍の影響により抑制されていた効果があり、伸び率としては高い数値となっているが、その効果を除いても給与額(中央値)の増加傾向は続いている。低所得業種の雇用環境が悪い一方、相対的に高所得の業種で雇用が改善していることが給与額(中央値)を押し上げている要因になっている(図表4)。
3 歳入関税庁(HRMC)の源泉徴収情報を利用した実験統計。直近データは利用可能な情報の85%ほどを集計して算出。
4 CJRS(Coronavirus Job Retention Scheme)は21年9月末まで実施予定。6月までについては昨年8月と同じ水準での支給(月2500ポンドを上限に給与の80%まで支給、社会保障は雇用主負担)、その後7月以降は段階的な政府負担の引き下げを予定。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年04月21日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1818
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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