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- ASEANの貿易統計(6月号)~4月の輸出は前年の新型コロナの落ち込みの反動で急伸
2021年06月09日
21年4月のASEAN主要6カ国の輸出(ドル建て、通関ベース)は前年同月比41.6%増(前月:同23.6%増)と大きく上昇して8カ月連続のプラスとなった(図表1)。輸出は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と国内外で実施された活動制限措置の影響が昨年4月に本格化して急減した後、6月からは経済活動の再開やテレワーク需要の増加に伴う電気・電子製品の出荷増、商品市況の改善を受けて増加傾向が続いており、更に足元では前年同月に大幅に落ち込んだ反動により伸び率(前年同月比)が大きく押し上げられている。
ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、4月は前年の落ち込みの大きい東南アジア向け(同51.8%増)とEU向け(同39.8%増)が反動増で大きく上昇した。またコロナ禍からの経済回復が進む北米向け(同47.7%増)と東アジア向け(同29.1%増)も増加傾向が続いた(図表2)。
ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、4月は前年の落ち込みの大きい東南アジア向け(同51.8%増)とEU向け(同39.8%増)が反動増で大きく上昇した。またコロナ禍からの経済回復が進む北米向け(同47.7%増)と東アジア向け(同29.1%増)も増加傾向が続いた(図表2)。
ベトナムの21年4月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比50.8%増となり、前月の同23.5%増から更に上昇して2カ月連続のプラスとなった。輸出は昨年4~5月に新型コロナ感染対策として国内外で実施された活動制限措置の影響を受けて落ち込んだが、6月以降は経済活動の再開と世界的な電子機器の需要増加を受けて増加傾向が継続、更に足もとでは前年同月が厳格なコロナ対策により落ち込んでいた反動増で伸び率が押し上げられている。また輸入額が前年同月比47.7%増(前月:同29.0%増)と上昇した結果、貿易収支は▲12.2億ドルの赤字となり、前月から24.2億ドル減少した(図表3)。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が前年同月比52.5%増(前月:同13.4%減)と3カ月ぶりに増加すると共に、電気製品・同部品が同29.2%増(前月:同26.6%増)と15ヵ月連続の二桁増となった(図表4)。またアパレル関連では、織物・衣類が同51.8%増(前月:同16.1%増)、履物が同42.4%増(前月:同23.9%増)と、それぞれ伸長した。農林水産物を見ると、コーヒー(同12.5%減)とカシューナッツ(同1.8%減)こそ減少したものの、コメ(同60.0%増)や水産物(同21.8%増)、野菜(同18.8%増)などが大きく増加した。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同59.2%増(前月:同25.1%増)、地場企業が同31.9%増(前月:同19.3%減)とそれぞれ大幅な伸びとなった。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が前年同月比52.5%増(前月:同13.4%減)と3カ月ぶりに増加すると共に、電気製品・同部品が同29.2%増(前月:同26.6%増)と15ヵ月連続の二桁増となった(図表4)。またアパレル関連では、織物・衣類が同51.8%増(前月:同16.1%増)、履物が同42.4%増(前月:同23.9%増)と、それぞれ伸長した。農林水産物を見ると、コーヒー(同12.5%減)とカシューナッツ(同1.8%減)こそ減少したものの、コメ(同60.0%増)や水産物(同21.8%増)、野菜(同18.8%増)などが大きく増加した。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同59.2%増(前月:同25.1%増)、地場企業が同31.9%増(前月:同19.3%減)とそれぞれ大幅な伸びとなった。
タイの21年4月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比13.1%増(前月:同8.5%増)と上昇して2カ月連続のプラスとなった。輸出は昨年3月に新型コロナ感染拡大の影響が現れて4~6月にかけて大きく減少した後、7月以降は経済活動の再開と世界的な電子機器の需要増加を受けて増加傾向が続いており、更に足もとでは前年同月が活動制限措置の影響により落ち込んでいた反動増で伸び率が上昇している。また輸入額が前年同月比29.8%増(前月:同14.1%増)と上昇した結果、貿易収支は+1.8億ドルとなり、前月から5.3億ドル縮小した(図表5)。
輸出を品目別に見ると、全体の約7割を占める工業製品が同33.1%増(前月:同13.4%増)と上昇して2カ月連続の二桁増となった(図表6)。製造品の内訳を見ると、外出自粛の影響で増加傾向の続く家電製品(同53.6%増)や電子機器(同22.9%増)、機械・装置(同29.1%増)、石油化学製品(同34.3%増)、自動車・部品(同124.3%増)など幅広い品目が増加した。また鉱業・燃料は同80.1%増(前月:同21.3%増)と上昇し、石油製品(同97.8%増)を中心に2ヵ月連続のプラスとなった。このほか、農産物・同加工品は同14.0%増(前月:同15.9%増)と5ヵ月連続で増加した。加工食品(同3.9%減)やコメ(同53.6%減)などが減少した一方、天然ゴム(同85.2%増)やゴム製品(同49.2%増)、果物(同21.3%増)が増加した。なお、非貨幣用金(同91.3%減)は前年に急増した反動により大幅な減少続いている。
輸出を品目別に見ると、全体の約7割を占める工業製品が同33.1%増(前月:同13.4%増)と上昇して2カ月連続の二桁増となった(図表6)。製造品の内訳を見ると、外出自粛の影響で増加傾向の続く家電製品(同53.6%増)や電子機器(同22.9%増)、機械・装置(同29.1%増)、石油化学製品(同34.3%増)、自動車・部品(同124.3%増)など幅広い品目が増加した。また鉱業・燃料は同80.1%増(前月:同21.3%増)と上昇し、石油製品(同97.8%増)を中心に2ヵ月連続のプラスとなった。このほか、農産物・同加工品は同14.0%増(前月:同15.9%増)と5ヵ月連続で増加した。加工食品(同3.9%減)やコメ(同53.6%減)などが減少した一方、天然ゴム(同85.2%増)やゴム製品(同49.2%増)、果物(同21.3%増)が増加した。なお、非貨幣用金(同91.3%減)は前年に急増した反動により大幅な減少続いている。
マレーシアの21年4月の輸出額(ドル建て換算、通関ベース)の伸び率は前年同月比72.1%増(前月:同37.0%増)と大きく上昇して8カ月連続で増加した。輸出は昨年4~5月に新型コロナ感染拡大と国内外の活動制限措置の影響が本格化して約3割の減少を記録した後、世界経済の回復が進むなかで電気・電子製品を中心に拡大、足もとでは前年同月が活動制限令の影響により落ち込んでいた反動増で伸び率が大きくなっている。また輸入額が前年同月比31.4%増(前月:同24.6%増)と上昇した結果、貿易収支は+49.7億ドルとなり、前月から9.2億ドル縮小した(図表7)。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同55.1%増(前月:同43.4%増)と更に上昇、主力の電気・電子製品(同51.0%増)を中心に11カ月連続で増加した(図表8)。また鉱物性燃料は同64.6%増(前月:同29.5%減)と一転して大幅に増加した。前月まで大幅な減少傾向が続いた天然ガス(同4.2%増)と原油(同44.8%増)、石油製品(同87.0%増)が揃ってプラスとなった。このほか、ゴム手袋(同256.3%増)が好調、化学製品(同52.6%増)や動植物性油脂(同82.4%増)がそれぞれ二桁増となった。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同55.1%増(前月:同43.4%増)と更に上昇、主力の電気・電子製品(同51.0%増)を中心に11カ月連続で増加した(図表8)。また鉱物性燃料は同64.6%増(前月:同29.5%減)と一転して大幅に増加した。前月まで大幅な減少傾向が続いた天然ガス(同4.2%増)と原油(同44.8%増)、石油製品(同87.0%増)が揃ってプラスとなった。このほか、ゴム手袋(同256.3%増)が好調、化学製品(同52.6%増)や動植物性油脂(同82.4%増)がそれぞれ二桁増となった。
インドネシアの21年4月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比52.0%増(前月:同30.5%増)と上昇した。輸出は昨年3~5月にかけて新型コロナの感染拡大と国内外で実施された活動制限措置の影響を受けて最大約3割減まで落ち込んだが、6月以降は経済活動の再開や商品市況の改善を受けて持ち直し、足もとでは前年同月が大規模社会制限の影響により大幅に落ち込んでいた反動増で伸び率が上昇している。また輸入額も前年同月比29.3%増(前月:同25.7%増)と上昇した結果、貿易収支は+22.9億ドルとなり、前月から7.2億ドル黒字が拡大した(図表9)。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同51.1%増(前月:同30.1%増)、石油ガス輸出が同69.6%増(前月:同39.0%増)がそれぞれ大幅に増加した(図表10)。品目別にみると、自動車・同部品(同180.2%増)や鉄・鉄鋼(同129.1%増)、ゴム製品(同77.3%増)、動植物性油脂(同70.3%増)、電気機械(同69.7%増)、機械類(同56.1%増)、鉱物性燃料(オイル・ガス除く)(同39.3%増)などが好調だった。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同51.1%増(前月:同30.1%増)、石油ガス輸出が同69.6%増(前月:同39.0%増)がそれぞれ大幅に増加した(図表10)。品目別にみると、自動車・同部品(同180.2%増)や鉄・鉄鋼(同129.1%増)、ゴム製品(同77.3%増)、動植物性油脂(同70.3%増)、電気機械(同69.7%増)、機械類(同56.1%増)、鉱物性燃料(オイル・ガス除く)(同39.3%増)などが好調だった。
シンガポールの21年4月の輸出額(石油と再輸出除く、ドル建て換算、通関ベース)は前年同月比13.0%増(前月:同18.2%増)と鈍化した。輸出は昨年コロナ禍でも大幅な減少を回避した上、今年は世界的な電子製品の需要拡大を受けて増加傾向で推移している。なお、総輸出額が同35.0%増(前月:同27.8%増)、総輸入額が同34.4%増(前月:同24.5%増)と、それぞれ伸長した結果、貿易収支は+40.6億ドルとなり、前月から17.2億ドル縮小した(図表11)。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約2割を占める電子製品は同18.3%増(前月:同31.3%増)と低下したものの、5カ月連続の二桁増となった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、主力のIC(同10.1%増)とPC(同49.1%増)、PC部品(同15.8%増)の好調が続いた一方、ディスクメディア(同4.5%減)と2カ月ぶりに減少した。また全体の約3割を占める化学品は同5.1%増(前月:同43.9%増)と低下したが、2カ月連続で増加した。化学品の内訳を見ると、石油化学製品(同74.1%増)が油価上昇を背景に二桁増を続けた一方、医薬品(同37.0%減)が前年同月の大幅な増加により再び減少した。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約2割を占める電子製品は同18.3%増(前月:同31.3%増)と低下したものの、5カ月連続の二桁増となった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、主力のIC(同10.1%増)とPC(同49.1%増)、PC部品(同15.8%増)の好調が続いた一方、ディスクメディア(同4.5%減)と2カ月ぶりに減少した。また全体の約3割を占める化学品は同5.1%増(前月:同43.9%増)と低下したが、2カ月連続で増加した。化学品の内訳を見ると、石油化学製品(同74.1%増)が油価上昇を背景に二桁増を続けた一方、医薬品(同37.0%減)が前年同月の大幅な増加により再び減少した。
フィリピンの21年4月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比72.1%増(前月:同33.3%増)と大幅に上昇した。輸出は、昨年3月に新型コロナ感染拡大と国内外で実施された活動制限措置の影響が現れて急減した後、経済活動が再開するにつれて回復、足もとでは前年同月が移動制限措置の影響により大幅に落ち込んでいた反動増で伸び率が大きくなっている。また輸入額が前年同月比140.9%増(前月:同22.0%増)と大きく上昇した結果、貿易収支は▲27.3億ドルとなり、前月から0.2億ドル改善した(図表13)。
品目別に見ると、まず輸出全体の6割弱を占める電子製品が同24.4%増(前月:同50.6%増)と上昇した(図表14)。電子製品の内訳を見ると、主力の半導体デバイス(同29.2%増)が大きく増加したほか、オフィス機器(同1.1%増)、電子データ処理機(同0.3%増)、消費者向け電子製品(同1.1%増)が小幅に増加した。また一次産品・燃料は同8.5%増(前月:同14.0%増)と増加傾向が続いた。ココナッツ(同18.1%増)や生鮮バナナ(同0.8%増)などを中心に農産品(同9.7%増)がプラスに転じたものの、鉱業製品(同7.7%増)が鈍化した。このほか、機械・輸送用機器(同19.1%減)が減少した一方、化学(同35.7%増)や衣服(同12.5%増)、加工食品・飲料(同5.9%増)が増加するなど、総じて増加した品目が多かった。
品目別に見ると、まず輸出全体の6割弱を占める電子製品が同24.4%増(前月:同50.6%増)と上昇した(図表14)。電子製品の内訳を見ると、主力の半導体デバイス(同29.2%増)が大きく増加したほか、オフィス機器(同1.1%増)、電子データ処理機(同0.3%増)、消費者向け電子製品(同1.1%増)が小幅に増加した。また一次産品・燃料は同8.5%増(前月:同14.0%増)と増加傾向が続いた。ココナッツ(同18.1%増)や生鮮バナナ(同0.8%増)などを中心に農産品(同9.7%増)がプラスに転じたものの、鉱業製品(同7.7%増)が鈍化した。このほか、機械・輸送用機器(同19.1%減)が減少した一方、化学(同35.7%増)や衣服(同12.5%増)、加工食品・飲料(同5.9%増)が増加するなど、総じて増加した品目が多かった。
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(2021年06月09日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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