2021年05月06日

インドネシア経済:21年1-3月期の成長率は前年同期比▲0.74%~内需が依然弱く、4期連続のマイナス成長に

経済研究部 准主任研究員   斉藤 誠

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インドネシアの2021年1-3月期の実質GDP成長率1は前年同期比(原系列)0.74%減(前期:同2.19%減)とマイナス幅が縮小したものの、市場予想2(同▲0.65%)を下回る結果となった。

1-3月期の実質GDPを需要項目別に見ると、主に内需の低迷がマイナス成長に繋がった(図表1)。

民間消費(対家計民間非営利団体含む)は前年同期比2.28%減(前期:同3.58%減)と低迷した。費目別に見ると、引き続き住宅設備(同1.27%増)と保健・教育(同0.31%増)が増加した一方、輸送・通信(同4.24%減)やホテル・レストラン(同4.16%減)、食料・飲料(同2.31%減)が減少した。

政府消費は前年同期比2.96%増となり、前期の同1.76%増から上昇した。

総固定資本形成は前年同期比0.23%減(前期:同6.15%減)と減少幅が縮小した。建設投資(同0.74%減)が低迷した一方、機械・設備(同3.48%増)と自動車(同2.08%増)が回復した。

純輸出は成長率寄与度が+0.44%ポイントとなり、前期の+1.11%ポイントから縮小した。まず財・サービス輸出は前年同期比6.74%増(前期:同7.21%減)と大きく上昇した。輸出の内訳を見ると、サービス輸出(同46.80%減)の大幅な減少が続いたものの、財輸出(同11.86%増)が上昇してプラスに転じた。また財・サービス輸入も同5.27%増(前期:同13.52%減)と増加した。
 
(図表1)インドネシア実質GDP成長率(需要側)/(図表2)インドネシア 実質GDP成長率(供給側)
供給項目別に見ると、第二次産業と第三次産業の成長率が引き続き減少した(図表2)。

まず成長を牽引する第三次産業は前年同期比1.88%減(前期:同1.41%減)とマイナス幅が拡大した。内訳を見ると、構成割合の大きい卸売・小売(同1.23%減)をはじめとして、運輸・倉庫(同13.12%減)やホテル・レストラン(同7.26%減)、ビジネスサービス(同6.10%減)、行政・国防(同2.94%減)、そして金融・不動産(同1.41%減)が減少した。一方、情報・通信(同8.72%増)と保健衛生・社会事業(同3.64%増)は引き続き増加した。

一方、第二次産業は前年同期比1.26%減(前期:同3.49%減)と減少幅が縮小した。内訳を見ると、構成割合の大きい製造業(同1.38%減)や建設業(同0.79%減)、鉱業(同2.02%減)がそれぞれ低迷したが、電気・ガス・水供給業(同1.97%増)が増加した。

また第一次産業は前年同期比2.95%増(前期:同2.59%増)とプラスの伸びが続いた。
 
1 2021年5月5日、インドネシア統計局(BPS)が2021年1-3月期の国内総生産(GDP)を公表した。
2 Bloomberg調査

1-3月期GDPの評価と先行きのポイント

インドネシア経済は昨年、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を背景に景気が減速、4-6月期はウイルスの封じ込めを目的に国内外で実施された活動制限措置の影響が本格的に現れて成長率が前年同期比▲5.32%に急減した。その後は7-9月期が同▲3.49%、10-12月期が同▲2.37%、21年1-3月期が▲0.74%と、経済は緩やかに持ち直しているが、4期連続のマイナス成長となっている。

1-3月期は新型コロナの感染拡大と活動制限措置が続いたため、内需が依然として弱く、経済の回復が緩慢なものとなった。昨年拡大傾向が続いた新規感染者数は今年1月末には1日あたり約1.5万人まで増加したが、政府が1月11日から感染リスクの高いジャワ島とバリ島を中心に大規模な社会的制限(PSBB)を再開して行動規制を強化したほか、感染力の強い変異株発生への対応として1月4月から外国人の入国を一時停止するなど水際対策を強化すると、2月から感染状況が改善に向かい、3月には新規感染者数が1日あたり5,000人程度まで減少した(図表3)。政府は感染抑制と経済回復の両立に向けて2月上旬から小規模地域内での感染状況に応じた行動規制を導入して経済活動に関わる一部規制を緩和したが、1-3月期の各種規制措置は総じて10-12月期より強まることとなり、民間消費(前年同期比▲2.28%)と総固定資本形成(同▲0.23%)のマイナス成長が続く結果となった。実際、Googleの「COVID-19コミュニティモビリティレポート」をみると、インドネシアの小売・娯楽施設への移動量は1月に落ち込んだ後、3月末にかけて次第に回復しており、1-3月期は制限措置の強化が内需回復の重石となっていたことが分かる(図表4)。

内需が低迷する一方、輸出は回復した。外国人旅行者数が新型コロナ流行前の1割強の水準に縮小しているが、世界的に資源関連や電気電子製品の需要が拡大したため、財・サービス輸出(同+6.74%)は4四半期ぶりのプラス成長となった。しかしながら、輸入も拡大したため、純輸出の成長率寄与度は10-12月期と比べて縮小している。

4-6月期は一転して高成長に転じるものと予想される。インドネシア政府は今年3月に自動車奢侈税の減免措置を時限的に導入するなど景気刺激策を打ち出しており、遅れていた消費の回復が見込まれる。政府は4-6月期の成長率は最大で前年同期比+7%の高成長を予測している。もっとも、4-6月期の急回復は前年の大幅な落ち込みからの反動増による影響が大きい。また今年1月に始まった新型コロナウイルスのワクチン接種は現在、優先接種者である医療従事者や高齢者など約1,200万人が1回目の接種を終えているが、これは全人口の4%程度に過ぎず、感染再拡大のリスクは依然として高い状況にある。従って、GDPの約6割を占める民間消費の本格回復は見込みにくく、インドネシア経済がコロナ前の水準を回復するまでには至らないだろう。
(図表3)インドネシアの新規感染者数の推移/(図表4)小売・娯楽施設への移動量
 
 

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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
アジア・新興国経済

(2021年05月06日「経済・金融フラッシュ」)

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