2021年03月22日

東南アジア経済の見通し~21年前半は感染対策の継続で不安定な回復、年後半はワクチン普及で安定回復へ

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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■要旨
 
  1. 東南アジア経済は昨年、新型コロナの感染拡大と各国の活動制限措置の影響が直撃して4-6月期に急速に悪化したが、年後半は各国が段階的な制限緩和を進めて経済活動を再開させると共に、財政・金融両面から経済対策を打ち出したことによって景気が底打ちして回復傾向を辿った。もっとも経済正常化には依然距離があり、ベトナムを除く4カ国(マレーシア、フィリピン、タイ、インドネシア)はマイナス成長が続いている。
     
  2. 消費者物価上昇率は、当面は商品価格上昇を受けてエネルギー価格を中心に上昇するが、経済正常化が遅れるために安定した推移を予想する。21年後半に新型コロナワクチンの普及が進み、景気回復が安定するなかでインフレ圧力が次第に強まる展開を予想する。
     
  3. 金融政策は、持続的な物価上昇が見込みにくいなか、コロナ禍でダメージを受けた経済の回復を後押しするため、各国中銀は現行の緩和的な政策を続けるだろう。
     
  4. 経済の先行きは、当面は感染再拡大のリスクに晒されるため、行動制限の強化と緩和を繰り返して不安定な景気が続くが、コロナウイルスへの適応が進むなか、景気浮揚策が下支えとなって景気の持ち直しが続くと予想する。21年後半からワクチンの普及が加速するに従って感染再拡大のリスクが低減すると、景気回復は次第に安定すると予想する。
東南アジア5 カ国の成長率とインフレ率の見通し
■目次

1.東南アジア経済の概況と見通し
  ・経済概況:制限緩和で経済再開が進むも、正常化に距離が残る
  ・物価:短期的に上昇した後、概ね安定した推移を予想
  ・金融政策:年内は緩和的な政策スタンスが継続
  ・経済見通し:21年後半からワクチン普及に従って行動制限が一部緩和、安定的回復へ
2.各国経済の見通し
  2-1.マレーシア
  2-2.タイ
  2-3.インドネシア
  2-4.フィリピン
  2-5.ベトナム
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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴
  • 【職歴】
     2008年 日本生命保険相互会社入社
     2012年 ニッセイ基礎研究所へ
     2014年 アジア新興国の経済調査を担当
     2018年8月より現職

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