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- ASEANの貿易統計(3月号)~1月の輸出は電気電子機器の需要増加に春節の影響が加わり、2カ月連続の二桁増を記録
2021年03月12日
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21年1月のASEAN主要6カ国の輸出(ドル建て、通関ベース)は前年同月比16.6%増(前月:同12.8%増)と上昇、2カ月連続の二桁増となった(図表1)。輸出の伸び率は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と商品価格の下落、国内外で実施された活動制限措置の影響が昨年4月に本格化して急減したが、6月から経済活動の再開を反映して持ち直しの動きが続いている。足元では、新型コロナ感染対策によるテレワーク需要の増加を受けて電気・電子製品の出荷が順調に推移するなか、11月の商品市況の改善を受けて鉱産物の出荷増が輸出全体を押し上げている。
ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、1月は好調の続く北米向け(同29.1%増)に加え、東アジア向け(同18.4%増)が大幅な増加が目立った(図表2)。東アジア向けの輸出拡大は中国全土で工場が停止する春節(旧正月)の時期が今年は2月(昨年は1月)にずれた影響が大きいとみられる。またEU向け(同11.0%増)が二桁増となったほか、東南アジア向け(同6.0%増)も回復した。
ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、1月は好調の続く北米向け(同29.1%増)に加え、東アジア向け(同18.4%増)が大幅な増加が目立った(図表2)。東アジア向けの輸出拡大は中国全土で工場が停止する春節(旧正月)の時期が今年は2月(昨年は1月)にずれた影響が大きいとみられる。またEU向け(同11.0%増)が二桁増となったほか、東南アジア向け(同6.0%増)も回復した。
ベトナムの21年1月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比55.1%増となり、前月の同22.7%増から上昇して5ヵ月連続の二桁増となった。輸出は昨年4~5月に新型コロナ感染対策として国内外で実施された活動制限措置の影響により落ち込んだが、6月から経済活動の再開を反映して持ち直しの動きが続いている。また輸入額も前年同月比41.0%増(前月:同24.5%増)と上昇した結果、貿易収支は+13.0億ドルとなり、前月から15.5億ドル増加した(図表3)。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が前年同月比では125.8%増(前月:同61.5%増)と大幅な増加を記録すると共に、電気製品・同部品が同46.2%増(前月:同21.6%増)と12ヵ月連続の二桁増となった(図表4)。またアパレル関連では、織物・衣類が同5.7%増(前月:同4.5%減)、履物が同31.2%増(前月:同1.8%減)と、それぞれ増加した。農林水産物を見ると、コメ(同0.6%減)が減少したものの、コーヒー(同12.9%増)や野菜(同10.0%増)、水産物(同21.8%増)、カシューナッツ(同51.6%増)が大きく増加するなど、総じて好調だった。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同81.8%増(前月:同44.2%増)と大幅に増加すると共に、地場企業が同6.8%増(前月:同13.7%減)とプラスに転じた。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が前年同月比では125.8%増(前月:同61.5%増)と大幅な増加を記録すると共に、電気製品・同部品が同46.2%増(前月:同21.6%増)と12ヵ月連続の二桁増となった(図表4)。またアパレル関連では、織物・衣類が同5.7%増(前月:同4.5%減)、履物が同31.2%増(前月:同1.8%減)と、それぞれ増加した。農林水産物を見ると、コメ(同0.6%減)が減少したものの、コーヒー(同12.9%増)や野菜(同10.0%増)、水産物(同21.8%増)、カシューナッツ(同51.6%増)が大きく増加するなど、総じて好調だった。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同81.8%増(前月:同44.2%増)と大幅に増加すると共に、地場企業が同6.8%増(前月:同13.7%減)とプラスに転じた。
タイの21年1月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比0.3%増(前月:同4.7%増)と低下したものの、2カ月連続のプラスを維持した。輸出は昨年3月から新型コロナ感染拡大の影響が現れて4~6月に大きく減少した後、7月以降は経済活動の再開を反映して概ね持ち直しの動きが続いている。また輸入額も前年同月比5.2%減(前月:同3.6%増)と低下して2カ月ぶりに減少した結果、貿易収支は▲2.0億ドルとなり、前月から11.7億ドル減少した(図表5)。
輸出を品目別に見ると、全体の約7割を占める工業製品が同7.7%増(前月:同6.5%増)と上昇して2ヵ月連続で増加した(図表6)。製造品の内訳を見ると、外出自粛の影響で増加傾向の続く家電製品(同5.6%増)や電子機器(同11.9%増)、機械・装置(同9.9%増)、石油化学製品(同4.8%増)、自動車・部品(同19.2%増)など幅広い品目が増加した。また鉱業・燃料は同22.1%減(前月:同21.6%減)となり、石油製品(同25.2%減)を中心に11ヵ月連続で減少した。農産物・同加工品は同3.7%増(前月:同2.1%増)と2ヵ月連続で増加した。加工食品(同6.8%減)やコメ(同15.9%減)など減少した一方、ゴム製品(同40.2%増)や天然ゴム(同1.5%増)、果物(同83.2%増)が増加した。なお、非貨幣用金(同90.0%減)は前年に急増した反動により5ヵ月連続で減少した。
輸出を品目別に見ると、全体の約7割を占める工業製品が同7.7%増(前月:同6.5%増)と上昇して2ヵ月連続で増加した(図表6)。製造品の内訳を見ると、外出自粛の影響で増加傾向の続く家電製品(同5.6%増)や電子機器(同11.9%増)、機械・装置(同9.9%増)、石油化学製品(同4.8%増)、自動車・部品(同19.2%増)など幅広い品目が増加した。また鉱業・燃料は同22.1%減(前月:同21.6%減)となり、石油製品(同25.2%減)を中心に11ヵ月連続で減少した。農産物・同加工品は同3.7%増(前月:同2.1%増)と2ヵ月連続で増加した。加工食品(同6.8%減)やコメ(同15.9%減)など減少した一方、ゴム製品(同40.2%増)や天然ゴム(同1.5%増)、果物(同83.2%増)が増加した。なお、非貨幣用金(同90.0%減)は前年に急増した反動により5ヵ月連続で減少した。
マレーシアの21年1月の輸出額(ドル建て換算、通関ベース)の伸び率は前年同月比7.7%増(前月:同13.3%増)と低下したものの、5カ月連続で増加した。輸出は昨年4~5月に新型コロナ感染拡大と国内外の活動制限措置の影響が本格化して約3割の減少を記録した後、経済活動の再開の影響を受けて持ち直しの動きが続いている。また輸入額が前年同月比2.4%増(前月:同3.9%増)と低下した結果、貿易収支は+41.1億ドルとなり、前月から9.9億ドル縮小した(図表7)。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同12.6%増(前月:同16.6%増)と鈍化したものの、主力の電気・電子製品(同14.2%増)を中心に8カ月連続で増加した(図表8)。また鉱物性燃料は同33.8%減(前月:同25.8%減)と低迷した。天然ガス(同39.4%減)と石油製品(同33.0%減)、原油(同31.2%減)がそれぞれ減少した。このほか、ゴム手袋(同274.5%増)が好調、化学製品(同10.2%増)が2ヵ月連続で増加した一方、動植物性油脂(同7.2%減)が8ヵ月ぶりに減少した。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同12.6%増(前月:同16.6%増)と鈍化したものの、主力の電気・電子製品(同14.2%増)を中心に8カ月連続で増加した(図表8)。また鉱物性燃料は同33.8%減(前月:同25.8%減)と低迷した。天然ガス(同39.4%減)と石油製品(同33.0%減)、原油(同31.2%減)がそれぞれ減少した。このほか、ゴム手袋(同274.5%増)が好調、化学製品(同10.2%増)が2ヵ月連続で増加した一方、動植物性油脂(同7.2%減)が8ヵ月ぶりに減少した。
インドネシアの21年1月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比12.2%増(前月:同14.6%増)と低下したものの、2ヵ月連続の二桁増となった。輸出は昨年3~5月にかけて新型コロナの感染拡大と国内外で実施された活動制限措置の影響を受けて最大約3割減まで落ち込んだが、6月以降は経済活動の再開を反映して持ち直し、足元では商品市況の改善が輸出の押上げ要因となっている。また輸入額も前年同月比6.5%減(前月:同0.5%減)と低下した結果、貿易収支は+19.6億ドルとなり、前月から1.4億ドル縮小した(図表9)。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同12.5%増(前月:同16.7%増)が好調を維持すると共に、石油ガス輸出が同8.3%増(前月:同10.1%減)が急増した(図表10)。品目別にみると、織物類(同12.3%減)が低迷したものの、鉱産物(同17.1%増)が2ヵ月連続で増加したほか、動植物性油脂(同55.0%増)、プラスチック・ゴム製品(同12.2%増)、機械類(同20.6%増)、電気機械(同10.2%増)、自動車・同部品(同11.5%増)など幅広い品目が増加した。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同12.5%増(前月:同16.7%増)が好調を維持すると共に、石油ガス輸出が同8.3%増(前月:同10.1%減)が急増した(図表10)。品目別にみると、織物類(同12.3%減)が低迷したものの、鉱産物(同17.1%増)が2ヵ月連続で増加したほか、動植物性油脂(同55.0%増)、プラスチック・ゴム製品(同12.2%増)、機械類(同20.6%増)、電気機械(同10.2%増)、自動車・同部品(同11.5%増)など幅広い品目が増加した。
シンガポールの21年1月の輸出額(石油と再輸出除く、ドル建て換算、通関ベース)は前年同月比15.0%増(前月:同8.8%増)と上昇し、2ヵ月連続で増加した。輸出は昨年コロナ禍でも増加傾向で推移してきたが、足元では昨年前半に牽引役だった医薬品が伸び悩む一方、電子製品の需要が底堅く推移するなど一進一退の動きが続いている。なお、総輸出額が同3.1%増(前月:同4.5%増)と鈍化した一方、総輸入額が同3.4%減(前月:同1.7%減)と減少した結果、貿易収支は+45.0億ドルとなり、前月から0.7億ドル縮小した(図表11)。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約2割を占める電子製品が同15.7%増(前月:同15.7%増)となり、2カ月連続で増加した(図表12)。電子製品の内訳を見ると、主力のIC(同16.2%増)とPC(同28.4%増)が大きく増加したものの、PC部品(同5.3%減)とディスクメディア(同0.3%減)が再び減少した。また全体の約3割を占める化学品は同7.8%増(前月:同7.7%減)と9カ月ぶりに増加した。化学品の内訳を見ると、油価上昇を背景に石油化学製品(同12.3%増)が好調だったほか、医薬品(同1.1%増)が3ヵ月ぶりのプラスとなった。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約2割を占める電子製品が同15.7%増(前月:同15.7%増)となり、2カ月連続で増加した(図表12)。電子製品の内訳を見ると、主力のIC(同16.2%増)とPC(同28.4%増)が大きく増加したものの、PC部品(同5.3%減)とディスクメディア(同0.3%減)が再び減少した。また全体の約3割を占める化学品は同7.8%増(前月:同7.7%減)と9カ月ぶりに増加した。化学品の内訳を見ると、油価上昇を背景に石油化学製品(同12.3%増)が好調だったほか、医薬品(同1.1%増)が3ヵ月ぶりのプラスとなった。
フィリピンの21年1月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比5.2%減(前月:同1.7%増)と低下して3カ月ぶりのマイナスとなった。輸出の基調は、昨年3月から新型コロナ感染拡大と国内外で実施された活動制限措置の影響が現れて急減した後、5月から経済活動の再開を反映して回復してきたが、足元では持ち直しの動きに陰りがみられる。また輸入額が前年同月比14.9%減(前月:同8.2%減)と落ち込んだ結果、貿易収支は▲24.2億ドルとなり、前月から2.7億ドル減少した(図表13)。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の6割弱を占める電子製品が同0.3%増(前月:同4.9%増)と低下した(図表14)。電子製品の内訳を見ると、主力の半導体デバイス(同4.4%減)とオフィス機器(同4.6%減)が減少した一方、電子データ処理機(同24.4%増)と消費者向け電子製品(同28.2%増)が好調だった。その他9品目については、若干増加した品目が多かった。化学品(同50.6%増)と金属部品(同15.3%増)、イグニッションワイヤーセット(同13.6%増)、雑品(同9.1%増)、製錬銅(同5.0%増)が増加した一方、生鮮バナナ(同46.9%減)やその他製造品(同12.8%減)、機械・輸送用機器(同11.9%減)、ココナッツオイル(同11.7%減)が落ち込んだ。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の6割弱を占める電子製品が同0.3%増(前月:同4.9%増)と低下した(図表14)。電子製品の内訳を見ると、主力の半導体デバイス(同4.4%減)とオフィス機器(同4.6%減)が減少した一方、電子データ処理機(同24.4%増)と消費者向け電子製品(同28.2%増)が好調だった。その他9品目については、若干増加した品目が多かった。化学品(同50.6%増)と金属部品(同15.3%増)、イグニッションワイヤーセット(同13.6%増)、雑品(同9.1%増)、製錬銅(同5.0%増)が増加した一方、生鮮バナナ(同46.9%減)やその他製造品(同12.8%減)、機械・輸送用機器(同11.9%減)、ココナッツオイル(同11.7%減)が落ち込んだ。
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(2021年03月12日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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