2021年06月04日

新型コロナについての法的対策の変遷-感染症法と特措法の改正と運営

保険研究部 常務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長・ジェロントロジー推進室研究理事兼任   松澤 登

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■要旨

新型コロナ感染症は2019年12月に中国武漢で発生が確認され、2020年1月には国内初の感染者も確認された。その後、2月にはダイヤモンド・プリンセス号の感染事例が発生し、また国内でもまん延が進んでいることが判明した。
 
政府は2020年1月には政令指定を行うことによって、新型コロナに感染症法を適用することとした。感染症法では感染経路を追跡する積極的疫学調査や患者に対する入院勧告・措置が行えることとなっていた。2020年3月13日には特措法の改正が行われ(翌14日施行)、政府や地方自治体の感染予防対策の法的な根拠が明確になり、緊急事態宣言も出すことが可能になった。
 
感染拡大はその後も収まらず、2020年4月7日には東京都をはじめ7道府県を対象として緊急事態宣言が発出された。第一次の緊急事態宣言は第二次と比較すると厳格なものであり、接待を伴う夜の店や大学、体育館、劇場・映画館などに営業停止要請が行われた。他方、感染者の急増に伴い病床の確保が課題となった。病床の確保にあたっては、従来の感染症指定医療機関とは別に、都道府県が重点医療機関を指定して患者を受け入れてもらうこととした。また、軽症者は自宅待機あるいはホテルでの療養が要請されることとなった。
 
2020年5月末に緊急事態宣言が解除された後は小康状態が続いていたが、2020年の年末にかけて感染が再拡大した。結果、2021年1月7日に第二次の緊急事態宣言が発出されることになったが、飲食店の営業時間短縮やイベントの開催も人数制限にとどめるなど第一次よりも緩やかであった。第二次緊急事態宣言は3月中に解除された。
 
2021年の通常国会では感染症法と特措法の改正が行われた。改正感染症法では積極的疫学調査の拒否や入院措置の拒否などに過料が課せられるようになるなどエンフォースメントが強化された。改正特措法は、第二次の緊急事態宣言並みの措置を行うまん延防止等重点措置が制度化した。あわせて、緊急事態宣言では営業停止命令を出せることとし、命令違反には過料を課すなどの制度を導入し、緊急事態制限でとれる手段の強化が図られた。
 
第二次緊急事態宣言解除後、変異株などの影響もあり、感染再拡大が起こった。政府は先の国会で成立した特措法のまん延防止等重点措置で対応しようとしたものの、感染拡大が収まらず、第三次の緊急事態宣言発出となった。直近では新規感染者数が減少傾向にあり、またワクチン接種者数も1000万人を超えてきている。とはいえ、変異株の詳細もよくわかっていない。現在の法律が本当にベストなのか、議論を続ける必要がある。

■目次

1――はじめに
2――法令整備初期(第一期)
  1|感染症法の適用
  2|感染症法で適用される規定
  3|特措法の適用
3――法令適用期(第二期)
  1|第一次緊急事態宣言の発出
  2|緊急事態措置の内容
  3|入院先の確保
  4|第二次緊急事態宣言の発出
4――法令改正期(第三期)
  1|感染症法の改正
  2|特措法の改正
5――改正法適用期(第四期)
  1|まん延防止等重点措置
  2|第三次緊急事態宣言の発出
6――おわりに
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保険研究部   常務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長・ジェロントロジー推進室研究理事兼任

松澤 登 (まつざわ のぼる)

研究・専門分野
保険業法・保険法|企業法務

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