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中国経済の見通し-輸出・投資でV字回復してきた中国経済だが、今後は消費主導にバトンタッチ!

三尾 幸吉郎
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- 昨年1-3月期にコロナ禍で大混乱に陥った中国の国内総生産(GDP)は実質で前年同期比6.8%減まで落ち込んだが、厳格な行動制限でコロナ禍を早期に収束させてV字回復を実現し、21年1-3月期は実質で前年同期比18.3%増の高成長となった。一方、消費者物価(CPI)はいまのところ落ち着いており、21年の抑制目標(3%前後)を下回る水準で推移している。
- 需要項目別に見ると、今年1-4月期の小売売上高は前年同期比29.6%増、固定資産投資が同19.9%増、輸出(ドルベース)が同44.0%増と、消費・投資・輸出の3本柱が揃って高い伸びを示した。昨年のコロナ禍では、思わぬ追い風が吹いた輸出と、コロナ対策で潤った投資が景気の牽引役だったが、これからは消費が景気の牽引役になる兆しが見えてきている。
- 21年の財政政策は、コロナ後を見据えて「質・効率の向上を図り、より持続可能なものにする」という方針で臨むこととなった。財政赤字、感染症対策特別国債、地方特別債を合わせた財政出動は前年比でおよそ1.3兆元減る見込みであり、コロナ禍や景気動向を見極めつつも、財政の裁量余地を温存して「持続可能」な財政運営に舵を切ることとなる。
- 他方、20年の金融政策は「柔軟かつ精確で、合理的かつ適度なものにする」という方針となった。具体的には「通貨供給量(M2)・社会融資総量の伸び率が名目GDP成長率とほぼ一致するようにする」としており、昨年は景気支援型だったが今年は景気中立型になりそうだ。実際、必要な分野に十分な資金を供給するとしつつも、金融の伸びは鈍化している(下左図)。
- 21年の成長率は実質で前年比8.0%増、22年は同5.3%増と予想する(下右表)。リスク要因としては、コロナ変異株の海外からの流入、米中デカップリングによる供給網の寸断、疫情融資の縮小に伴う不良債権増、金融引き締めに伴う住宅バブル崩壊などが挙げられる。
■目次
1.中国経済の概況
2.景気指標の動向
1|個人消費
2|投資
3|輸出
3.成長率目標と財政金融政策
1|21年の成長率目標は「6%以上」
2|財政金融政策
4.中国経済の見通し
1|メインシナリオ
2|注視が必要なリスク要因
(2021年05月28日「Weekly エコノミスト・レター」)
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