2021年03月29日

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1. はじめに

大阪のオフィス市場は、景気悪化やテレワークの普及などを背景にオフィス需要が低迷し、空室率は上昇基調にある。成約賃料についても需給バランスの緩和に伴い頭打ちとなった。本稿では、大阪のオフィス市況を概観した上で、2025年までの賃料予測を行う。
 

2. 大阪オフィス市場の現況

2. 大阪オフィス市場の現況

2-1. 空室率および賃料の動向
全国主要都市のオフィスの空室率は、2020 年4 月の緊急事態宣言の発令以降、いずれの都市も上昇傾向で推移している。

三幸エステートによると、大阪市の空室率(2021年3月時点)は3.7%となり、前年比+1.2%上昇した(図表-1)。空室率をビルの規模1別にみると、「大規模2.3%(前年比+1.1%)」、「大型3.6%(同+1.4%)」、「中型5.8%(同∔1.1%)」、「小型7.3%(同+1.2%)」となり全ての規模で上昇に転じた(図表-2)。オフィス需要が縮小するなか、まとまった面積の募集では、入居テナントが決定するまでに時間を要する事例が増えている。
図表-1 主要都市のオフィス空室率/図表-2 大阪オフィスの規模別空室率
全国主要都市のオフィス成約賃料は、これまで空室率の低下を背景に上昇基調で推移していた。しかし、2020年下期はオフィスの解約や事業拠点の一部閉鎖などにより空室面積が増加し、賃料にも頭打ち感がみられる。大阪市の成約賃料は2020年上期に過去最高水準に達したが、2020年下期は前期比でマイナス(▲0.7%)となった(図表-3)。
図表-3 主要都市のオフィス成約賃料(オフィスレント・インデックス)
2020年の空室率と成約賃料の動き(前年比)を主要都市で比較すると、仙台市を除く全ての都市で空室率が上昇した。しかし、賃料については上昇と下落で分かれる結果となった。大阪市は、空室率が東京都心5区に次いで上昇した一方で、賃料は前年比プラスを確保した(図表-4)。

賃料と空室率の関係を表した大阪市の賃料サイクル2は、2012年下期を起点に「空室率低下・賃料上昇」局面が続いていたが、2020年下期は「空室率上昇・賃料上昇」局面へ移行し、「空室率上昇・賃料下落」局面に向かいつつある(図表-5)。
図表-4 2020年の主要都市のオフィス市況(前年比)/図表-5 大阪オフィス市場の賃料サイクル
 
1 三幸エステートの定義による。大規模ビルは基準階面積200坪以上、大型は同100~200坪未満、中型は同50~100坪未満、小型は同20~50坪未満。
2 賃料サイクルとは、縦軸に賃料、横軸に空室率をプロットした循環図。通常、(1)空室率低下・賃料上昇→(2)空室率上昇・賃料上昇→(3)空室率上昇・賃料下落→(4)空室率低下・賃料下落、と時計周りに動く。
2-2. 需給動向
三鬼商事によると、大阪ビジネス地区では、新規供給が限られるなか築古ビルの滅失が進んだことで、2020年末の賃貸可能面積(総供給面積)は、217.0万坪(前年比▲1.5万坪)に減少した。

また、2020年末の賃貸面積(総需要面積)は、オフィス需要の減少を受けて209.5万坪(前年比▲5.0万坪)に減少した。この結果、大阪ビジネス地区の空室面積は7.5万坪(前年比+3.5万坪)となり、前年からほぼ倍増となった。(図表-6)。
図表-6 大阪ビジネス地区の賃貸可能面積・賃貸面積・空室面積
図表-7 大阪ビジネス地区の賃貸可能面積・賃貸面積・空室面積の増減
2-3. エリア別動向
2020年末時点で賃貸可能面積が最も大きいエリアは「梅田地区(34.2%)」で、次いで「淀屋橋・本町地区(31.1%)」、「船場地区(14.6%)」、「新大阪地区(9.8%)」、「心斎橋・難波地区(5.2%)」、「南森町地区(5.1%)」の順となっている(図表-8)。

2020年は、新規供給のあった「淀屋橋・本町地区」(前年比+0.5万坪)と「心斎橋・難波地区」(同+0.2万坪)で増加した一方で、「船場地区」(同▲1.2万坪)や「梅田地区」(同▲0.8万坪)、「南森町地区」(同▲0.1万坪)は築古物件の滅失等により賃貸可能面積が減少した(図表-9)。

これに対して、賃貸面積は全ての地区で減少した。特に、「梅田地区」(前年比▲2.2万坪)や「船場地区」(同▲1.9万坪)で賃貸面積の減少が目立つ。この結果、空室面積は全ての地区で増加し、大阪ビジネス地区全体で+3.5万坪の増加となった。
図表-8 大阪ビジネス地区の地区別オフィス面積構成比(2020年)/図表-9 大阪ビジネス地区の地区別オフィス需給面積増分(2020年)
大阪の空室率(2020年12月時点)をエリア別にみると、2020年は「心斎橋・難波地区」を除くすべての地区で上昇した(図表-10左図)。特に、「船場地区:5.2%(前年比+2.3%)」と「新大阪地区:4.8%(同+2.1%)」で大きく上昇した。

また、募集賃料(2020年12月時点)をエリア別にみると、「心斎橋・難波地区(前年比+4.9%)」・「新大阪地区(同+3.1%)」・「梅田地区(同+1.8%)」・「淀屋橋・本町地区(同+1.1%)」が上昇する一方、「船場地区(同▲0.9%)」は下落となった(図表-10右図)。
図表-10 大阪ビジネス地区の地区別空室率・募集賃料の推移(月次)
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金融研究部   主任研究員

吉田 資 (よしだ たすく)

研究・専門分野
不動産市場、投資分析

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【「大阪オフィス市場」の現況と見通し(2021年)】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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