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米個人所得・消費支出(21年1月)-追加経済対策の効果で個人所得は前月比で2桁の増加
経済研究部 主任研究員 窪谷 浩
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1.結果の概要:個人所得、消費支出ともに前月から増加、消費者支出は市場予想を下回る
価格指数は、総合指数が前月比+0.3%(前月:+0.4%)となり、前月を下回ったものの、市場予想(+0.3%)に一致した。変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は前月比+0.3%(前月:+0.3%)とこちらは前月に一致した一方、市場予想(+0.1%)を上回った(図表6)。前年同月比は総合指数が+1.5%(前月:+1.3%)と前月、市場予想(+1.4%)を上回った。コア指数も+1.5%(前月改定値:+1.4%)と+1.5%から下方修正された前月、市場予想(+1.4%)を上回った(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
2.結果の評価:経済対策の効果で、当面個人消費は堅調へ

個人消費は個人所得の伸びに比べて低位に留まったものの、貯蓄率が20年5月(24.7%)以来の水準に大幅に増加しており、消費余力を十分に残している。また、家計向けの直接給付や失業保険追加給付の期限延長を盛り込んだ1.9兆ドル規模の追加経済対策の実現可能性が高まっており、実現する場合にはさらなる所得の上積みとなることから、個人所得の増加を背景に当面個人消費な堅調な伸びが見込まれる。
一方、FRBが物価指標としているPCE価格指数(前年同月比)は、総合指数、コア指数ともに前月から上昇したものの、FRBの物価目標(2%)を大幅に下回っており、足元で物価上昇圧力は限定的となっている。
3.所得動向:追加経済対策の効果で移転所得が大幅に増加
一方、賃金・給与所得が+0.7%(前月:+0.5%)と前月から伸びが加速したほか、移転所得が+52.0%(前月:+2.1%)と2桁の大幅な伸びとなって全体を押し上げた。移転所得は前月比年率+1兆9,771億ドル増加したが、これは12月下旬に成立した追加経済対策(CRRSA法)に盛り込まれた家計向けの直接給付(1人当たり600ドル)で+1兆6,610億ドル増加したほか、週当たり300ドルの失業保険の追加給付により+2,612億ドル増加したことが大きい。
一方、個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、1月の名目が+11.4%(前月:+0.6%)、価格変動の影響を除いた実質ベースが+11.0%(前月:+0.2%)となり、名目、実質ともに20年4月(+15.0%)以来となる2桁の増加となった。(図表3)。
4.消費動向:財消費が大幅に回復、家具・家電、娯楽財・スポーツカーが2桁の伸び
財消費では、耐久財が+8.4%(前月:▲1.8%)、非耐久財が+4.3%(前月:▲1.2%)といずれも前月からプラスに転じた。
耐久財では、自動車・自動車部品が+4.7%(前月:+1.3%)と前月から伸びが加速したほか、家具・家電が+10.8%(前月:▲3.4%)、娯楽財・スポーツカーが+10.5%(前月:▲3.9%)といずれも前月から2桁のプラスとなった。
非耐久財では、ガソリン・エネルギーが+7.9%(前月:+6.4%)と前月から伸びが加速したほか、衣料・靴が+10.6%(前月:▲2.3%)、食料・飲料が+3.8%(前月:▲1.9%)と前月からプラスに転じた。
サービス消費は、住宅・公共料金が▲0.4%(前月+1.0%)、金融サービスが▲0.3%(前月:+1.2%)と前月からマイナスに転じものの、医療サービスが+1.0%(前月:▲0.6%)、娯楽が+3.4%(前月:▲0.3%)、外食・宿泊が+5.8%(前月:▲3.9%)と前月からプラスに転じたほか、輸送サービスが+1.9%(前月:+0.4%)と前月から伸びが加速した。
5.価格指数:エネルギー価格が前月比で8ヵ月連続物価を押し上げ
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(2021年03月01日「経済・金融フラッシュ」)
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