2021年01月29日

英国のEU完全離脱からの1カ月で見えてきたこと

経済研究部 研究理事   伊藤 さゆり

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■要旨
 
  1. 英国のEU離脱は、協定なしこそ避けられたものの、英国が完全離脱の早期実現と主権の回復、EUが単一市場の原則を重視した結果、「ハードな離脱」となった。
     
  2. 21年初に発効した「貿易協力協定(TCA)」は、単一市場、関税同盟を引き継ぐ協定としては範囲が限定され、かつ可変的である。北アイルランドの特別な位置づけも4年後には最初の見直しの機会があるなど流動的である。
     
  3. 「ハードな離脱」から1カ月間で観察される影響は、業種や企業規模、地域により異なる。事前準備が進んでいた金融サービスでは混乱は見られず、財の貿易に生じた新たな障壁への対応には特に小規模な企業が苦慮している。スコットランドへの集中度が高い漁業や北アイルランドのスーパーマーケットでの食料品不足なども生じている。
     
  4. 完全離脱は新型コロナの変異種の感染拡大とタイミングが重なった。コロナ禍とEU離脱の影響は中期的に共振し続けるおそれがある。向こう数年間、英国は国内の経済対策、とりわけ格差是正と遠心力が強まる連合王国維持のための政策を最優先せざるを得ず、「グローバル・ブリテン」戦略に割く政治的な資源には限りがあるだろう。
     
  5. 日本と英国は国際舞台で共同歩調をとる場面は増える。英国のEU離脱の日本経済へのマクロ的な影響は限定的だが、企業は新たな環境に対応するための選択を迫られる。
貿易協力協定(TCA)に基づく関係とEU加盟国の権利の違い
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経済研究部   研究理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州経済

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