2021年01月27日

英国雇用関連統計(12月)-再ロックダウンで休業者も再び増加へ

経済研究部 准主任研究員   高山 武士

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1.結果の概要:失業率は5%まで上昇

1月26日、英国国家統計局(ONS)は雇用関連統計を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【12月】
失業保険申請件数1前月(263.75万件)から0.70万件増の264.45万件となった(図表1)。
申請件数の雇用者数に対する割合は7.4%となり、前月(同7.3%)から増加した。

【11月(9-11月の3か月平均)】
失業率は5.0%で前月(4.9%)から上昇、市場予想2(5.1%)より下振れした(図表1)。
就業者は3250.3万人で3か月前の3259.1万人から8.8万人の減少となった。
増減数は前月(▲14.3万人)から増加(減少幅の縮小)、市場予想(▲10.4万人)は下回った。
週平均賃金は、前年同期比+3.6%で前月(+2.7%)から改善、市場予想(+3.2%)も上回った(図表2)。

(図表1)英国の失業保険申請件数、失業率/(図表2)賃金・労働時間の推移
 
1 求職者手当(JSA:Jobseekerʼs Allowance)、国民保険給付(National Insurance credits)を受けている者に加えて、主に失業理由でユニバーサルクレジット(UC)を受給している者の推計数の合算。なお、UCはJSAより幅広い求職手当てであり、失業者数を示す統計としては過大評価している可能性がある。このため、ONSは失業保険等申請件数について公式統計とはしておらず実験統計という位置付けで公表している。ただし、公表日の前月のデータを入手できるため、速報性の高さという利点がある。
2 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2. 結果の詳細:再ロックダウンで休業者も再び増加

12月の失業保険申請件数は11月に引き続き微増、申請者数割合は7.4%だった。イングランドでは11月5日から全域でロックダウン(都市封鎖)を実施、ロックダウンは12月にいったん解除されたが多くの地域では厳しい封じ込め政策が続いていた。こうした状況だったが、失業保険件数は微増にとどまった。失業保険申請件数と同じく12月のデータとして公表されている求人数および給与所得者数を確認すると、まず求人数は10-12月の平均で57.8万件となり(図表3)、こちらも改善幅は縮小しているものの、改善傾向が続いていることが確認できる。

給与所得者データ3を見ると、12月の給与所得者は2819.1万人で前月差+5.2万人となり、コロナ禍前の2月以来増加となった(図表4)。流出(退職など)と流入(就職など)のフローの傾向は、流入の増加がコロナ禍前の水準まで回復している。

月あたり給与額(中間値)についても前年同月比+4.9%と統計データが公表されている2015年以降で最も高い伸び率を維持している。

以上の通り、求人数や給与所得者データについても、封じ込め政策を強化した11月以降も改善傾向が続いていることが分かった。ただし、流入者(新規採用)の給与が相対的に低いことに鑑みると、今後も流入の増加傾向が続けば、給与額(中間値)の伸びは落ち着くと見られる。
(図表3)求人数の変化(要因分解)/(図表4)給与取得者データの推移
次に11月までのデータを確認すると、9-11月の失業率は5.0%となり、失業者は172.4万人まで増加した(前掲図表1)。一方、賃金関係では、9-11月の平均賃金が前年同期比+3.6%(実質は+2.8%)と伸びが加速し、特に実質賃金は2.9%の伸び率を記録した2007年10月以来の高さを記録、名目賃金も3%台後半の伸びでこれはコロナ禍前の伸び率に匹敵する(前掲図表2)。また労働時間も30.1時間(前年同期差▲1.9時間)、フルタイム労働者で34.7時間(同▲2.4時間)となり、改善が続いている。
(図表5)英国の雇用統計(週次データ) 一方、週次データを見ると、3月後半のロックダウン以降に改善してきた休業者が、11月の2回目のロックダウン以降に緩やかながらも増加に転じていることが分かる(図表5)。

政府の雇用維持政策4も継続されているが、厳しい封じ込め政策が続いていることに鑑みると、雇用の先行きは予断を許さないだろう。特に今回は飲食・宿泊や娯楽業など対面サービス産業の一部の産業に影響が集中しており、産業間での雇用・所得格差が深刻になっていく可能性も高いと考えられる。
 
3 歳入関税庁(HRMC)の源泉徴収情報を利用した実験統計。直近データは利用可能な情報の85%ほどを集計して算出。
4 政府は10月末で終了する予定となっていたコロナ禍後の雇用維持制度(CJRS)を20年11月から21年1月まで延長(8月時点と同様の手当を実施)しており、その後、12月17日に4月末までの延長を発表した。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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経済研究部   准主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、国際経済

(2021年01月27日「経済・金融フラッシュ」)

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