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- 英国雇用関連統計(12月)-再ロックダウンで休業者も再び増加へ
1.結果の概要:失業率は5%まで上昇
【12月】
・失業保険申請件数1は前月(263.75万件)から0.70万件増の264.45万件となった(図表1)。
・申請件数の雇用者数に対する割合は7.4%となり、前月(同7.3%)から増加した。
【11月(9-11月の3か月平均)】
・失業率は5.0%で前月(4.9%)から上昇、市場予想2(5.1%)より下振れした(図表1)。
・就業者は3250.3万人で3か月前の3259.1万人から8.8万人の減少となった。
増減数は前月(▲14.3万人)から増加(減少幅の縮小)、市場予想(▲10.4万人)は下回った。
・週平均賃金は、前年同期比+3.6%で前月(+2.7%)から改善、市場予想(+3.2%)も上回った(図表2)。
1 求職者手当(JSA:Jobseekerʼs Allowance)、国民保険給付(National Insurance credits)を受けている者に加えて、主に失業理由でユニバーサルクレジット(UC)を受給している者の推計数の合算。なお、UCはJSAより幅広い求職手当てであり、失業者数を示す統計としては過大評価している可能性がある。このため、ONSは失業保険等申請件数について公式統計とはしておらず実験統計という位置付けで公表している。ただし、公表日の前月のデータを入手できるため、速報性の高さという利点がある。
2 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2. 結果の詳細:再ロックダウンで休業者も再び増加
給与所得者データ3を見ると、12月の給与所得者は2819.1万人で前月差+5.2万人となり、コロナ禍前の2月以来増加となった(図表4)。流出(退職など)と流入(就職など)のフローの傾向は、流入の増加がコロナ禍前の水準まで回復している。
月あたり給与額(中間値)についても前年同月比+4.9%と統計データが公表されている2015年以降で最も高い伸び率を維持している。
以上の通り、求人数や給与所得者データについても、封じ込め政策を強化した11月以降も改善傾向が続いていることが分かった。ただし、流入者(新規採用)の給与が相対的に低いことに鑑みると、今後も流入の増加傾向が続けば、給与額(中間値)の伸びは落ち着くと見られる。
政府の雇用維持政策4も継続されているが、厳しい封じ込め政策が続いていることに鑑みると、雇用の先行きは予断を許さないだろう。特に今回は飲食・宿泊や娯楽業など対面サービス産業の一部の産業に影響が集中しており、産業間での雇用・所得格差が深刻になっていく可能性も高いと考えられる。
3 歳入関税庁(HRMC)の源泉徴収情報を利用した実験統計。直近データは利用可能な情報の85%ほどを集計して算出。
4 政府は10月末で終了する予定となっていたコロナ禍後の雇用維持制度(CJRS)を20年11月から21年1月まで延長(8月時点と同様の手当を実施)しており、その後、12月17日に4月末までの延長を発表した。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年01月27日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1818
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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