2020年12月18日

米住宅着工・許可件数(20年11月)-着工、許可件数ともに前月から増加、市場予想も上回る

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:着工、許可件数ともに前月から増加、市場予想も上回る

 12月17日、米国センサス局は11月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は154.7万件(前月改定値:152.8万件)と153.0万件から下方修正された前月を上回ったほか、市場予想の153.5万件(Bloomberg集計の中央値)も上回った(図表1、図表3)。

住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は163.9万件(前月改定値:154.4万件)と、154.5万件から僅かに下方修正された前月、市場予想の156.0万件を大幅に上回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:戸建て主導の回復が持続。

住宅着工件数の伸びは、前月比+1.2%(前月:+6.3%)と3ヵ月連続のプラスとなった(図表3)。内訳をみると、集合住宅が前月比+4.0%(前月:+2.1%)と2ヵ月連続でプラスとなったほか、戸建てが+0.4%(前月:+7.7%)と7ヵ月連続でプラスとなるなど好調を維持した(図表4)。

前年同月比では+12.8%(前月:+14.0%)と3ヵ月連続で2桁の伸びとなった。集合住宅が▲17.6%(前月:▲19.1%)と2桁のマイナスとなったものの、戸建てが+27.1%(前月:+29.6%)となり、全体を押し上げた。これで戸建ての2桁の伸びは5カ月連続となった。

地域別寄与度(前月比)は、中西部が▲0.7%ポイント(前月:▲0.2%ポイント)と3ヵ月連続マイナスとなったほか、南部が▲3.4%ポイント(前月:+7.5%ポイント)と3ヵ月ぶりにマイナスに転じた。一方、北東部が+3.3%ポイント(前月:▲2.7%ポイント)と前月からプラスに転じたほか、西部が+2.0%ポイント(前月:+1.7%ポイント)と5カ月連続でプラスを維持するなど、地域によってマチマチの結果となった。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+6.2%(前月:▲0.1%)となった(図表5)。戸建てが+1.3%(前月:+1.3%)と7ヵ月連続でプラスとなったほか、集合住宅も+19.2%(前月:▲3.7%)と4ヵ月ぶりにプラスに転じた(図表6)。

前年同月比は+8.5%(前月:+2.7%)と5ヵ月連続のプラスとなった。集合住宅が▲13.7%(前月:▲27.5%)と4ヵ月連続で2桁のマイナスとなるなど不振が続いているものの、戸建てが+22.2%(前月:+21.4%)と5ヵ月連続で2桁のプラスとなり、全体を押し上げた。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数(伸び率)
(図表7)住宅市場指数(項目別) 一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、12月が86(前月:90)と前月比▲4ポイントとなり、8ヵ月ぶりに低下した(図表7)。もっとも、水準は85年の統計開始以来2番目の高さとなっており、好調を維持している。

12月の指数の内訳は販売現況が92(前月:96)、販売見込みが85(前月:89)、客足が73(前月:77)といずれも前月から▲4ポイント低下した。

一方、住宅ローン金利が史上最低となっているものの、その恩恵を上回る住宅価格の上昇がみられているため、住宅市場への影響が注目される。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2020年12月18日「経済・金融フラッシュ」)

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