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自由度とは?
例えば、平均の場合は身長に対する平均(身長の平均)、成績に対する平均(成績の平均)、収入に対する平均(収入の平均)といったように、平均の具体的な内容が示されていることに比べ、自由度は修飾語を付けないまま自由度だけに呼ばれているケースが多い。従って、「計算に対する(計算の)自由度」、「標本分散に対する(標本分散の)自由度」のように何に対する自由度なのかを明確に示すと、自由度に対する理解がより深まると考えられる。
自由度の定義から考える自由度
標本分散、t分布に利用される自由度
上述した通り、独立したn個のデータを用いて、推計値である「標本平均」を求めているので、「標本平均」はnで割るのが適切である。それに対して、標本分散の場合には、式(2)のように平方和(個々のデータと平均値の差を二乗した値の和)を求める式(式(3))に、推計値である標本平均()が含まれているので、「自由に決めることができる値の数」が一つ減ることになる。言い換えると、データの各値()と標本平均()との差である「偏差」の合計は0(式(4))になるので、自由に入れることができる値の数が一つ制約されてしまう。そこで、標本分散を求める際には一般的にnではなくn-1が用いられている。
つまり、標本平均の分布が、平均がで、分散がである正規分布に従う場合(式(5))の母平均の統計的推定は、母分散の値を分かっている時には式(6)のように平均が0、分散が1である標準正規分布を、母分散の値を分かっていない時には、式(7)のように自由度がn-1のt分布を利用すれば良い。
(2020年12月15日「研究員の眼」)
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生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任
金 明中 (きむ みょんじゅん)
研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計
03-3512-1825
- プロフィール
【職歴】
独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年9月ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月から現職
・2011年~ 日本女子大学非常勤講師
・2015年~ 日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員
・2021年~ 横浜市立大学非常勤講師
・2021年~ 専修大学非常勤講師
・2021年~ 日本大学非常勤講師
・2022年~ 亜細亜大学都市創造学部特任准教授
・2022年~ 慶應義塾大学非常勤講師
・2024年~ 関東学院大学非常勤講師
・2019年 労働政策研究会議準備委員会準備委員
東アジア経済経営学会理事
・2021年 第36回韓日経済経営国際学術大会準備委員会準備委員
【加入団体等】
・日本経済学会
・日本労務学会
・社会政策学会
・日本労使関係研究協会
・東アジア経済経営学会
・現代韓国朝鮮学会
・韓国人事管理学会
・博士(慶應義塾大学、商学)
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