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- 貸出・マネタリー統計(20年11月)~通貨量の伸びが7ヵ月連続で過去最高を更新、投資信託は前年割れに
2020年12月09日
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1.貸出動向:地銀貸出の伸びが3カ月連続で低下、中小企業でも資金需要が一服
2.マネタリーベース:増勢が一旦鈍化
12月2日に発表された11月のマネタリーベースによると、日銀による通貨供給量(日銀当座預金+市中に流通する紙幣・貨幣)を示すマネタリーベースの前年比伸び率(平残)は16.5%と、前月(同16.3%)をやや上回り、2017年6月以来の高水準となった(図表6)。
引き続き、日銀当座預金の減少要因となる政府による短期国債(国庫短期証券)が大規模に発行されたが、日銀が大規模な買入れ(日銀当座預金の増加要因)を続けたほか、金融機関向け貸出である新型コロナ対応金融支援特別オペの実施もあり、日銀当座預金残高が増加した。
なお、長短国債の買入れ額はコロナ拡大前と比べて高い水準が維持されているものの、長期国債の買入れ増は限定的であり、短期国債の買入れ増も夏場以降ペースダウンしている(図表7.8)。これに伴い、マネタリーベースの増勢も鈍化してきている。
11月末時点のマネタリーベース残高は606兆円と前月末比2.4兆円減少した。季節性を除外した季節調整済み系列(平残)で見ると、11月は前月比3.5兆円増と引き続きプラスを維持しているが、10~20兆円のプラスが続いていた前月までと比べると、大きく鈍化している(図表9)。
引き続き、日銀当座預金の減少要因となる政府による短期国債(国庫短期証券)が大規模に発行されたが、日銀が大規模な買入れ(日銀当座預金の増加要因)を続けたほか、金融機関向け貸出である新型コロナ対応金融支援特別オペの実施もあり、日銀当座預金残高が増加した。
なお、長短国債の買入れ額はコロナ拡大前と比べて高い水準が維持されているものの、長期国債の買入れ増は限定的であり、短期国債の買入れ増も夏場以降ペースダウンしている(図表7.8)。これに伴い、マネタリーベースの増勢も鈍化してきている。
11月末時点のマネタリーベース残高は606兆円と前月末比2.4兆円減少した。季節性を除外した季節調整済み系列(平残)で見ると、11月は前月比3.5兆円増と引き続きプラスを維持しているが、10~20兆円のプラスが続いていた前月までと比べると、大きく鈍化している(図表9)。
増勢の鈍化は、金融市場の安定や企業の資金需要一服などを受けたものと考えられる。ただし、来年年初に政府の第3次補正予算が成立すれば、再び国債の増発が予想される。この場合、日銀が金利上昇抑制のために国債買入れを活発化し、マネタリーベースの増勢が再び強まる可能性がある。
3.マネーストック:通貨量の伸びが7ヵ月連続で過去最高を更新、投資信託は前年割れに
12月9日に発表された11月のマネーストック統計によると、金融部門から市中に供給された通貨量の代表的指標であるM2(現金、国内銀行などの預金)平均残高の伸び率は前年比9.11%(前月は8.99%)、M3(M2にゆうちょ銀など全預金取扱金融機関の預貯金を含む)の伸び率は同7.61%(前月は7.51%)とともに上昇した(図表10)。伸び率はともに7カ月連続で2004年4月の現行統計開始以降の最高を更新しているが、貸出の伸び一服などから、増勢は鈍化してきている。
M3の内訳では、普通預金等の預金通貨(前月15.2%→当月15.2%)の伸び率が前月から横ばいとなったほか(図表11)、上昇が続いてきた現金通貨(前月6.0%→当月6.0%)の伸び率も横ばいとなったが、CD(譲渡性預金・前月1.8%→当月5.5%)の伸びがプラス幅を拡大したことが寄与した。なお、定期預金などの準通貨(前月▲2.0%→当月▲2.1%)の伸びは引き続きマイナス圏かつ小動きであった(図表12)。
M3の内訳では、普通預金等の預金通貨(前月15.2%→当月15.2%)の伸び率が前月から横ばいとなったほか(図表11)、上昇が続いてきた現金通貨(前月6.0%→当月6.0%)の伸び率も横ばいとなったが、CD(譲渡性預金・前月1.8%→当月5.5%)の伸びがプラス幅を拡大したことが寄与した。なお、定期預金などの準通貨(前月▲2.0%→当月▲2.1%)の伸びは引き続きマイナス圏かつ小動きであった(図表12)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年12月09日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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