- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- 長引く円高、終止符は打たれるか?~マーケット・カルテ12月号
2020年11月24日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大

日米の金融政策の方向性に差が無いなかで、ともに安全通貨とされる円とドルが連動しやすいことでドル円の動きは抑制されているものの、米国での感染拡大や緩和長期化観測、財政赤字拡大観測などが円高ドル安圧力となり、105円割れの時間帯が続いている。米国の感染が鎮静化する兆しは見えないうえ、FRBによる早期緩和強化観測もあって、当面は円高ドル安に振れやすいだろう。
しかし、上旬にワクチン開発の進展によってドルが急反発した点は注目に値する。12月にはワクチンが実用化されて接種が開始されると見込まれる。ワクチンの普及には時間を要するものの、接種が進むにつれて米経済活動正常化の織り込みが進んで米金利が上昇し、ドル円は持ち直すだろう。3か月後の水準は106円付近と予想している。
ユーロ円は、上旬にワクチン開発の進展を受けたリスク選好的な円売りユーロ買いによって124円台に上昇した後、世界的な感染拡大を受けたリスク回避的な動きによって下落し、足元は123円台後半にある。当面は感染拡大が警戒されることで円高ユーロ安に振れる可能性が高い。しかし、12月には米国でワクチン接種が開始されると見込まれ、以降はリスク選好的な円売りユーロ買いの発生が予想される。3か月後の水準は現状比でやや上昇と見ている。
長期金利は、内外でのコロナ感染拡大を受けてやや低下し、足元では0.0%を若干上回る水準にある。当面は内外での感染拡大が金利抑制要因となる一方、第3次補正予算編成に伴う国債増発観測が金利の支えになる。さらに来月以降はワクチン接種開始による米金利上昇が波及する可能性が高いことから、3か月後の水準は現状比でやや上昇とみている。
(執筆時点:2020/11/24)
(2020年11月24日「基礎研マンスリー」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/18 | トランプ関税発の円高は止まるか?~マーケット・カルテ5月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
2025/04/11 | 貸出・マネタリー統計(25年3月)~貸出金利は上昇中だが、貸出残高は増勢を維持、現金・普通預金離れが進む | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/07 | トランプ関税と円相場の複雑な関係~今後の展開をどう見るか? | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/04/01 | 日銀短観(3月調査)~日銀の言う「オントラック」を裏付ける内容だが、トランプ関税の悪影響も混在 | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
新着記事
-
2025年05月01日
日本を米国車が走りまわる日-掃除機は「でかくてがさつ」から脱却- -
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る -
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【長引く円高、終止符は打たれるか?~マーケット・カルテ12月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
長引く円高、終止符は打たれるか?~マーケット・カルテ12月号のレポート Topへ