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- 米大統領選後は円安か?それとも円高か?~マーケット・カルテ11月号
2020年10月21日
10月に入り、ドル円は米国の追加経済対策や大統領選の行方を見極めるべく様子見ムードとなったことで105円台での膠着した推移が続いており、足元でも105円台前半にある。
今後の焦点となる米大統領選の行方は未だ予断を許さないものの、両候補ともに景気刺激的な財政政策を掲げるだけに、どちらが勝つにせよ、大統領選後には財政出動への期待からリスク選好的な円売りが優勢となり、円安に振れると予想する。足元では、バイデン氏の勝利に加えて民主党が上下両院で過半数を占める「トリプルブルー」が現実味を増しているが、この場合には、早期・大規模な財政出動への期待から円安反応が増幅される可能性もある。もともと年終盤には決算に絡むドル需要が高まりやすいという季節性もあるため、3か月後の水準は現状比で円安ドル高と見ている。
ただし、大統領選の結果とそれに対する為替の反応については市場の見方が分かれているだけに、不確実性が高い点は否めない。また、選挙結果の判明にことのほか時間を要する場合や、敗者が敗北を受け入れない場合など、選挙後に次期大統領選出が難航する場合には、リスクオフの円高ドル安が進行するリスクがある。
ユーロ円は、欧州でのコロナの感染急増やECBによる追加緩和観測がユーロの重荷になる一方で、米経済対策への期待が円の上値を抑える形で一進一退となり、足元は124円台後半にある。今後はドル円同様、大統領選後にリスク選好の円売りが発生する反面、欧州でのコロナ感染増加の影響顕在化や追加緩和観測がユーロ売り材料になりそうだ。円売りとユーロ売りが引き続き拮抗する形になることで、3か月後のユーロ円は現状比横ばい圏に留まると見込んでいる。
長期金利は、長らく0.0%台前半での推移が続いている。今後は米財政拡大観測に伴う米金利上昇や、国内での第3次補正予算編成に伴う国債需給緩和への警戒から、金利上昇圧力が高まる可能性が高い。しかし、日銀は景気等への配慮から金利上昇を許容せず、オペや市場との対話を通じて抑制し続けるだろう。3か月後は現状比で小幅な上昇に留まるとみている。
今後の焦点となる米大統領選の行方は未だ予断を許さないものの、両候補ともに景気刺激的な財政政策を掲げるだけに、どちらが勝つにせよ、大統領選後には財政出動への期待からリスク選好的な円売りが優勢となり、円安に振れると予想する。足元では、バイデン氏の勝利に加えて民主党が上下両院で過半数を占める「トリプルブルー」が現実味を増しているが、この場合には、早期・大規模な財政出動への期待から円安反応が増幅される可能性もある。もともと年終盤には決算に絡むドル需要が高まりやすいという季節性もあるため、3か月後の水準は現状比で円安ドル高と見ている。
ただし、大統領選の結果とそれに対する為替の反応については市場の見方が分かれているだけに、不確実性が高い点は否めない。また、選挙結果の判明にことのほか時間を要する場合や、敗者が敗北を受け入れない場合など、選挙後に次期大統領選出が難航する場合には、リスクオフの円高ドル安が進行するリスクがある。
ユーロ円は、欧州でのコロナの感染急増やECBによる追加緩和観測がユーロの重荷になる一方で、米経済対策への期待が円の上値を抑える形で一進一退となり、足元は124円台後半にある。今後はドル円同様、大統領選後にリスク選好の円売りが発生する反面、欧州でのコロナ感染増加の影響顕在化や追加緩和観測がユーロ売り材料になりそうだ。円売りとユーロ売りが引き続き拮抗する形になることで、3か月後のユーロ円は現状比横ばい圏に留まると見込んでいる。
長期金利は、長らく0.0%台前半での推移が続いている。今後は米財政拡大観測に伴う米金利上昇や、国内での第3次補正予算編成に伴う国債需給緩和への警戒から、金利上昇圧力が高まる可能性が高い。しかし、日銀は景気等への配慮から金利上昇を許容せず、オペや市場との対話を通じて抑制し続けるだろう。3か月後は現状比で小幅な上昇に留まるとみている。
(執筆時点:2020/10/21)
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(2020年10月21日「基礎研マンスリー」)
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03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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