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- 原油相場に台頭する下落リスク~材料の点検と今後の行方
2020年10月07日
■要旨
- 世界の原油需要は既に最悪期を脱し、需給が好転しているにもかかわらず、原油価格は低迷している。市場の需給緩和懸念が根強いためだ。実際、原油市場を取り巻く環境を点検すると、足元もしくは先行きにかけて需給緩和に繋がる材料が目立つ。具体的には、需要面では「新型コロナの感染拡大」、「中国の原油輸入鈍化懸念」、供給(生産)面では「米シェールの生産回復」、「OPECプラスの減産縮小」、「リビアの生産回復」が挙げられる。米大統領選の結果は予断を許さないが、仮にバイデン氏が新大統領に選ばれた場合は、需給両面で需給緩和材料、すなわち原油価格抑制材料が加わることになるだろう。
- 需給緩和材料が目立っており、今後も価格下落リスクの高い状況が続きそうだが、最大のカギは需要の回復となる。世界的に経済活動が正常化に向かい、需要が順調に回復に向かえば、需給は引き締まった状況が維持され、原油価格は回復軌道に戻るだろう。ただし、需給緩和材料も多いだけに価格の回復は緩やかに留まりそうだ。とりわけ、価格が上昇すれば米シェールの増産が進むうえ、OPECプラスも減産縮小に動くと見込まれるため、上値は抑制される。メインシナリオとしては、年内は30ドル台後半~40ドル台前半、来年は40ドル台半ば~後半を想定しており、50ドル台の定着は見込んでいない。
- ただし、今後、主要国で新型コロナの感染拡大が加速したり、有効なワクチン・治療薬の実用化が遅れたりすれば、需要の回復が遅れることになる。需給緩和材料が多いだけに需給の緩みが意識され、原油価格は下押しされるだろう。その際には、OPECプラスの結束力が再び問われることになる。迅速・円滑に減産拡大に踏み切ることが出来れば原油価格は下支えされるが、3月のように主要国が自国の利益を優先して減産協議が決裂し、各々が増産に走ることになれば、原油価格の底割れが避けられなくなる。
■目次
1.トピック: 原油相場に台頭する下落リスク
・需要は既に最悪期を脱した
・需給緩和材料が目立つ
・バイデン大統領誕生も価格抑制材料に
・今後の見通し
2.日銀金融政策(9月):政府との協調による緩和継続を強調
・(日銀)現状維持
・今後の予想
3.金融市場(9月)の振り返りと予測表
・10年国債利回り
・ドル円レート
・ユーロドルレート
1.トピック: 原油相場に台頭する下落リスク
・需要は既に最悪期を脱した
・需給緩和材料が目立つ
・バイデン大統領誕生も価格抑制材料に
・今後の見通し
2.日銀金融政策(9月):政府との協調による緩和継続を強調
・(日銀)現状維持
・今後の予想
3.金融市場(9月)の振り返りと予測表
・10年国債利回り
・ドル円レート
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(2020年10月07日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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