2020年11月19日

米住宅着工・許可件数(20年10月)-着工件数は年率153.0万件、戸建てが好調を維持し、前月、市場予想を上回る。

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:着工件数は市場予想を上回るものの、許可件数は市場予想を下回る

11月18日、米国センサス局は10月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は153.0万件(前月改定値:145.9万件)と141.5万件から上方修正された前月を上回ったほか、市場予想の146.0万件(Bloomberg集計の中央値)も上回った(図表1、図表3)。

住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は154.5万件(前月改定値:154.5万件)と、155.3万件から小幅に下方修正された前月に一致、市場予想の156.7万件を下回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:引き続き戸建て主導の回復が持続。

住宅着工件数の伸びは、前月比+4.9%(前月:+6.3%)と2ヵ月連続のプラスとなった(図表3)。内訳をみると、集合住宅が前月比横ばい(前月:横ばい)と2ヵ月連続で横ばいとなった一方、戸建てが+6.4%(前月:+8.4%)と6ヵ月連続でプラスを維持し全体を押し上げた(図表4)。

前年同月比では+14.2%(前月:+14.5%)と2ヵ月連続で2桁の伸びとなった。こちらも戸建てが+29.4%(前月:+22.3%)と4ヵ月連続で2桁の伸びを維持した一方、集合住宅は▲18.2%(前月:▲4.6%)と2桁のマイナスとなった。

地域別寄与度(前月比)は、北東部が▲3.4%ポイント(前月:+3.0%ポイント)と前月からマイナスに転じた一方、中西部が+0.5%ポイント(前月:▲2.1%ポイント)と前月からプラスに転じたほか、南部が+6.7%ポイント(前月:+4.2%ポイント)、西部が+1.0%ポイント(前月:+1.2%ポイント)と前月に続きプラスを維持した。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比横ばい(前月:+4.7%)となった(図表5)。集合住宅が▲1.6%(前月:▲1.4%)と3ヵ月連続でマイナスとなった一方、戸建てが+0.6%(前月:+7.2%)と6ヵ月連続でプラスとなるなど、戸建てと集合住宅で対照的な動きとなった(図表6)。

前年同月比は+2.8%(前月:+7.5%)と4ヵ月連続でプラスとなった。集合住宅が▲26.0%(前月:▲19.6%)と3ヵ月連続で2桁のマイナスとなった一方、戸建てが+20.6%(前月:+23.7%)と4ヵ月連続で2桁のプラスとなり、全体を押し上げた。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅市場指数(項目別) 一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、11月が90(前月:85)と前月比+5ポイント上昇し、3ヵ月連続で85年の統計開始以来最高を更新した(図表7)。このため、戸建て販売に対する建設業者のセンチメントはこれまでになく強い。

指数の内訳も販売現況が96(前月:90)、販売見込みが89(前月:88)、客足が77(前月:74)と3指数ともに統計開始以来最高となった。

一方、住宅ローン金利が史上最低となり住宅市場に追い風となる一方、その恩恵を上回る住宅価格上昇がみられているため、影響が注目される。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2020年11月19日「経済・金融フラッシュ」)

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