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- 米個人所得・消費支出(20年9月)-個人所得、消費支出ともに前月から改善、市場予想も上回る
2020年11月02日
1.結果の概要:個人所得、消費支出ともに市場予想を上回る
10月30日、米商務省の経済分析局(BEA)は9月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は前月比+0.9%(前月改定値:▲2.5%)と▲2.7%から小幅に上方修正された前月からプラスに転じたほか、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の+0.4%も上回った(図表1)。個人消費支出は前月比+1.4%(前月:+1.0%)と前月から伸びが加速、市場予想(+1.0%)も上回った。また、価格変動の影響を除いた実質個人消費支出(前月比)も+1.2%(前月:+0.7%)と前月から伸びが加速し、市場予想(+0.8%)も上回った(図表5)。貯蓄率1は14.3%(前月:14.8%)と、前月から▲0.5%ポイント低下した。
価格指数は、総合指数が前月比+0.2%(前月:+0.3%)と前月を下回った一方、市場予想(+0.2%)に一致した。変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数も+0.2%(前月:+0.3%)と前月を下回った一方、市場予想(+0.2%)に一致した(図表6)。前年同月比は総合指数が+1.4%(前月改定値:+1.3%)と+1.4%から下方修正された前月を上回ったものの、市場予想(+1.5%)を下回った。コア指数も+1.5%(前月改定値:+1.4%)と+1.6%から下方修正された前月を上回ったものの、市場予想(+1.7%)は下回った(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
価格指数は、総合指数が前月比+0.2%(前月:+0.3%)と前月を下回った一方、市場予想(+0.2%)に一致した。変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数も+0.2%(前月:+0.3%)と前月を下回った一方、市場予想(+0.2%)に一致した(図表6)。前年同月比は総合指数が+1.4%(前月改定値:+1.3%)と+1.4%から下方修正された前月を上回ったものの、市場予想(+1.5%)を下回った。コア指数も+1.5%(前月改定値:+1.4%)と+1.6%から下方修正された前月を上回ったものの、市場予想(+1.7%)は下回った(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
2.結果の評価:経済対策効果の剥落が継続も、消費の伸びは加速
9月の個人消費は4ヵ月ぶりに前月から伸びが加速した(図表1)。後述するように政府からの移転所得は政策効果の剥落に伴って減少が続いているものの、賃金・給与や自営業者の所得が労働市場の回復を背景に自律的に回復して、可処分所得を押し上げことが大きいと考えられる。
もっとも、足元で新型コロナの1日の新規感染者数が新型コロナ流行以来最多となるなど感染拡大に拍車が掛かっているほか、一部の州では再び経済活動を制限する動きがみられているなど、今後の感染動向によっては労働市場の回復に水が差される可能性がある。折角軌道に乗りかけてきた景気回復を確かなものにするためにも追加経済対策の早期実現が望まれる。
一方、FRBが物価指標としているPCE価格指数(前年同月比)は、総合指数、コア指数ともに4月を底に5カ月連続の上昇となった。もっとも、両指数ともにFRBの物価目標(2%)を大幅に下回っている。9月に発表されたFRBの物価見通しは23年末に漸く2%に到達するとの見方が示されており、物価目標の達成には相当時間を要するとみられる。
もっとも、足元で新型コロナの1日の新規感染者数が新型コロナ流行以来最多となるなど感染拡大に拍車が掛かっているほか、一部の州では再び経済活動を制限する動きがみられているなど、今後の感染動向によっては労働市場の回復に水が差される可能性がある。折角軌道に乗りかけてきた景気回復を確かなものにするためにも追加経済対策の早期実現が望まれる。
一方、FRBが物価指標としているPCE価格指数(前年同月比)は、総合指数、コア指数ともに4月を底に5カ月連続の上昇となった。もっとも、両指数ともにFRBの物価目標(2%)を大幅に下回っている。9月に発表されたFRBの物価見通しは23年末に漸く2%に到達するとの見方が示されており、物価目標の達成には相当時間を要するとみられる。
3.所得動向:政策効果は剥落も、賃金・給与、自営業者所得が押上げ
政府からの移転所得は前月比年率▲57億ドルと5カ月連続のマイナスとなり、政策効果の剥落に伴う移転所得の減少が続いていることを示した。もっとも、減少幅は前月の▲7,257億ドルから大幅に縮小した。これは、週当たり600ドルを上乗せする失業保険の追加給付が7月末で期限切れとなったことから▲2,666億ドルの減少となった一方、追加給付の代替手段として災害対策予算を活用した所得補償策が+2,756億ドル押し上げたことが大きい。
一方、賃金・給与が前月比+0.8%となって前月比年率+745億ドル増加したほか、自営業者所得も前月比+5.1%と前月比年率+931億ドル増加して個人所得を押し上げた(図表2)。
個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、9月の名目が+0.9%(前月:▲2.9%)、価格変動の影響を除いた実質ベースが+0.7%(前月:▲3.2%)となり、名目、実質ともに前月からプラスに転じた(図表3)。
一方、賃金・給与が前月比+0.8%となって前月比年率+745億ドル増加したほか、自営業者所得も前月比+5.1%と前月比年率+931億ドル増加して個人所得を押し上げた(図表2)。
個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、9月の名目が+0.9%(前月:▲2.9%)、価格変動の影響を除いた実質ベースが+0.7%(前月:▲3.2%)となり、名目、実質ともに前月からプラスに転じた(図表3)。
4.消費動向:自動車・自動車部品が好調
9月の名目個人消費(前月比)は、財消費が+2.0%(前月:+0.1%)と前月から伸びが加速する一方、サービス消費が+1.1%(前月:+1.5%)と前月から伸びが鈍化した(図表4)。
財消費では、耐久財が+3.0%(前月:+0.9%)と伸びが加速したほか、非耐久財が+1.5%(前月:▲0.3%)とプラスに転じた。
耐久財では、娯楽財・スポーツカーが+1.3%(前月:▲0.8%)とプラスに転じたほか、家具・家電が+1.0%(前月:+0.5%)、自動車・自動車部品が+6.0%(前月:+2.1%)と前月から伸びが加速した。とくに自動車・自動車部品では20年5月の+43.5%以来の伸びとなった。
非耐久財では、ガソリン・エネルギーが+1.5%(前月:+3.2%)と前月から伸びが鈍化したものの、食料・飲料が+0.1%(前月:▲1.3%)、衣料・靴が+7.3%(前月:▲1.2%)とプラスに転じて全体を押し上げた。
サービス消費は、娯楽サービスが+6.7%(前月:+4.0%)、医療サービスが+2.1%(前月:+1.4%)と前月から伸びが加速した一方、外食・宿泊が+1.4%(前月:+6.5%)、輸送サービスが+1.1%(前月:+1.6%)、住宅・公共料金が横ばい(前月+0.2%)と伸びが鈍化した。
財消費では、耐久財が+3.0%(前月:+0.9%)と伸びが加速したほか、非耐久財が+1.5%(前月:▲0.3%)とプラスに転じた。
耐久財では、娯楽財・スポーツカーが+1.3%(前月:▲0.8%)とプラスに転じたほか、家具・家電が+1.0%(前月:+0.5%)、自動車・自動車部品が+6.0%(前月:+2.1%)と前月から伸びが加速した。とくに自動車・自動車部品では20年5月の+43.5%以来の伸びとなった。
非耐久財では、ガソリン・エネルギーが+1.5%(前月:+3.2%)と前月から伸びが鈍化したものの、食料・飲料が+0.1%(前月:▲1.3%)、衣料・靴が+7.3%(前月:▲1.2%)とプラスに転じて全体を押し上げた。
サービス消費は、娯楽サービスが+6.7%(前月:+4.0%)、医療サービスが+2.1%(前月:+1.4%)と前月から伸びが加速した一方、外食・宿泊が+1.4%(前月:+6.5%)、輸送サービスが+1.1%(前月:+1.6%)、住宅・公共料金が横ばい(前月+0.2%)と伸びが鈍化した。
5.価格指数:前月比ではエネルギー価格が4ヵ月連続で物価を押し上げ
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(2020年11月02日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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