2020年11月06日

FOMC(20年11月)-選挙結果を控え様子見、現在の金融政策の維持を決定

経済研究部 主任研究員   窪谷 浩

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1.金融政策の概要:金融政策の維持を決定

米国で連邦公開市場委員会(FOMC)が11月4-5日(現地時間)に開催された。FRBは、市場の予想通り、政策金利を据え置いたほか、現行の買い入れペースで量的緩和政策を継続するなど、従前の金融政策を維持することを全会一致で決定した。

今回発表された声明文では、景気の現状判断で一部の表現が変更されたものの、基調的な判断に変更はなかった。また、景気見通し、金融政策ガイダンス部分に変更はなかった。

なお、FOMC会合後に行われたパウエル議長の記者会見では12月の次回会合でFOMC参加者の経済予測サマリー(SEP)で予測の不確実性などに関する新たなグラフの提示など、情報提供を充実させる方針が示された。

2.金融政策の評価:ハト派姿勢は継続も、選挙結果の確定を控えて、様子見ムード

最近発表された7-9月期の実質GDPが前期比年率+33%と大幅な伸びとなるなど、景気回復が持続していることもあって本日のFOMC会合では予想通り、従前の金融政策が維持された。また、声明文で前回会合からの変更もほとんど無かった。一方、一部市場で予想されていた量的緩和政策に関する新たなガイダンスの導入も今回は見送られた。

パウエル議長の記者会見では、足元で景気回復ペースが鈍化していることや、新型コロナの新規感染者数が米国および世界的に増加していることが米経済見通しに対して懸念材料であることなどが示され、現在の緩和的な金融政策スタンスが長期化することを確認した。一方、経済見通しの大幅な変更や追加緩和策の検討などには言及されておらず、FRBとして早期の追加緩和策の必要性も示されなかった。

もっとも、今回の会合では足元で集計が進む大統領・議会選挙結果の発表を控えているほか、審議がストップしている追加経済対策の動向が不透明になっているため、FRBとしては動き難く様子見ムードが強くなっていると言えよう。

今後、選挙結果の確定に時間がかかって政治的な空白期間が続き、追加経済対策の実施に目途が立たないような状況となった場合には、FRBが追加緩和を実施する可能性は高まろう。

3.声明の概要

(金融政策の方針)
  • 委員会はFF金利の目標レンジを0-0.25%に維持することを決定(変更なし)。
  • FRBは市場機能を円滑に維持し、緩和的な金融環境を促進するために、今後数ヵ月に亘って少なくとも現行ペースで米国債やエージェンシーの住宅ローン担保証券(RMBS)、商業用不動産ローン担保証券(CMBS)の保有を増やすことで、家計や企業の信用の流れを支える。(変更なし)
 
(フォワードガイダンス)
  • 委員会は雇用の最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す(変更なし)
  • インフレ率がこの長期目標を持続的に下回っていることから、委員会は長期的にインフレ率が平均2%となり、長期的なインフレ期待が2%にしっかりと固定されるよう、当面2%をやや上回る水準のインフレ率の達成を目指す(変更なし)
  • 委員会は、これらの結果が達成されるまで、緩和的な金融政策のスタンスを維持すると予想する(変更なし)
  • 委員会は、労働市場の状況が雇用の最大化との評価に一致し、インフレ率が2%に上昇して、しばらくの間2%をやや上回るとの見通しに沿うまで、この目標レンジを維持することが適切であると予想する(変更なし)
  • 金融政策の適切なスタンスを評価するにあたり、委員会は経済見通しに対する今後の情報の影響を引き続き監視する(変更なし)
  • 委員会は目標の達成を妨げる可能性のあるリスクが生じた場合には、金融政策のスタンスを適宜調整する用意がある(変更なし)
 
(景気判断)
  • 新型コロナの流行は米国全土と世界各地に甚大な人的、経済的困難を引き起こしている(変更なし)。
  • 経済活動と雇用は急激な落ち込みの後、回復が続いているが、今年初めの水準をなお大きく下回っている(経済活動と雇用について「上向いた」”pick up”から「回復が続いている」”continued to recover”に表現変更)。
  • 需要の弱まりと先にみられた原油価格の下落は、消費者物価の上昇を抑制している(原油価格について「大幅に下落した」”significantly lower”から「先にみられた下落」”earlier decline in“に表現変更 )。
  • ここ数カ月で全般的な金融環境は、経済および、家計や企業への信用の流れを支えるための政策措置を一部反映して引き続き緩和的だ(金融環境について「ここ数カ月改善してきた」”have improved in recent months”から「引き続き緩和的」”remain accommodative”に表現変更)。
 
(景気見通し)
  • 経済の行方はウイルスの成り行きに大きく左右される(変更なし)。
  • 現在進行中の公衆衛生の危機は、経済活動に大きな影響を与えるだろう(変更なし)。
  • 短期的には雇用やインフレなど、中期的には経済見通しに大きなリスクをもたらす(変更なし)。

4.会見の主なポイント(冒頭発言)

冒頭発言の主な内容は以下の通り
 
  • FRBは議会が示した金融政策目標である雇用の最大化と物価の安定を達成することに強くコミットしている。本日、FOMCの同僚と私は困難に直面している経済を支援することにコミットしていることを再確認する。
  • 経済活動は落ち込んだ第2四半期からの回復が続いている。しかしながら、ここ数カ月間の回復ペースは緩やかに留まっている。
  • パンデミックの期間を通じて強調しているように、経済の見通しは非常に不確実であり、ウイルスを食い止めることに成功するかどうかに大きく依存している。最近の米国と世界における新型コロナの感染者数の増加はとりわけ懸念材料だ。
  • 我々の9月と本日の声明で述べているように、インフレ率が2%を下回っている状態が続いていることから、我々は長期的にインフレ率が平均2%となり、長期的なインフレ期待が2%にしっかりと固定されるよう、しばらくの間、2%をやや上回るインフレ率の達成を目指す。
  • 我々はこれらの雇用およびインフレの結果が達成されるまで、緩和的な金融政策のスタンスを維持するつもりである。
  • 年初の経済活動と雇用の水準に戻るにはしばらく時間がかかり、それを達成するためには金融・財政政策双方からの継続的な支援が必要となるかもしれない。
  • 12月から経済予測サマリー(SEP)を変更する予定だ。これまで議事録で発表されていた予測の分布や不確実性についてFOMC声明と同時に発表する。また、不確実性とリスクに対する参加者の評価のバランスが時間の経過とともにどのように変換したかを示す2つのグラフを追加する予定だ。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

(2020年11月06日「経済・金融フラッシュ」)

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