- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- アジア経済 >
- ASEANの貿易統計(11月号)~9月の輸出は経済再開を反映した持ち直しの動きが続くも、欧米での感染再拡大を受けて増加ペースは鈍化へ
ASEANの貿易統計(11月号)~9月の輸出は経済再開を反映した持ち直しの動きが続くも、欧米での感染再拡大を受けて増加ペースは鈍化へ
経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠
このレポートの関連カテゴリ
ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、9月は北米向け(同25.8%増)が好調だったほか、これまで減少傾向にあったEU向け(同10.6%増)と東アジア向け(同4.3%増)がプラスに転じた(図表2)。東南アジア向け(同5.8%減)も持ち直してきているものの、感染対策強化による内需鈍化を受けて相対的に回復の動きが遅れている。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品は前年同月比では4.0%減(前月:同9.4%減)と2カ月位連続で減少したが、電気製品・同部品は同28.9%増(前月:同17.9%増)と8ヵ月連続の二桁増を記録した(図表4)。また繊維関連では、織物・衣類が同1.7%増(前月:同11.9%減)と増加した一方、履物が同5.4%減(前月:同12.3%減)と引き続き減少した。農林水産物を見ると、コーヒー(同11.7%増)と水産物(同13.5%増)、カシューナッツ(同5.0%増)などが増加したものの、コメ(同7.0%減)と野菜(同11.8%減)が減少するなど、品目毎にバラつきがみられた。
輸出を資本別に見ると、地場企業が同40.9%増(前月:同27.8%増)が好調だった。全体の7割を占める外資系企業は同5.9%増(前月:同2.5%減)となり、一進一退の推移が続いている。
輸出を品目別に見ると、全体の約7割を占める工業製品が同4.4%減(前月:同14.0%減)と6カ月連続の減少となったものの、減少幅は一桁台まで縮小した(図表6)。製造品の内訳を見ると、自動車・部品(同9.9%減)や石油化学製品(同0.8%減)など依然として減少した品目が多いが、家電製品(同6.1%増)は外出自粛の影響で増加傾向にあるほか、電子機器(同9.9%増)や機械・装置(同2.9%増)など幾つかの品目がプラスに転じた。また鉱業・燃料は同33.0%減(前月:同25.8%減)となり、石油製品(同32.1%減)を中心に7カ月連続で減少した。農産物・同加工品については同6.5%増(前月:同9.2%減)と増加した。果物(同93.0%増)と畜産物(同44.9%増)、タピオカ(同54.8%増)、ゴム製品(同40.8%増)が大幅に増加する一方、加工食品(同6.2%減)とコメ(同22.7%減)、天然ゴム(同12.2%減)が減少するなど、品目毎にバラつきがみられた。なお、非貨幣用金(同21.5%減)は3カ月ぶりに減少した。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同27.4%増(前月:同4.5%増)となり、主力の電気・電子製品(同33.0%増)を中心に4カ月連続で増加した(図表8)。また鉱物性燃料は同29.1%減(前月:同23.8%減)低迷した。原油(23.2%増)が増加したものの、天然ガス(同51.8%減)と石油製品(同33.8%減)がそれぞれ低迷した。このほか、ゴム手袋(同161.1%増)に続いでパーム油などの動植物性油脂(同40.5%増)が大幅に増加したほか、化学製品が同1.9%減(前月:同21.6%減)とマイナス幅が縮小など、全体的に改善傾向がみられた。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同0.2%増(前月:同6.9%減)が増加した一方、石油ガス輸出が同12.4%減(前月:同29.0%減)と低迷した(図表10)。品目別にみると、自動車・同部品(同13.4%減)や鉱産物(同30.9%減)、織物類(同8.4%減)、機械類(同5.5%減)が低迷した一方、電気機械(同15.8%増)、動植物性油脂(同10.6%増)が好調だったほか、プラスチック・ゴム製品(同10.1%増)、パルプ・紙・同製品(同3.7%増)が再びプラスに戻った。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品が同22.5%増(前月:同6.9%増)と大幅に上昇した(図表12)。電子製品の内訳を見ると、PC部品(同23.8%増)が7カ月ぶりのプラスに転じたほか、主力のIC(同31.4%増)やPC(同12.4%増)、ディスクメディア(同16.3%増)が好調だった。また電子製品と並び全体の約3割を占める化学品は同16.1%減(前月:同4.7%減)と5カ月連続のマイナスとなった。化学品の内訳を見ると、医薬品(同26.6%減)が4か月ぶりに減少したほか、石油化学製品(同23.1%減)が低迷した。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の6割弱を占める電子製品が同0.8%増(前月:同13.3%減)と上昇して7カ月ぶりのプラスとなった(図表14)。電子製品の内訳を見ると、電子データ処理機(同1.1%減)とオフィス機器(同12.7%減)が減少したものの、主力の半導体デバイス(同0.8%増)がプラスに転じた。その他9品目は総じて増加した品目が多かった。製錬銅(同133.9%増)とその他鉱物製品(73.3%増)、金属部品(同32.9%増)、化学品(同25.9%増)、その他製造品(同5.4%増)、電子部品(同0.8%増)が増加した一方、生鮮バナナ(同32.9%減)と機械・輸送用機器(同2.7%減)、イグニッションワイヤーセット(同1.0%減)が減少した。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1780
(2020年11月04日「経済・金融フラッシュ」)
ソーシャルメディア
新着記事
-
2021年04月09日
炭素国境調整措置の影響-スピード感が重要、受け身では競争力を失う恐れ -
2021年04月09日
バイデン政権下で激化する米中対立と日本の果たすべき役割 -
2021年04月09日
ドイツの民間医療保険及び民間医療保険会社の状況(1)-2019年結果- -
2021年04月09日
取り残される対面型サービス業-新型コロナウイルスの感染者数、死亡者数とワクチンの効果をどうみるか -
2021年04月09日
景気ウォッチャー調査(21年3月)~緊急事態宣言解除により景況感改善も、感染再拡大に強い警戒感
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2021年04月02日
News Release
-
2021年01月21日
News Release
-
2020年10月15日
News Release
【ASEANの貿易統計(11月号)~9月の輸出は経済再開を反映した持ち直しの動きが続くも、欧米での感染再拡大を受けて増加ペースは鈍化へ】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
ASEANの貿易統計(11月号)~9月の輸出は経済再開を反映した持ち直しの動きが続くも、欧米での感染再拡大を受けて増加ペースは鈍化へのレポート Topへ