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- ASEANの貿易統計(10月号)~8月の輸出は経済再開を反映した持ち直しが続くも、域内向けが弱く、先行きに懸念
2020年10月09日
20年8月のASEAN主要6カ国の輸出(ドル建て、通関ベース)は前年同月比1.9%減(前月:同2.3%減)とマイナス幅が若干縮小した(図表1)。輸出の伸び率は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と商品価格下落、国内外で実施された活動制限措置の影響が4月に本格化して急減したが、6月から経済活動の再開を反映して持ち直してきている。もっとも8月はマレーシアとインドネシア、フィリピンの3カ国で輸出回復の動きが弱まった。新型コロナ感染は第二波、第三波と流行を繰り返す動きがあるほか、物流の制限が残るなど世界経済は依然として不安定であり、今後輸出の回復が頭打ちする恐れがある。
ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、8月は北米向け(同15.7%増)が好調を維持すると共に、EU向け(同3.5%減)と東アジア向け(同0.6%減)のマイナス幅がそれぞれ縮小した。(図表2)。一方、域内で感染拡大が続く東南アジア向け(同14.6%減)は感染防止策の強化による内需鈍化を反映してマイナス幅が拡大した。
ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、8月は北米向け(同15.7%増)が好調を維持すると共に、EU向け(同3.5%減)と東アジア向け(同0.6%減)のマイナス幅がそれぞれ縮小した。(図表2)。一方、域内で感染拡大が続く東南アジア向け(同14.6%減)は感染防止策の強化による内需鈍化を反映してマイナス幅が拡大した。
ベトナムの20年8月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比7.1%増となり、前月の同8.5%増から低下した。輸出は今年1~2月に旧正月の連休時期のずれを背景に上下に振れた後、4~5月に新型コロナ感染対策として国内外で実施された活動制限措置の影響により落ち込んだが、6月から経済再開を反映して持ち直しが続いている。また輸入額も前年同月比1.6%増(前月:同2.5%減)と上昇した結果、貿易収支は+49.9億ドルとなり、前月から22.1億ドル改善した(図表3)。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品はサムスン電子の新型スマートフォンの発売で前月から増加したものの、前年同月比では9.4%減少(前月:同7.6%増)と再びマイナスの伸びとなった(図表4)。電気製品・同部品は同17.9%増(前月:同33.8%増)と7ヵ月連続の二桁増を記録した。また繊維関連では、織物・衣類が同11.9%減(前月:同7.7%減)、履物が同12.3%減(前月:同15.7%減)となり、それぞれ大幅に減少した。農林水産物を見ると、価格の上昇したコメ(同13.0%増)をはじめとして、野菜(同2.7%増)や水産物(同0.6%増)などが増加したものの、コーヒー(同6.4%減)とカシューナッツ(同13.3%減)が減少するなど、品目毎にバラつきがみられた。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同2.5%減(前月:同3.7%増)が再び減少した一方、地場企業が同44.6%増(前月:同27.8%増)が好調だった。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品はサムスン電子の新型スマートフォンの発売で前月から増加したものの、前年同月比では9.4%減少(前月:同7.6%増)と再びマイナスの伸びとなった(図表4)。電気製品・同部品は同17.9%増(前月:同33.8%増)と7ヵ月連続の二桁増を記録した。また繊維関連では、織物・衣類が同11.9%減(前月:同7.7%減)、履物が同12.3%減(前月:同15.7%減)となり、それぞれ大幅に減少した。農林水産物を見ると、価格の上昇したコメ(同13.0%増)をはじめとして、野菜(同2.7%増)や水産物(同0.6%増)などが増加したものの、コーヒー(同6.4%減)とカシューナッツ(同13.3%減)が減少するなど、品目毎にバラつきがみられた。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同2.5%減(前月:同3.7%増)が再び減少した一方、地場企業が同44.6%増(前月:同27.8%増)が好調だった。
タイの20年8月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比7.9%減となり、4カ月連続で減少したが、前月の同11.4%減からマイナス幅が一桁台まで縮小した。輸出は今年3月から新型コロナ感染拡大の影響が現れて4~6月に大きく減少したが、7月以降は持ち直しの動きが続いている。また輸入額が前年同月比19.7%減(前月:同26.4%減)と5カ月連続の大幅減少となった結果、貿易収支は+43.5億ドルとなり、前月から10.1億ドル増加した(図表5)。
輸出を品目別に見ると、全体の約7割を占める工業製品が同14.0%減(前月:同14.0%減)と5カ月連続の二桁減少となった(図表6)。製造品の内訳を見ると、主力の自動車・部品(同22.4%減)や機械・装置(同15.6%減)、石油化学製品(同14.0%減)、電子機器(同3.0%減)など幅広い品目が減少した。なお、家電製品(同8.7%増)は外出自粛の影響で好調だった。また鉱業・燃料は同25.8%減(前月:同36.8%減)となり、石油製品(同25.4%減)を中心に6カ月連続で減少した。農産物・同加工品も同9.2%減(前月:同7.8%減)と低迷した。前月に続いて畜産物(同36.9%増)とタピオカ(同28.2%増)、ゴム製品(同27.8%増)が大幅に増加する一方、加工食品(同12.3%減)とコメ(同15.0%減)、天然ゴム(同32.2%減)、果物(同37.3%減)が減少するなど、品目ごとのバラつきがみられた。非貨幣用金(同51.3%増)は2カ月連続の大幅増となった。
輸出を品目別に見ると、全体の約7割を占める工業製品が同14.0%減(前月:同14.0%減)と5カ月連続の二桁減少となった(図表6)。製造品の内訳を見ると、主力の自動車・部品(同22.4%減)や機械・装置(同15.6%減)、石油化学製品(同14.0%減)、電子機器(同3.0%減)など幅広い品目が減少した。なお、家電製品(同8.7%増)は外出自粛の影響で好調だった。また鉱業・燃料は同25.8%減(前月:同36.8%減)となり、石油製品(同25.4%減)を中心に6カ月連続で減少した。農産物・同加工品も同9.2%減(前月:同7.8%減)と低迷した。前月に続いて畜産物(同36.9%増)とタピオカ(同28.2%増)、ゴム製品(同27.8%増)が大幅に増加する一方、加工食品(同12.3%減)とコメ(同15.0%減)、天然ゴム(同32.2%減)、果物(同37.3%減)が減少するなど、品目ごとのバラつきがみられた。非貨幣用金(同51.3%増)は2カ月連続の大幅増となった。
マレーシアの20年8月の輸出額(ドル建て換算、通関ベース)の伸び率は前年同月比2.9%減(前月:同0.2%減)と低下した。輸出は今年4~5月に新型コロナ感染拡大と国内外の活動制限措置の影響が本格化して約3割減を記録、6~7月は経済活動の再開に伴う反動増で持ち直したが、8月は再び鈍い動きとなった。また輸入額が前年同月比6.4%減(前月:同11.7%減)と低迷した結果、貿易収支は+31.6億ドルとなり、前月から27.5億ドル縮小した(図表7)。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同4.5%増(前月:同3.9%増)となり、主力の電気・電子製品(同7.7%増)を中心に3カ月連続で増加した(図表8)。また鉱物性燃料は同23.8%減(前月:同21.3%減)と5カ月連続で大幅に減少した。原油(同0.0%増)が辛うじてプラス圏だったものの、天然ガス(同49.1%減)と石油製品(同21.5%減)がそれぞれ低迷している。このほか、ゴム手袋(同100.9%増)の好調が続く一方、化学製品が同21.6%減(前月:同24.6%減)が低迷、パーム油などの動植物性油脂(同1.7%増)が鈍化するなど品目によってバラつきが大きかった。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同4.5%増(前月:同3.9%増)となり、主力の電気・電子製品(同7.7%増)を中心に3カ月連続で増加した(図表8)。また鉱物性燃料は同23.8%減(前月:同21.3%減)と5カ月連続で大幅に減少した。原油(同0.0%増)が辛うじてプラス圏だったものの、天然ガス(同49.1%減)と石油製品(同21.5%減)がそれぞれ低迷している。このほか、ゴム手袋(同100.9%増)の好調が続く一方、化学製品が同21.6%減(前月:同24.6%減)が低迷、パーム油などの動植物性油脂(同1.7%増)が鈍化するなど品目によってバラつきが大きかった。
インドネシアの20年8月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比8.2%減(前月:同10.1%減)とマイナス幅が縮小した。輸出は今年3~5月にかけて新型コロナの感染拡大と国内外で実施された活動制限措置の影響を受けて最大約3割減まで落ち込んだが、6月以降は経済活動の再開を反映して持ち直してきている。また輸入額も前年同月比24.2%減(前月:同32.6%減)とマイナス幅が縮小した結果、貿易収支は+23.5億ドルとなり、前月から8.8億ドル縮小した(図表9)。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同7.2%減(前月:同5.9%減)、石油ガス輸出が同27.5%減(前月:同51.5%減)となり、それぞれ減少した(図表10)。品目別にみると、自動車・同部品(同39.4%減)や鉱産物(同26.9%減)、プラスチック・ゴム製品(同21.5%減)、織物類(同19.8%減)、機械類(同11.9%減)、パルプ・紙・同製品(同10.7%減)など幅広い品目が低迷した。一方、鉱石、スラグ及び灰(同121.0%増)や鉄・鉄鋼(同31.2%増)、動植物性油脂(同9.0%増)は好調に推移したほか、電気機械(同1.2%増)が再びプラスに戻った。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同7.2%減(前月:同5.9%減)、石油ガス輸出が同27.5%減(前月:同51.5%減)となり、それぞれ減少した(図表10)。品目別にみると、自動車・同部品(同39.4%減)や鉱産物(同26.9%減)、プラスチック・ゴム製品(同21.5%減)、織物類(同19.8%減)、機械類(同11.9%減)、パルプ・紙・同製品(同10.7%減)など幅広い品目が低迷した。一方、鉱石、スラグ及び灰(同121.0%増)や鉄・鉄鋼(同31.2%増)、動植物性油脂(同9.0%増)は好調に推移したほか、電気機械(同1.2%増)が再びプラスに戻った。
シンガポールの20年8月の輸出額(石油と再輸出除く、ドル建て換算、通関ベース)は前年同月比8.9%増(前月:同4.0%増)と上昇した。輸出は世界的な新型コロナの感染拡大を背景に医薬品や非貨幣用金、集積回路(IC)の出荷増が続いて増加傾向にある。なお、総輸出額は同3.7%減(前月:同9.7%減)、総輸入額は同8.4%減(前月:同11.6%減)となり、それぞれマイナス幅が縮小した。結果として、貿易収支が+42.8億ドルとなり、前月から14.9億ドル改善した(図表11)。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品が同6.9%増(前月:同1.0%増)と上昇した(図表12)。電子製品の内訳を見ると、PC部品(同20.3%減)が減少したものの、主力のIC(同8.3%増)とPC(同16.5%増)がプラスに転じたほか、ディスクメディア(同13.1%増)が好調だった。また電子製品と並び全体の約3割を占める化学品は同4.6%減(前月:同10.9%減)と4カ月連続のマイナスとなった。化学品の内訳を見ると、医薬品(同6.8%増)が増加する一方、石油化学製品(同15.5%減)が低迷した。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品が同6.9%増(前月:同1.0%増)と上昇した(図表12)。電子製品の内訳を見ると、PC部品(同20.3%減)が減少したものの、主力のIC(同8.3%増)とPC(同16.5%増)がプラスに転じたほか、ディスクメディア(同13.1%増)が好調だった。また電子製品と並び全体の約3割を占める化学品は同4.6%減(前月:同10.9%減)と4カ月連続のマイナスとなった。化学品の内訳を見ると、医薬品(同6.8%増)が増加する一方、石油化学製品(同15.5%減)が低迷した。
フィリピンの20年8月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比18.6%減となり、前月の同9.1%減からマイナス幅が拡大した。輸出の基調は、今年3月から新型コロナ感染拡大と国内外で実施された活動制限措置の影響が現れて幅広い品目で減少、5月から持ち直しの動きが続いていたが、8月は鈍い動きとなった。また輸入額が前年同月比22.6%減(前月:同23.8%減)と低迷した結果、貿易収支は▲20.8億ドルとなり、前月から2.2億ドル悪化した(図表13)。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の6割弱を占める電子製品が同11.7%減(前月:同1.4%減)とマイナス幅が拡大した(図表14)。電子製品の内訳を見ると、主力の半導体デバイス(同21.3%減)と電子データ処理機(同18.0%減)、オフィス機器(同18.5%減)がそれぞれ大きく減少した。その他9品目のうち、その他鉱物製品(62.8%増)とココナッツオイル(同13.9%増)は増加したものの、金(同31.3%減)や生鮮バナナ(同21.6%減)、その他製造品(同18.3%減)、イグニッションワイヤーセット(同15.7%減)、化学品(同15.0%減)、金属部品(同13.6%減)、機械・輸送用機器(同2.7%減)など減少した品目が多かった。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の6割弱を占める電子製品が同11.7%減(前月:同1.4%減)とマイナス幅が拡大した(図表14)。電子製品の内訳を見ると、主力の半導体デバイス(同21.3%減)と電子データ処理機(同18.0%減)、オフィス機器(同18.5%減)がそれぞれ大きく減少した。その他9品目のうち、その他鉱物製品(62.8%増)とココナッツオイル(同13.9%増)は増加したものの、金(同31.3%減)や生鮮バナナ(同21.6%減)、その他製造品(同18.3%減)、イグニッションワイヤーセット(同15.7%減)、化学品(同15.0%減)、金属部品(同13.6%減)、機械・輸送用機器(同2.7%減)など減少した品目が多かった。
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(2020年10月09日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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